続・寺田的陸上日記     昔の日記はこちらから
2004年9月 北京五輪まであと47カ月(たぶん)
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◆8月25日(水)
 頑張れペチョンキン! と言いたいですね。ペチョンキンは男子110 mHのロシア選手。今日の2次予選は13秒53で突破できませんでしたが、本当にもっと頑張らないと(内藤真人選手も頑張らないと)。というのは、中継のアナウンサーにペチョンキナと言われてしまったからです。
 ペチョンキンは400 mH世界記録保持者のペチョンキナの夫ではありますが、英語の綴りは Pechonkin Yevgeniyで、ペチョンキナでは断じてありません。詳しくは知りませんが、かの有名なアンナ・カレーニナの夫はカレーニンです(自信あり)。つまり、スラブ民族の名前は(全部か一部かは知りませんが)、男性の名字と女性の名字は語尾が違うのです。女性はaがつくんですね。エゴロフ氏の夫人は(娘も?)エゴロワとなる。ツルゲーネフの女性姓はツルゲーワ。レーニンはレーニナ。フルシチョフはフルシチョワ。チャイコフスキはチャイコフスカ…かどうかまで確認していませんが。
 確かに、旧ソ連関係の情報は、驚くほど我々は知りません。2年前にモスクワ経由でロンドン・マラソンの取材に行ったとき、ロシアのガイドブックを探しましたが、本屋にはまったくなかったですからね。で、昨年の世界選手権の際にペチョンキナが有名となり、ペチョンキンがその夫であることも合わせて、世間に知られるようになりました。でも、彼らの知名度に反して、日本人のロシアに対する知識は低かったということでしょう。
 つまり、日本にロシアの知識を広める一番の方法は、ペチョンキンが強くなって、「なんで夫婦で姓が微妙に違うんだ?」と、話題になることです。12秒8台の世界記録を出したり、世界選手権やオリンピックで勝ちまくるようになれば、そのうちペチョンキンの方が有名になって、奥さんは引き合いに出されなくなるかも。最初はマラソンの谷川真理選手の従兄弟ということで注目された谷川聡選手に、今では誰もそのことを話題としないように。
 ちなみに、陸マガで最初に谷川聡選手を取り上げたのは、中大4年時の中大・日体大対校で13秒8(手動)をマークしたとき(1995年でしょうか?)。従兄弟選手という部分も興味を持ちましたが、何より「こんなにクレバーな元○○の選手がいるのか」と思ったからです。でも、本当に最近は、どの記者も谷川真理選手のことを聞かないので、ちょっと寂しいですね。谷川真理選手もあれだけの有名選手ですから。今度記録を出した際に、従姉妹の活躍にどんな影響を受けたか聞いてみましょう。確か、谷川真理選手が東京国際女子マラソンに優勝したときは、御茶ノ水にある予備校に通っていたはずです。


◆8月26日(木)
 室伏広治選手の原稿を書き上げました。現地に行っていないので、こちらでわかる範囲の情報と、これまでの取材で蓄積したもので書いたのです。200行となかなかの大作。でも、困ったことにアヌシュ選手のドーピング疑惑が浮上し、順位が繰り上がる可能性も出てきました。媒体は、オリンピック閉幕直後に発売される、ある新聞社系の雑誌です。
 ちょっと思ったのですが、女子砲丸投でも当初優勝したと思われたロシア選手が失格しています。上位の選手が繰り上がるのはいいとして、一番口惜しがっているのは予選13番目の記録で決勝に進めなかった選手ではないでしょうか。これはトラックでも同じこと。メダルを剥奪された選手と準決勝で同じ組になり落選した選手は、再レースを要求したいところでしょう。オリンピックのファイナリストと、予選・準決勝落ちでは、その後の人生が違ってくるかもしれません。
 いっそのこと、予選終了直後、準決勝終了直後に全員のドーピング検査をするっていうのはどうでしょうか。えっ、物理的に無理? そんなこと言っていると、進歩がないんですよ。何事も無理と決めつけてはダメ。解決策は、ごく短時間でできるドーピング検査の方法を開発することです。ドーピング追放はスポーツが生き残るため、必要不可欠な部分。どんなにお金がかかっても、ないがしろにしてはいけない部分でしょう。


◆8月27日(金)
 12時半に起床して成田空港に。京成スカイライナーに乗っている際、ふと車窓から外を眺めると、大きな風車があるではないですか。スカイライナーで成田空港に行ったのは数知れず。でも、初めて気づきました。これは、98年か99年頃、三代直樹選手の記事を陸マガに掲載したことがあるのですが、そのとき、この風車をバックに写真を撮らせてもらっています(寺田が担当したわけではありませんが)。
 三代選手も早く復活して欲しい選手の1人。先日、富士通の福嶋監督に電話をして、ちょっと状況を聞きました。腰の痛みといかに上手く付き合っていくかが重要、というような話をしましたっけ。
 成田空港まで行った目的は書けませんが、土佐選手の取材ができたので、記事にまとめました。三段跳の杉林孝法選手にも合いました。今後は日本記録を目標にするそうです。杉森美保選手にも合いました。杉林選手に対抗して、今後は三段跳で頑張るそうです(こちらの記事参照)。
 夜中はオリンピックをテレビ取材。男子両リレーの決勝進出に、ホッとしています。今大会、短距離陣は準決勝進出がゼロ(76年モントリオール五輪以来らしい)ということで、リレーも心配されましたが、各選手の調子は上がってきているようです。やっぱり、短距離種目でラウンドを突破していくと盛り上がるんですよね。大会の盛り上がりに果たす短距離種目の役割を書きたいところですが、300行くらい必要なのでやめます。


◆8月28日(土)
 今日でオリンピックのトラック&フィールドは最終日。男子の4×100 mR、4×400 mRともに五輪最高順位の4位に入賞し、テレビの前で興奮しまくって観戦していました。特に4×100 mRはそうですが、前半はどこがリードしているとか、レース展開はほとんどわかりません。ホームストレートに出てきて初めて、だいたいの順位がわかる。400 mだとまだ少しはわかるのですが、4×100 mRとなるとダメ。冷静に見られるときは、次走者のスタートでちょっとは順位もわかるのですが。日本チームが出ているとどうしても、応援してその走りだけに目が行ってしまいます。インカレなどでレース全体を見てしまう各大学のコーチは、尊敬してしまいます。
 その視点でいうと(…ちょっと違うかもしれないが)、大会本部にいるお歴々方も尊敬できる。ホームストレートの中央付近、しかもスタンド下から見ていてもレース展開がわかるらしいのです。寺田には、この芸当がどうしてもできない。100 mでいうならスタートから中盤まではわかるのですが、肝心のホームストレート終盤の位置関係がわかりません。まあ、最近は大きな大会なら、大型スクリーンにリプライが映し出されますから、大丈夫なのかもしれません。
 女子1500mはホームズ(英)がホームストレートで強さを見せて快勝。800 mに続いて2つめの金メダル。ホームで2回勝ったからホームズ……じゃあ、ないと思いますが。走高跳金メダルのホルム(スウェーデン)の複数形……でもありませんでした(HolmとHolmes)。
 そうそう、ホルムのWEBサイトはすごく充実しています。英語表示ができないのが残念ですけど。「金」の文字のイラストまである。なかなかの執念です。それで1つ、ある仮説が浮かびました。今回のホルムは髪の毛を坊主刈りにしていましたが、憧れの選手は長身&長髪で有名だった同国の先輩、パトリック・ショーベリだそうです(87年に2m42の当時の世界記録)。ホルムのサイトには過去の写真集なんかもあって、それを見ると以前のホルムは、ショーベリーほどではないにしろ、髪の毛を伸ばしていました。つまり、髪の毛をばっさり切って余分な重さをなくすほど、今五輪に賭けていたのかな、と。髪のことだけに、真実は神のみぞ知る……今日のジョークは全部、かすってバーを落としている感じです。だ1にあやかりたい。


◆8月29日(日)
 アテネ五輪男子ハンマー投はアヌシュ選手の失格により、室伏広治選手の優勝となりました。寺田が記事を書いた某雑誌は昨日の時点で「8月28日現在、アヌシュに薬物疑惑が持ち上がっている」という一文を、文末に付記して校了しています。五輪終了3日後には発売される雑誌ですから、致し方ありません。
 まあ、書き直すのも変というか、アヌシュの記録は存在しなかったものとして「室伏が1投目から79m90でリードし、6投目に82m91と記録を伸ばし、2位のティホンに3m10の大差をつけた」という記事も、どこか違和感があります(実際には、それが正しいのですが)。やはり、試合展開はアヌシュ込みで書いて最後に、実はアヌシュの記録は不正の結果としてこの世に存在したもので、公式記録とはならないと書いた方が、後世に正確に伝わるのではないでしょうか。公式サイトIAAFサイトも、失格した選手の記録を消し去っていますが、戦いの跡を記録するという意味では、試技内容を欄外に小さな文字で残しておいた方がいいように思います。
 不正の結果として世の中に存在した記録など、記録と認めない、というスタンスはわかるのですが。そこまで堅いことをするのなら、寺田が数日前に書いたように、予選終了時点でしっかりドーピング検査をするべきでしょう…あっ、そうか。予選終了後にドーピングをするのか。すいません。考えが浅かったです。
 考えが浅かったとは言いませんが、男子マラソンの乱入男を阻止する手段はなかったのでしょうか。うーん、ロードを使って行う競技の特性上、仕方ありません。高速道路で観衆の出入りができないコースにするとかしたら、白けますからね。ロードレースを走る選手は、こういったアクシデントも覚悟しないといけない、ということでしょうか。でもなあ。こればっかりは本当に、選手は気持ちをどう収めていいのかわかりません。デ・リマ選手のあの態度は本当に立派だったと思います。フィニッシュ前に見せたあの飛行機ポーズは、東京で優勝したときにもやっていましたよね。今、東京国際マラソンのプログラムを見たら、1996年大会に優勝しています。と思ったら、そのレースでは2位と秒差の勝負ですから、飛行機ポーズはできませんね。でも、どっかで見たような記憶があるんです。いずれにせよ、デ・リマ選手を来年の東京に招待したら、視聴率上がりますよ、主催者さん。
 テレビの話になったところで1つ、持論を言わせていただきます。今回のオリンピックもそうですが、海外のマラソン中継って、日本と比べたら見にくいですよね。後方集団の選手のアップをいきなり画面に映すのはいいのですが、その選手がどのあたりを走っているのかがわからない。先頭集団の人数だって、上空からのアングルが映し出されないとわかりません。まあ、テレビ中継車がドーンと先頭選手の前を走るのって、海外ではないのかも。ほとんどがオートバイからの撮影のため、揺れたりして見えにくいことも多々あります。
 しかし、今日の昼間に行われた北海道マラソンの画面は、ある意味日本らしくありません。その原因は、男女同時スタート。画面が男子と女子と交互に切りかわるわけで、レース展開に集中しにくいのです。さらに、女子の先頭集団の周りには男子選手がいる。これも、視聴者が女子の勝負に集中しにくい一因となります。せっかく千葉真子選手が独走しても、遅い男子選手がくっついているわけです。駅伝など独走になると視聴率が落ちることもあるそうですが、勝負の結果として独走しているはずの選手の周囲に、関係のない選手が走っているという絵柄は興ざめです。
 一緒に走っている男子選手も、適当に走っているのでなく、真剣に走っているのでしょう。でも、視聴者が見たいのは、“真剣に走っている遅い男子選手”ではありません。以前にも書いたと思うのですが、市民マラソンは参加して楽しむものですが、見て楽しめるものではありません。見て面白いのは間違いなく、エリート選手同士のレベルの高い勝負です。
 01年・02年と取材したロンドン・マラソンの中継など、市民ランナーがお祭り気分で走っている絵柄に、しょっちゅう画面が切りかわります。2年前までは時差スタートでしたが、それでも男女が同時進行して集中できませんでした。アテネ五輪の野球中継を見ていたら星野仙一氏が「メジャーリーグの(日本人)テレビ解説者が、なんでもかんでもを褒める」と批判していましたが、寺田も欧米の市民マラソンにエリートランナーを参加させる方式を、やたらと褒めるのはどうかと思います。日本には、テレビで中継を楽しむ人たちをバックボーンとして発達してきたマラソンの伝統があります。
 今年から東京国際女子マラソンに市民マラソンも併設されるようです。警察の許可を得やすくなるという、日本ならではの事情もあるようですが、テレビ中継で市民マラソンを映し出してほしくありません。はっきり言いますし、何度でも書きますが、見ていて面白いのはエリートランナーのハイレベルな走りです。近田さん(北海道文化放送アナウンサー)には、今度合ったら申し上げておきましょう。男女同時進行でもいいので(道路使用時間を短くする必要はあるはずですから)、時差スタートにして、テレビ放映は国際千葉駅伝のように別の時間帯にした方がいいですよと。


◆8月30日(月)
 昨日でアテネ五輪が閉幕。この興奮を味わうのにあと4年待たないといけないのか、と思うと寂しいですけど、その間に世界選手権が2回もあります。最近の陸上競技ファンは幸せだと思います。オリンピックに端を発したドラマを、来年、その2年後、そして4年後と継続的に見続けられるのですから。やっぱり、その競技を見続けることで、より面白くなると思うんです。今五輪の野球やソフトボールだってそうですよね。もちろん柔道や水泳の何人かの選手たちも。そういった、見続けてくれるファンが増えるような、世間へのアピールの仕方を考えるべきでしょう。特に陸上競技の場合は、球技や格闘技に比べてゲーム性(娯楽性)が劣ります。ちょっと前にも書いた気がしますが、選手個人に興味を持ってもらうのもいいのですが、競技自体を面白いと思ってくれるファンを増やすことが重要だと思います。
 えっ、誰がそれを考えるのかって? それはもちろん、陸上競技関係者全て、ですよ。陸連だけが考えてもエネルギーが小さいでしょう。ましてや、寺田がこんなWEBサイトでとやかく書いても何の影響力もない。陸上界全体の課題です。書きましたっけ、陸協登録者OBに継続的に情報を送り続けるって話。そうか、このアイデアはタダで、こんなところに書くわけにはいかないのでした。
 アイデアといえば、アテネ五輪帰りの家族T氏が、珍しくいいことを言っていました。1都市開催が古代オリンピック以来の五輪開催理念のようですが、複数の都市、または国にまたがっての開催でもいいんじゃないか、と。今のようなオリンピックの開催の仕方をしていたら、アメリカ開催が多くなってしまうのではという指摘。実際に夏季では84年のロサンゼルス、96年のアトランタ、冬期では02年のソルトレイク、80年のレークプラシッドと、経済的に余裕のあるアメリカが多くなりがち。逆に、1都市開催だと、今回のアテネのように財政的に厳しかったり、工事が間に合わなかったりします。外国人がオリンピックを見に行きたくても、ホテル代が5倍とか10倍に高騰して話にならない。
「ベネルクス五輪やスカンジナビア五輪があってもいい」というのが、彼女の意見です。ベネルクスはヨーロッパの大国である独仏間にあるオランダ・ベルギー・ルクセンブルクの3国。人口は3つ合わせても2700万人しかいません。スカンジナビアのノルウェー・スウェーデン・デンマークは全部で1800万人。しかし、各国の首都や2番目の都市はそれなりの規模で、国際スポーツイベントが開催できる都市は、3国合わせれば5つや6つ、あります。
 家族T氏によると人口40万人の、ルクセンブルク(1つの都市だけ?)はけっこうリッチな雰囲気なんだそうです(旅行経験あり)。外務省のサイトで調べると、英仏独伊のヨーロッパ4大国の1人当たりのGDPが2万ドル台なのに対し、ルクセンブルクは5万ドル。人口が少ないですから同列に論じることはできませんが、それなりの国力、イベントを開催する体力はある。サッカーの日韓共催ワールドカップがそうだったように、別に複数国で開催しても、移動が大変ということはありません。というか、陸上競技はこの都市、柔道はこの都市、水泳はこの都市と分散開催されるわけですから、サッカーのように移動して試合ということもありません。
 ベネルクスやスカンジナビアは陸上競技のグランプリだってけっこう開催されています。オスロ(ノルウェー)、ストックホルム(スウェーデン)、ブリュッセル(ベルギー)はゴールデンリーグ、小林史和選手が1500mの日本新を出したゲント(ベルギー)や、ヘンゲロ(オランダ)は確かGPU。ロッテルダム・マラソンもメジャーな賞金レースです。昨年の静岡国体が、県内の全域に各競技を振り分けて開催した感じですね。
 困るのは報道機関かも。1つの都市に腰を落ち着けて取材することができないし、柔道会場から水泳会場への移動も、1都市開催よりも大変になる。でも、逆に、1記者1競技の取材に専念できる環境になるかもしれません。取材パスも、現在のような全競技共通のパスでなく、競技毎に発行されるようになるかもしれません(寺田にも回ってくる可能性が高くなる?)。そうすると、現在の報道機関内部のシステムも変わるかも。オリンピック取材体制が中心でなくなり、各競技の専門記者が増える。それがいいことなのか、悪いことなのか…。


◆8月31日(火)
 今日で8月も終わり。何年か先に思い返してみても、アテネ五輪の行われた思い出深い月となるでしょう。29日に男子マラソンで油谷繁選手が5位、諏訪利成選手が6位に入賞して、締めてくれました。「また5位かよ!っていう感じです」と、インタビューに答えていた油谷選手自身にしてみれば、相当に悔しい結果でしょう。でも、本人の目標と、客観的な評価はまた別もの。男子マラソンは頑張ったと評価できると思います。女子マラソンと比べてどうこうと話すテレビのコメンテーターは勉強不足。まあ、勉強しろというのも無理な話ですが。
 陸連の掲げた目標(予想?)は「メダル2個と入賞5〜6」。結果として金メダルが2個で、入賞が女子マラソン2、男子両リレー2、男子マラソン2で目標をクリアしました。期待していた男子100 mと400 mHが入賞できませんでしたが、最後になんとか踏みとどまりました。終わりよければ全てよし、という雰囲気でアテネ五輪を終えられた陸上ニッポンでした。跳躍だけ入賞できませんでしたが、棒高跳の決勝進出は入賞に準じる評価ができると思います。表面的な成績だけでなく、今回の結果をいかに今後につなげられるか、そこが肝心です。入賞できなかった100 mと400 mHも、例えば来年の世界選手権の好成績や、新記録に結びつけられれば、アテネに出た意味は大きくなるはずです。
 話は変わりますが10日目寸評に、両リレーの4位入賞に喜んでいるだけではダメだと書きました。でも、よく読んでいただければわかるのですが、前半部分ではダブル4位入賞をちゃんと評価しています。今後に向けて、選手の意欲も間違いなく上がるでしょう。今後に続く選手たちが「俺たちもできる」という意識になれるという点では、昨年の末續選手の銅メダルに匹敵する効果があるかもしれません。それはともかく、ここで言いたいのは要するに、どちらが先かという順番で印象が変わるということ。前半で褒めて、後半で厳しく書くと、結論として厳しいことを書いているような印象になります。実際は、両面を書いていてもそうなってしまう。
 つまり、先に行われた個人種目はダメで、後から行われたリレー種目がいいと、「よかったな」という印象になります。これが逆だったらどうなるか。先にリレー種目が行われて好成績を残しても、後から行われる個人種目が惨敗だったら、「なんだ短距離は」という印象になる。人間の心理とは、そう感じる傾向があります。「終わりよければ全てよし」っていう格言に象徴されているように。単に心理的な部分ですが、陸上競技も人間のやることですから、それがけっこう大きかったりする。だったら、それを強化や宣伝に利用する手もあるわけですね。


◆9月1日(水)
 サンデー毎日の「アテネオリンピック全記録」が届きました。全記録というタイトルですが、基本的には写真誌です。が、寺田は室伏広治選手の記事を書かせていただきました。この日記でもちょっと触れましたが、アヌシュ選手の金メダル剥奪がはっきりしない時点で書いたもので、室伏選手が銀メダルだったという前提で書いています。当たり前ですが。どこかで書いたネタとダブっている部分もありますが、この記事はこの記事として、それなりの完成度かと。冒頭部分でテレビ解説の小山先生のコメントと、アナウンサーの方の言葉がごっちゃになってしまっています。これは編集段階のミスですが、指定された行数をオーバーした寺田が悪いことで(後ろに書いた部分が結論ですよ)。
 アヌシュ選手に関してですが、とっておきのネタがあるんです。もちろん今だから言えることなんですが、2001年のローマ・ゴールデンリーグの取材中に、キシュ選手(ハンマー投アトランタ五輪金メダリスト)と次のような会話をかわしました。おっと、その会話を紹介する前に、当時の状況を紹介しておきましょう。
 アヌシュ選手は98年に81m22と初めて80mを越えたのですが、オリンピックは96年アトランタが予選28位、00年シドニーが17位、98年のヨーロッパ選手権も8位と、ものの見事に大試合に弱い選手でした。しかし、01年に入って5月に82m37と82m81、6月に83m39とまた一段階上のレベルの記録を連発。ただ、3試合ともハンガリー国内か東欧のローカル試合(都市名しかわからないのですがゾンバトヘイ、タタベーニャ、ザラエゲルツーク)。大阪GPにも来ていませんでした。言うなれば、未知の強豪。しかし、ハンマー投の行われる数少ない国際グランプリであるローマ・ゴールデンリーグには、絶対に出てくると思ったのです。賞金もローカル大会とはけた違いのはずですから。
 実際、シドニー五輪2位のヴィッツォーニ(伊)は地元だから当然として、金メダルのジョルコフスキ(ポーランド)、キシュとゲーチェックのハンガリー勢、そして室伏と8月のエドモントン世界選手権で上位を狙う顔触れが勢揃いしていました。5〜6月に出した記録から、アヌシュ選手がエドモントンの金メダル候補であることは確かなので、どんな選手か見ておきたかったのです。しかし、アヌシュ選手だけが出てこなかったのです。
 ローマGLはハンマー投だけが他の種目よりも早い時間帯に行われ、運よくインフィールドで撮影取材もできてしまいました。室伏選手がゴールデンリーグ日本人初優勝を飾ったのですが、試合後キシュ選手と目が合うと「わざわざ日本からムロフシの取材に来たのか」という表情でニッコリ笑ってくれたので、思い切って同じハンガリー選手であるアヌシュ選手のことを質問しました。
寺田 どうしてアヌシュ選手は、ゴールデンリーグなのにこの大会に出場しないんだ? ケガをした情報とか、持っていないのか?
キシュ いや、ケガはしていない。
寺田 じゃあ、病気なのか?
キシュ いや、病気でもない。
寺田 ケガでも病気でもない? 契約上の問題か?
キシュ 契約の問題でもない。ケガでも病気でもない。
寺田 じゃあ、何が理由なんだ?
キシュ あなたのここで考えてみてくれ(と、自分の頭を指さす)。

 アヌシュ選手の大試合での弱さや、ローカル試合でしか記録を出していないこと、キシュ選手のこの話から、薬を使っている選手なのかな、という想像はできました。この年のエドモントンも9位と入賞を逃しています。
 翌年からですね、ヨーロッパ選手権とワールドカップに優勝と、国際舞台でも結果を出すようになったのは。昨年の世界選手権は銀メダル。これだけ大きな試合で優勝やメダルを取っていれば、ドーピング検査も確実にしているはず。メンタル的に大舞台に弱いだけだったのかな、などと考えていました。
 一時、キシュがIOCの聴聞会か何かでアヌシュの弁護をするという記事を見て、あれ?って思ったのですが、キシュが出席して弁護をしたという記事は見ていません。まあ、国の偉いさんから圧力がかかれば、弁護をせざるをえなくなるのかもしれませんが。


◆9月2日(木)
 今日は電話取材を4本。どの取材も、ものすごく面白い話を聞くことができました。ページを増やしてもらえないかとR誌(ある雑誌の略)編集部のA山次長に相談したら「ダメです」とのこと。仕方ありません。寺田が編集者の立場だったら、同じことをライターに言ったと思います。同じメディアに関わっていても、立場によって考えが微妙に違ってくるのは当然です。
 陸上競技でも同じこと。“現場当事者”である選手と指導者でも、考え方や意見は異なりますが、選手と記者だったら、もっと感じ方や評価が違います。8月31日の日記にも書きましたが、油谷繁選手の5位を我々は高く評価しても、選手自身は残念な結果と受け取ります。選手の方が結果に満足しない傾向はありますね。そうでないと、その後の厳しい練習に向かえないという側面もありますから。
 展望記事を書いていても悩むことはあります。例えば今回の内藤真人選手。内藤選手自身は準決勝を突破することが目標と何回かコメントしていますが、展望記事では110 mHは2次予選が山場と書きました。01年&03年の世界選手権と違って2次予選があることや、今季の内藤選手のケガのことを考えた場合、準決勝に進出したら健闘と判断できたからです。選手の方が高いところを見ていることが多いのですが、昨年の末續選手やエドモントンの為末選手のように、それを実現してしまうとものすごいインパクトがありますね。「次の展望記事は、みんな決勝に行けるって書こうかな」なんて思ってしまいます。最近のレベルだったら、自己記録を出せば決勝に行けるケースは多いですから。現実的には、オリンピックや世界選手権で力を出し切れるケースは選手全体の10〜20%なので、その辺の書き方が難しいところです。
 目標とするレベルでなく、結果に対する価値観が違うこともあります。昨日の日記で紹介した01年のローマ・ゴールデンリーグでのこと。寺田が日本人ゴールデンリーグ初優勝と盛んに口にしたのだと思います。室伏広治選手が「ゴールデンリーグ日本人初って、そんなに意味のあることですか」と、問い返してきたことを覚えています。今回のアヌシュ選手失格による繰り上げ金メダルの報道を見てもわかると思いますが、室伏選手は“結果としての金メダル”であって、重要なのはそこまでの過程だと考えている。
 でも、我々メディアの人間は、“日本人初”とか“68年ぶり(マラソン以外の種目での金メダル)”という部分は、きっちり評価して紹介しないといけないわけです。指導者も、結果としてのメダルや記録は、選手の価値を世間にアピールするために必要と考えている点で、当事者の選手とは感覚が違います。その辺が立場の違いです。
 ただ、室伏選手のような価値観も、理解できないと記者は務まりません。日頃、選手に接していない一般誌の編集者なんかで、その辺の感覚をまったく理解できないメディア関係者も多いですね。それを説明するのが我々の役目なんでしょうけど、これが大変なんです。おっと、こう書くと後ろ向きな姿勢に受け取られますので、順番を逆に書きましょう。説明するのが大変ですけど、それが我々の役目です。


◆9月3日(金)
 以下のような記事が読売新聞に掲載されました。

「東京大都市マラソン」東京都と日本陸連が構想

 東京都の石原慎太郎知事は3日の定例会見で、世界の有名ランナーと一般ランナーの男女計3万人以上が参加する「東京大都市マラソン」(仮称)の開催構想を、日本陸上競技連盟と共同でまとめたと発表した。都は、既存の3大会を統合したうえで、来年秋から冬にかけての開催を目指す。今後、各大会主催者らと協議を進める方針。

 都が統合を目指すのは、「東京国際マラソン」「東京国際女子マラソン」「東京シティロードレース」。

 都や日本陸連によると、世界の一流レースは男女関係なく、選手と一般市民が一緒に走る形式が主流。皇居、銀座、都庁、レインボーブリッジなど景観のいいコースを設定し、多くの観光客を誘致できるアジア最大の大会にしたいという。

 石原知事は「ニューヨークやロンドンの大会では、ばく大な経済効果を上げている。世界中から注目を浴びる大会にしたい」と語った。 (読売新聞) - 9月3日20時18分更


 詳しくは8月29日の日記を見て欲しいのですが、寺田はこの手の欧米型マラソンが好きではありません。でも、金銭的にレースを成立させる部分というか、政治的な考えも理解できないわけではありませんし、最終的にはそちらの事情を優先せざるを得ない社会だということも、わかっているつもり。
 でも、せめて、男女時差スタートにしてください。女子の方が30分先にスタートするのがいいと思います。エリートランナーの先頭争いは女子は女子だけで、男子は男子だけで展開し、それがテレビ放映される。それがマラソンの普及には重要です。あっ、それでも取材が大変になります。今でさえ、レース後の選手を捕まえるのって大変なんですから、それが男女の上位選手たちが次々にフィニッシュしてきたら……うーむむむむ。
 市民ランナーは増えてお金が上手く循環しても、エリートランナーが減ったり弱くなったら、(我々にとっては)まったく意味がありません。欧米の賞金レース開催都市で、その国の選手のレベルが高いところって、あるでしょうか。アメリカ、イギリス、ドイツ、オランダ……ねっ。ラドクリフ(英)やドロシン(米。旧姓です。今の名前忘れた。アテネ五輪銅メダル)など例外的に強い選手はいますが、レベルとしては日本、ケニア、スペイン、イタリア、メキシコ、南アフリカ、韓国なんかの方がよっぽど高い。偶然でしょうか。
 そういえば、賛成意見もメールでいただいていました。以下に抜粋させていただきます。
 北海道マラソンのTV中継や男女時差スタート案、同意見です。私は札幌在住で沿道に応援に行きました(強風でした)。市民ランナーの走りは沿道で見ているとすばらしいのですが、TVで見たいとは思いません。だいいち女子の先頭にとっては危険です。
 ただ北海道マラソンというのは、コンディションや選手の事情もあるのでしょうけれど、エリート選手同士のやり合いを楽しめる展開にはなかなかなりませんね。ちょっと残念です。ベルリンや東京国際・千葉駅伝などで堪能できる、レース展開や選手の状況を的確にとらえた近田アナウンサーの実況がはえるような激しい角逐が、北海道マラソンでももっと見たいです。
 今回の近田アナウンサーの実況で、川嶋選手が先頭集団にいたことを教えてくれたのがよかったです。参加していたことも知らなくて、あやうく気がつかないところでした。

 と、感じているマラソン・ファンも多いですよ、石原都知事&陸連のお歴々。なんて、こんなところで書いても意味がないですから、ロビー活動でも積極的にしましょうか。


◆9月4日(土)
 デ・リマ選手の飛行機ポーズを、どこかで見たことがあると8月29日の日記に書いたら、97年福岡国際マラソンのチュグワネ選手だったよ、というご指摘を2人の方からいただきました。ありがとうございます。この件で寺田の記憶力は大したことはない、というのが判明しましたが、文章にするに際して記憶に頼らない寺田の姿勢も、なかなかかな、なんて、なんてなが多いんだろう……じゃなくて、自画自賛していいのだろうか。
 自分の記憶を絶対と思わない姿勢も大事ですが、メディアに出る情報も絶対と思ってはいけません。アテネ五輪の男子4×400 mRのラップタイムが、翌日の新聞に掲載されていました。それによると、
1走 44秒81
2走 45秒84
3走 45秒01
4走 45秒33

 というタイム。100分の1秒まで記載してあるということはたぶん、記者が測ったのではなく、現地でこの数値が発表されたということでしょう。いくら山口有希選手が強いからといっても、助走なしの1走のタイムが2走の小坂田淳選手を1秒も上回るなんて、ちょっと考えられません。たぶん、800 mのスタートラインでなく、バトンが渡った時点で止めたのでしょう。たまに、国際大会でもいい加減な計測の仕方をしますから。3・4走はフィニッシュラインでの計測ですから、間違えないはずです。
 メディアの情報をなんでも疑えと言っているのではありません。判断力を働かせましょう、ということです。まあ、ある程度の知識がないと、判断力も働かせようがないのですが。
 ロシアの北カフカス地域、北オセチア共和国の小学校をテロリストが占拠する事件がありました。テレビ報道を見る限り、なんとも悲惨で非道な事件で、視聴者はテロリストへの憤りを感じたことでしょう。しかし、テロリスト側から言わせると、ロシアはもっと悲惨で非道なことをチェチェンでやっていると主張するはずです。実際に、チェチェン側の視点で書かれた記事もあります(決して、今回のテロを正当化しているわけではありませんよ。報復をしないのが平和への近道、というのが寺田の持論ですから)。今回、我々が見たり聞いたりしている情報は、ロシアを通したものでしかないのです。マスコミの情報が何に基づいているかを見極める目は必要だと思います。
 以前、無名だった頃の馬家軍選手が中国国内のマラソンでものすごい記録を出して、「絶対に距離が短いよ」と決めつけてしまいました。その後、世界選手権(93年シュツットガルト大会)で馬家軍がものすごい走りを見せ、自分の浅はかさを思い知ったことがあります。アテネ五輪の4×400 mRのラップも、もしかすると正しいかもしれません。幸い、今回のケースは選手たちに直接確認することもできます。疑問計時だと騒ぎ立てるだけでは、馬家軍のときの教訓が生かされていません。その辺のフォローは、しっかりやりたいと思います。


◆9月5日(日)
 最近また、くだらない考えをくどくど書くことが多くなって、日記なのに日々の行動がほとんど記述されていません。日記に書けないような仕事をしているんじゃないかと、思ってらっしゃる方もいるかもしれません。こういった根拠のない邪推が、以外と真実を突いていたりすることもなきにしもあらず。実は寺田はスパイなんです(と堂々と書けば、かえって疑われないでしょう)。そういえば、陸上界の007こと某専門誌のO村ライターにしばらく合っていません。
 昨年までだったら、9月の第一週は日本インカレが行われていました。今年はユニバーシアードもないのに何故か、日本インカレが7月でした。ヨーロッパ取材と重なって取材に行けなかったから言うわけではありませんが、7月に日本インカレをやるメリットが理解できません。7月の第一週だと、地区インカレから5〜6週間ですからね。秋だったら、5月に調子の悪かった選手が立て直してくることもあるんですが、この間隔だと活躍する選手がほぼ同じ……かと思ったら、今年はそこそこ違う選手が活躍しましたね。でも、基本的にはやっぱり、春と秋と分けた方がいいと思うのですが。
 南部記念で追加代表を狙う選手にとっても、7月第一週っていう時期は、相当にきついようです。まあ、全部の選手の都合を考えていたらキリがありませんけど。
 以前も日本インカレがシーズン前半に行われていた時期があって、秋に学生が目標とできる大会を、ということで開始されたのが6大学対校です。今年は9月19日の開催とか。その前に、関東学生ジュニアが9・10日に行われるようです。世間の目はどうしても、オリンピック帰国組に向いてしまう時期ですが、だったらなおのこと、そういった時期に力を蓄えておきましょう。確か、沢野大地選手は六大学で自己新(学生新)を出しているんじゃなかったかと思うんです。
 沢野選手が昨年、今年と国際的な大舞台で力を発揮できているのは、そういった場で競技ができることを、心の底から楽しもうと思っていることが大きいと思います。心の底から、というのは意識の上っ面で思ってもダメということです。心底思って、身体の芯から楽しんでいないとできないことだと思います。
 でも、そういった境地に達するには、何かひとつということでなく、沢野選手の競技生活、あるいは日常生活も含めた総合的な力で到達できたと思われます。技術的な要素も当然、含まれます。沢野選手がそう考えているかどうかはわかりませんが、変にメンタル面をコントロールしようとするよりも、技術レベルを上げたり安定させることが、メンタル面の安定につながることもあります。
 確かに大きな大会の方が選手の成長を促す材料は多いと思いますが、技術が選手を伸ばすという考え方に立つのなら、どんなに小さな大会でも活用できるということです。というか、おろそかにしたらもったいないと思うのです。それに、秋の試合で課題が明確になると、冬期トレーニングの方向性も定まってきます。「大きな試合がないからいいや」、と考えるのでなく、「せっかく大きな試合がないのだから何ができるのだろう」と考えるかどうかで、差が生じるのではないかと思います。
 柄にもなく説教くさくなってしまいました。


◆9月6日(月)
 すいません。昨日の日記も結局、日々の行動ではなくて、個人的な意見をくどくど書いてしまいました。寺田って、実はヒマ人なんじゃなないか、と推測してらっしゃる方もいるかもしれません。案外、当たっているかも。オリンピックって、それほど仕事がなかったんですよ。まあ、直前まで現地に行こうと悪あがきをしていたくらいですから。でも、やっと今日、自宅に帰ることができました。何日ぶりでしょう。生活パターンがずっとアテネ時間になっていたことも原因なんですが。と、一応、近況みたいなことを書いてから、いつものように“日々感じていること”を書いちゃうのですが。
 9月3日の日記に「東京大都市マラソン」のことを書いたら、それなりに反響が多く来ました。まず、「女子が30分の時差スタートで先に出たら、女子の先頭はいいとしても、3万人規模の参加となると男子の先頭は10kmもいかないうちに、女子の最後方に追いついて、以後まったく走れない状況になってしまうと思うのですが……」というご意見。すいません、これは説明不足でした。男子の30分先にスタートするのはもちろん、エリート女子選手だけです。市民ランナーは男女の区別なく、持ちタイム順にスタート地点に着く。いきなり2時間30分前後の記録で走れてしまう市民ランナーの方もいるかもしれませんが、まあ、細かい点は置いておきましょう。基本的な部分の話です。
 次に紹介するのは、「参加する一般ランナーに対してはあまりにも“冷たい”のではないでしょうか?」というご意見。このご指摘に対し、最初は「えっ?」と思いました。市民ランナーのことに言及してはいますが、自分の意識はエリートランナーに向けられていたからです(エリートランナーという表現も海外賞金レースで使われている用語です。違和感のある言葉ですが、市民ランナーと区別するため、便宜的に使用します)。
 いい例えかわかりませんが、100 mで日本のトップクラスの選手を考えるときに、11秒台の選手のことまでは考えません。市民マラソンって、マラソンいう文字は付きますが、実際はマラソンとは別のスポーツですよね。これも変な例えですが、テレビとパソコンのモニターが、形は同じでも中身はまったく別物のように。
 とまあ、最初は思ったのですが、「市民ランナーに冷たい」と指摘した方のメールをよく読むと、社会的な背景を論じています。エリートマラソンも市民マラソンも社会の一現象としてとらえ、大都市マラソンは市民ランナーに有益だという結論。付け加えて、近年の東京国際マラソンが男女とも低レベル化しているという指摘。寺田にはちょっと難しくて論旨を完全に理解できませんが、とにかく社会的な見地からのご意見で、競技的な部分にしか目の行っていない寺田の考えよりも、レベルが上だと感じました。
 啓蒙とはこのことでしょうか。頭の中で閃光が走りました。考えてみたら我々も、社会的なことはいつも口にしています。長距離以外の選手が大学を卒業後、競技を続けられる環境がないのが問題だと。その解決のために、忙しい日常生活を送っている陸上競技OBの目を、もう一度グラウンド(競技会や陸上競技の報道)に向けさせて、ファンを増やそうというのが、このサイトの目的の1つでもあります。そういった環境から子供たちに少しでも、陸上競技に関心を持ってもらえたらいいなあと。
 市民マラソンも同じかもしれません。市民マラソンの土壌があれば、そのなかから競技レベルで頑張ろうと考える人が増える。坂本直子選手が走り始めたきっかけも、市民ランナーだったお父さんの影響です。それに、普通の人より市民ランナーの方が、マラソンや長距離に興味を持ってくれる確率は高いはず。エリート競技が成立するための経済的な背景にもなり得ます。だったら、お互いに協力しあう存在であっていいはず。同じ公道を同じ距離を走り、お互いにプラスがあるならどんどんやるべきです。最近はパソコンでテレビが見られるのが当たり前になっていますしね。


◆9月7日(火)
 今日は結果的に休日モードに。
 アテネ時間で仕事をやっていたこともあり、昼頃に起床して、自宅からあっちこっちに電話をしました。先週後半からはオリンピック関係の仕事に加え、次の大きな仕事のアポ取りや段取りも並行してやっています。連絡に費やす時間が多いような気がしますが、その分のギャラが出るという話なので文句は言えません。言えないどころか、編集者的な仕事ですから、昔取った杵柄(きねづか)、得意分野のはずです。ところで、杵柄って見たことがないのですが、何なのでしょう? すいません、最近の若い者(?)は物を知らなくて。
 杵のえ。杵の手でにぎるところ。「昔とった杵柄」の形で用いられることが多い。Kokugo Dai Jiten Dictionary. Shinsou-ban (Revised edition) ゥ Shogakukan 1988.国語大辞典(新装版)ゥ小学館 1988.
 しかし、この時期、山奥で合宿をしている関係者も多く、携帯電話がつながりにくいですね。まあ、携帯電話のなかった時代に編集者をやっていたわけですから、頑張れないわけはない、はず。でも、4年間ライターをやっているので……(と、やや後ろ向きな姿勢も)。
 オリンピックは分水嶺のように大きな試合というか、区切りと位置づけられる試合ではありますが、陸上界全体の流れとしてはもう次に向かっているわけで、必然的に寺田の仕事も一段落することはありません。いつもの繰り返し。とはいっても、4年スパンの仕事の流れ、カッコをつけて言うなら目標やテーマみたいなものもあると、何度か書いてきました。次の4年間に向けて、どんなスタンスで仕事に取り組もうか、ちょっとは意識しています。無理に考えようとしなくても、自然に浮かんでくるでしょう。
 休日モードになってしまった理由の1つに、昨日からあるミステリ(推理小説)を読み始めてしまったことも挙げられます。正確に言うと読み始めたのでなく、読み直しているところ。(たぶんパリ世界選手権の取材以前に)420ページのうち303ページまで読み進んでいたのですが、犯人やプロット(構成)がいまいち見えてこなくて。でも、ちょっと考えればわかりそうな感じもしたので、読むのをストップしていたら、忙しくなってしまって…。そういう本があと2〜3冊は残っていますね。
 ディテールも忘れてしまっていますから、最初から読み直した次第。昨晩のうちに100ページ、今日200ページで中断した303ページまで来ました。全部で4つの殺人が起こるストーリーですが、最初の事件でほぼ、犯人と全体のプロットがわかりました。プロットがわかればトリックもある程度わかります。1年前は、黒板を爪でひっかくような嫌な擬音が頭に響いていたのがウソのようです。
 というようなことを考えていたら、はたと思いつきました(月末には三井住友海上・高堰マネが結婚されます)。記事を書くときに、似ているケースがあるんです。特に大物選手の場合、ついつい最近の動向・言動ばかりに目が行ってしまいがちですが(この1カ月でここが変わったとか)、一度、そういった部分に集中している気持ちをリセットして、その選手の過去からの流れを大きなスパンで見直してみると、記事を書くにあたって見えてくる視点もある。ごく稀にですけど。選手の実名を挙げて具体的に説明できるとわかりやすいのですが。


◆9月8日(水)
 なかなかアテネ時間の生活から抜け出しきれず、昨晩は結局、一気に読みかけのミステリ(推理小説)を読破。2番目の犯行の主犯と従犯を取り違えていた以外は、ほぼ予想通りのプロットでした。
 11時に起床してあちこちに電話連絡。15時から某誌編集部で写真探し。自分のパソコンを持ち込んで、CD−ROMに保存されている写真ファイルを検索していく作業でしたが、これが思いのほか時間がかかってしまって、さあ大変。普通だったらバッテリで3時間作業ができるのですが、CDから読み出す作業は消費電力が大きく1時間20分でバッテリ切れ。泣く泣く、新宿の作業部屋にACアダプタを取りに行きました。作業内容を甘く見ていたのが失敗の原因。また1つ、勉強させてもらいました。

 オリンピックの影響だと思いますが、最近、海外在住の方から立て続けに2通、メールをいただきました。1人はスウェーデン在住14年の方で、スウェーデン・フィンランドの対抗戦についての情報をお書きくださっています。ちなみに、七種競技金メダルのクリュフト(スウェーデン)は以下のような成績だったとか。
9/4 (Sat)
15:30 200m (2) 23.30
16:40 3-step (2) 13m87 = PB
9/5 (Sun)
14:00 long jump (1) 6m54
14:30 100m (4) 11.66
15:10 high jump (1) 1m84
16:20 100m-H (4) 13.36

 この対抗戦の位置づけは、その方のメールから引用させてもらうと「両国にとっては世界選手権やオリンピック並の大イベントです。日本で言えば、野球の日本シリーズに匹敵するかも知れません。現に(準国営)スウェーデンテレビが毎年完全中継している」とのこと。メール中でスウェーデンとフィンランドの歴史的な関係にも言及され、「何故、日本は韓国・北朝鮮と定期戦を行なわないのか不思議に思えてしまいます。そこで提案ですが、日本選手権とは別に、日韓(或いは日韓朝3国)対抗戦というのを推進しては如何でしょうか?」と、提案されています。
 以前は、日中対抗戦(屋外)がありましたが、いつの間にかなくなり、最近は室内で行われています。屋外では東アジア大会が4年に一度行われていますね。ただ、どの大会も選手の意気込みがちょっと低いことは否定できません。それを考えると確かに、日韓戦は「負けられない」と、気合いが入るでしょう。
 問題は韓国のレベルがどうか、ですね。中距離や男子マラソン、女子砲丸投など一部種目を除けば日本が圧倒的に強いような気がします。あっ、やり投も強いですね、韓国は。仮に、将来的にレベルの問題が解決されたとき(両国が拮抗した場合)、開催時期の問題が浮上するかもしれません。今でも、試合数はけっこう多いですからね。本気モードの試合が多くなりすぎると、故障やスランプの原因となる選手の疲弊にもつながりかねません(ただ、実業団の韓国遠征なども実施されていますから、選抜するメンバーや時期は工夫できる部分でしょうか)。
 それよりも、5日の日記に書いた部分がどうなのか。意識の高い選手は小さな試合でも成長のステップにできるはずなんです。でも、緊張感のある試合で初めて、成長のヒントを見つけられるという選手も多いような気がします。しかし、過密日程でケガにつながる恐れもある。本気モードの試合が増えることがいいのか悪いのか、寺田の中では結論が出ていない部分です。
 (接続詞に困っていますが)1つ、興味深いデータがあるのです。陸上競技マガジン9月号P106で野口純正氏が、過去の国別オリンピック・メダル獲得数を紹介されています。それを見ると1位・アメリカの715個、2位・ソ連/EUNの214個、3位・イギリス191個、4位・ドイツ/西ドイツ125個、5位・東ドイツ124個に続いて、フィンランドが114個で6位、スウェーデンが88個で7位と続いています。東ドイツはあれですが、人口当たりのメダル獲得数では北欧2国は群を抜いているんじゃないでしょうか。
 対抗戦があるからレベルが高いのか、それとも、伝統的に陸上競技が盛んだからなのか。やっぱり、簡単には断定できない部分でしょう。
 もうお一人はアメリカ在住でスポーツ経営学を学んでいられる方。こちらは、日を改めて紹介させていただきます。


◆9月9日(木)
 今日は午前中から(といっても午後に近い)アポ取りのために電話をかけまくりました。14時頃まで、休むことなくかけ続けましたね。電話取材っぽいのも1つ。なんとか、ある一連の企画の取材が、スケジューリングできてホッとしています。アポ取りを成功させる秘訣は粘り……でしょうか。
 ここでホッとして、2時間ほどダウン(=眠った)。おかげで体調は良好かも。
 苦労すると思った取材のアポ取りが一気にできたのとは対照的に、ある連絡がつきません。本来、こちらの方が楽にできると思っていた連絡なのです。明日のスケジュールなんですけど……。
 今日は夜の21:30からある選手の取材。ここまで遅い時間の取材は、試合を除けば初めてかもしれませんが、夜までいつもと同じ感覚で一日の時間を使えるので、お昼とか夕方の取材よりもいいかも。ナポリの寺田もいいカモでしたが(7月4日の日記参照)。
 都内某所のファミレスで2時間ほど取材をしました。オリンピックに出たある選手ですが(さすがに女子選手ではない)、自分のテレビ中継はまだ見ていないとのこと。寺田が録画画像をDVDにダビングしてあったので、それをパソコンで再生して見てもらいながらの取材となりました。これも初めてのことですね。ある技術的なことについて、かなり面白い話を聞くことができました。どの媒体に書くかを明かせないのが残念です。
 昨日、トップページで寺田の従兄弟が運営している愛犬デジタル工房のサイトを紹介しました。一見、陸上競技とは何の関係もないように思えますが、実は大あり。一昨日、本屋でこんなムックが目に留まったので、1050円と安くはありませんが購入しました。「走る革命」突然、足が速くなる!という、そのものズバリのタイトルです。金哲彦氏の対談に、伊東浩司・井上悟・谷川真理という著名選手へのインタビュー記事も収録されていましたからもう、買うしかありません。トップレベルの選手がさらに記録を伸ばすため、というよりも、一般人がコツを覚えて速く走れるようになる、という視点。若年層にとっては、とっても重要な部分です。
 それが何で愛犬デジタル工房と関係があるのかというと、伊東浩司監督が記事中で、200 mに比べると100 mは「つらすぎて嫌だった」ということに関係して、次のように話しているのです。
「僕はいま動物をたくさん飼っていますが、短距離走者で動物を飼っている人って多いんです。あの高野進さんも猫を飼っていますし、末續にしても犬がペットです。心がね、繊細なんだと思いますよ」
 だったら、このサイトの読者に愛犬家が多いかもしれないと、次第に思い始めた次第です。伊東監督のこのコメントがどう、短距離と関連しているのかは、ムックを買って読んでください(当たり前ですね)。
 今さらですけど、ムックのタイトルにもある“足が速い”っていう表現ですが、ちょっと変ですよね。本来なら“走るのが速い”とか“足を動かすのが速い”という表現すべきこと。同じようなことが手に関する表現にもあります。“手が速い”は“腕振りが速い”とか、“逆立ちで走るのが速い”という意味になるはずなのに、実際にはS記者のような人物を指す言葉です。あっ、それは“手が早い”かな。


◆9月10日(金)
 久しぶりに、日記をその日中に書いています。
 昨日の日記に連絡が取れないと書いた件ですが、これがねえ(“ねえ”は朝原宣治選手口調で)、連絡が取れませんでした。通常の取材は、どこかのメディアから依頼されてすることが多いのですが、今日行こうと考えていた取材は、依頼なしの完全自主取材になるはずでした(有名選手の共同会見などに、特定の依頼もなく顔を出すこともありますが)。そういうところにこそ、その記者の姿勢が表れると思っていたので、連絡が取れたら多少のスケジュール変更を余儀なくされても行こうと思っていたのですが。寺田の粘りも足りなかったと思いますが、ちょっと残念です。いや、かなり残念。

 さて、アテネ五輪も終わって、何人かの選手は現役を退くかもしれません。30歳を越えている朝原・小坂田淳土江寛裕選手などが、以前からその可能性をにおわせていましたが、オリンピック中やその後の記事、本人のサイトなどを見ていると、朝原選手と土江選手は現役続行もありそうな印象を受けました。選手もセカンド・ライフ(って言うんですか)を考えないといけないので、他人がどうこう口出しすべきことではありませんが、個人的には続けて欲しい選手ばかり。朝原選手のインタビュー中の“ねえ”が聞けなくなるのは寂しいですからね。
 関西弁の“ねえ”は、そのイントネーションの違いからか、関東の言葉にはない趣があるんですよ。特に朝原選手が話すと。ビデオを保存している人は確認してみてください。見つけるのにすごく時間がかかるかもしれませんけど、損はさせません。意図した走りが微妙にできなかったときに「これがねえ」とか「それがねえ」と、朝原選手はよく言っていると思います。変な質問を受けたときに「それはねえ」と答えているときの“ねえ”は、また微妙に違う。
 思いっきり個人的な希望ですが、――朝原選手のレース後のインタビューに於ける“ねえ”の違いと好不調の相関関係――という、論文のタイトルのような特集をやって欲しいですね、京都新聞か神戸新聞に。関西色を出したいい記事になると思うのですが。でも、活字よりも映像メディアの方が、わかりやすいかもしれません。だったらTBSの坂井ディレクターの出番でしょう。他は考えられません。

 ところで、昨日の日記で書いた“足が速い”という表現は変だというネタですが、そのムックの対談中で金哲彦氏は「“足が速い”ではなくて、古武術的な表現をすれば、“カラダの捌きが速い”」と話しています。足で走るのでなく、身体全体で走るのだということを強調しているのです。詳しくはムックを買ってくださいって、宣伝するあれもないのですが。
 まあ、真面目に書くと(いつもは不真面目なのか?)、「足」または「脚」という言葉自体に、「走ること」という意味があると思われます。“脚自慢”といったら、レースクィーンの脚が綺麗という意味ではなく、走るのが速いという意味です。
 同じように“手が早い”という場合の“手”には
人とのかかわりあい、交渉、関係、縁。特に、男女関係にいう。「手をつける」「手を切る」 Kokugo Dai Jiten Dictionary. Shinsou-ban (Revised edition) ゥ Shogakukan 1988.国語大辞典(新装版)ゥ小学館 1988.
 という意味があります。人間にとって最も身近にある手や足は、本当に多くの意味で使われているのです。日本語って、奥が深い……と思ったあなた、英語を研究して比べたのでしょうか。中国語やアラビア語、スワヒリ語やロシア語の知識はありますか。などと、馬鹿なことを書く前に、昨晩取材した記事を書きましょう。
 最近、気合いを入れて日記を書いているせいか、反響メールがけっこう来ています。面白いものは紹介していく予定です。


◆9月11日(土)
 昨晩は頭が冴えに冴えて(アテネ時間生活から脱却できていないこともあり)、朝10時30分の国際電話取材まで一睡もしませんでした。取材はオフレコネタが多くて苦労しましたが、午前中じゅうに原稿(40行)もほぼ書き終えました。その後に寝たのものですから、アテネ時間以上に変な生活時間に。明後日から、早起き取材が2週間ほど続くので、なんとか調整しなければ、レバ、デレバ、レベデワ(五輪記念ギャグ)。

 市民ランナーに冷たい、との指摘を受けた寺田ですが(9月6日の日記参照)、ある女性陸上関係者の日記(*1)には「温かいメールを送ってくれた」と書かれています。送信する前に懐に入れ、37℃に温めて送ったのがよかったのでしょう。「冷たい」と指摘された方も、何度くらいに冷たく感じたのか書いてくれると、程度がわかったのですが。
「最近、内容が重いですね」という指摘もいただきました。たぶん、先月末からのドーピングや大都市マラソン、立場の違いによる見解や感覚の違い、に関するネタのことを指しているのでしょう。確かに、自分で書いていてもちょっと重いかな、17ポンドくらいかな、という気はしていました。それはあくまで書き手の感覚ですから、読み手には20ポンドだったのか16.3ポンドだったのか、書き添えてくれるとわかりやすかったです。昨日あたりから軽くなっているはずですが。
 陸マガやクリールで活躍するライターの野口順子さんの家庭では、必ずマラソンの記録で、ものごとの程度を表現されていたとか。陸上競技ファンたるもの、かくありたいものです。
(*1)同じ日記には、プリンス近藤(読売新聞・近藤記者)と思われる人物の記述もあります。

 昨日の朝原選手の口調ネタですが、レベルが高過ぎて理解しにくい内容だったかな、と心配していましたが、静岡方面の反応を見る限り、わかっていただけたかな、という感じ。最悪、イメージできるのは、朝原選手のインタビューをよく聞いている記者仲間だけでもいいかな、と思って書いたのです。
 何回か日記に書いていると思いますが、この話も自分のサイトだから書けること。他のメディアには絶対に書けない内容です。というのは、普通のメディア(テレビ・新聞・雑誌など)は、受け手が理解しにくいことは載せないスタンスだから。どうしても、わかりやすさに重点を置きます。昨日の朝原選手ネタも、文字で伝える限り実感できる人はごく限られています。でも、そうして、伝達する相手を条件付けをして絞ることで、レベルの高い内容になるのも事実でしょう。
 例えばですが、末續慎吾選手と高野進コーチの会話は、極めて感覚的な言葉が単発的に交わされていて、関係者以外が聞いてもまったくわからないといいます。かといって、報道する価値がないかというと、そうでもない。末續選手があそこまで強くなると、多少のわかりにくさは伴っても、末續・高野師弟の雰囲気を伝える上では有用な部分になるわけです。
 ですから、特定の相手にしかわからないような内容を書くことも、大事なことじゃないかな、って思って書いているわけです。だったら朝原選手も口調ではなくて、もっと役に立つこと、朝原選手らしい奥の深いことを書けって? 何cmくらい深くしたらいいでしょうか。


◆9月12日(日)
 夜には実家へ移動しようと思っていたので、原稿を頑張りました。昨日、40行1本と150行を1本。今日も150行を1本。日曜日ということでメール着信も少なかったのですが、東学大の学生の方からリンク依頼のメールがありました。同大学の公式サイトができたのです。

 このところ、個々のメールに返信を出すことは少なくなっています。仕事用の別アドレスのメールは違いますよ。このサイト経由のメールに対しては、ということ。メールのほとんどが日記を見てのご意見と、リンク依頼です。ご意見メールに返信を出そうとすると、そこそこ時間がかかってしまうんですよ。メールを送ってくれる方は、それなりの考えを書かれてくるということで、長文メールも多い。それに対して2〜3行の返信というのは出しにくいのです。M田カメラマンや、S原さん、箱根八里さんのように知り合いの方だったら、2〜3行で気軽に返事が書けるのでいいのですが。
 ということで、送っていただいたメールで面白いと感じたものは、この日記で取り上げるようにさせていただいています。労力を使って返信を書いても、それが1人しか読めないっていうのは、効率が悪いと思うんです。一応、こちらも書いたものを公にすることが生業なのです。ということで、日記へのご意見メールは、ここで公にされてもかまわない、という方だけにしてください。
 もちろん、取り上げないメールもあります。アテネ五輪の男子ハンマー投の繰り上げ金メダルに関して、どうでもいいご意見も2〜3通来ました。どうでもいい、の判断はあくまで寺田がします(当たり前ですが)。そういうメールはお蔵入り状態になりますが、知り合いでない人間にメールを送るという行為は、そうなる可能性もあると覚悟してください(やや強引というか、少しタカピーですね)。
 あとは、以前にも書きましたが、返信しようと思っていても、何を書いたらいいのか迷っていて、そのうちに忘れてしまうパターン。かなり失礼ですが、こちらにも仕事の優先順位があるってことで。これも、かなり生意気な奴と思われるかもしれませんが、ネット上では明確な(強引な?)キャラにした方が受けがいいでしょう。

 リンク依頼のメールも同様に、リンクをしたらわざわざ、返信する必要はないと思っていましたが、今日の東学大学生の方には速攻で返信。共通の知り合いがいたので、ちょっと質問したいこともあったのです。その返信は30秒で書いたと思います。
 そういえば、寺田の好きなある作家で、WEB上に日記を公開している人がいるのですが、その作家はメールの返信を極力、全部するのだそうです。寺田も5年ほど前に、メールを送ったことがありました(確か、三段跳がネタになっていたので)。そうしたら、本当に返信が来ました。1日、50通以上の返信をしているといいますが、その人の本職は大学助教授で、1日の時間配分をネット上で公開されています。そこから計算すると、返信1通に1分とは時間をかけていないことになるのです。
 なんという頭の回転の速さ。真似できるわけがないのですが、ちょっとトライしてみようかな、とも考えている昨今です。そういえば、仮面ライダーとかウルトラマンとか、ライオン丸とか変身忍者嵐とか、「戦闘中に変身ポーズをやっている時間があるのか」という批判はあるものの、だいたい30秒以内では変身していました。

 なんとか19時に一通り原稿を書き終え、20時にWSTFを出発。移動中に、昨日からの原稿3本の推敲をしようと思ったのですが、眠くてダメでした。23時に袋井の実家着後にほとんどをやりました。明日は名古屋方面で取材です。出張経費は日帰りの往復分だけ。途中下車などでかかる新幹線代などのプラスアルファ分は自腹。当たり前ですが。


◆9月13日(月)
 生活時間の乱れていた寺田ですが、ラッキーなことに昨晩は1:30には寝付いて、6:00に起床して仕事を開始。8:30には実家を出て取材に向かいました。今日から13人の選手・指導者にインタビューするという、ある一連の取材が始まります。後半になると、スーパー陸上や全日本実業団もある。8月よりも忙しくなりそうです。

 具体的な場所は明かせませんが、名古屋で新幹線を乗り換えての取材。名古屋駅構内の移動は手慣れたもの(池袋駅よりも把握しています)。けっこう多く来ていますからね。3月の名古屋国際女子マラソンに11月の全日本大学駅伝(前日の開会式)だけでなく、岐阜で行われる中部実業団や全日本実業団対抗女子駅伝、中部実業団対抗駅伝も、必ず名古屋で乗り換えています。
 しかし、残念なことに観光は一度もした記憶がありません。名古屋の雰囲気って、けっこう好きなんです。大都市にあるものはほとんどありますが、東京や大阪よりもどこか落ち着きがある(上手く表現できないのですが、ニュアンス伝わりますでしょうか)。それでいて、100m道路があったり、近くに豊田市という特異な存在の街もあります。
 人材などソフト面で頑張っている印象もあります。たまたまかもしれませんが、寺田が知っている文化人や芸能人、学者などでこの地域出身の人が多いのです。イチロー選手や室伏由佳選手、今井美希選手、岩水嘉孝選手、内藤真人選手の名前を出すまでもなく、著名スポーツ選手も多い。

 名古屋で思い出しました。昨日ネタにした仮面ライダーは、寺田が小学生の頃に大人気だった変身もののヒーローです。放映したキー局はテレビ朝日でしたが、その頃、静岡の民放はTBS系の静岡放送と、フジテレビ系のテレビ静岡の2局だけ(今は4局あります)。どうしていたかというと、静岡県西部は愛知県の電波が受信できたので、画面にザラつきはありましたが、名古屋の放送局のお世話になっていました。
 実はテレビ静岡でも仮面ライダーを、数週間遅れで放映していました。系列の違いを乗り越えて放送していたわけで、今から考えると視聴者のために頑張ってくれたのだとわかりますが、子供心には「なんで?」としか映りません。つまり、仮面ライダーの放映が理由で名古屋はすごい、静岡は遅れている、という卑屈な意識がありました。
 ところが、高校生になってみると、静岡の陸上競技が愛知県よりもレベルが高いことがわかり、幼少時の鬱憤が少し晴れたような気になりました。自分が強いわけじゃないのに、人間の心理とは勝手なものです。今は両県の陸上競技の競技力は完全に逆転……していると言っていいのかどうかわかりませんが、少なくともオリンピック代表で比べると、愛知県の高校出身選手の方がはるかに多い(3人と0人)。
 でも、それで子供の頃のように卑屈な気持ちになることはありません。少しは大人になったのか、それとも、阪神ファンの心境(負けても我慢できてしまう)になったのか?

 などということを考えながら、名古屋から新幹線に乗って帰京。陸マガ編集部に寄って、発売日よりも1日早く10月号をゲット。


◆9月14日(火)
今季も根気よく婚機を待つ。
 意味なしギャグ。今日発売の陸マガの記事とは無関係です。
京都新聞に大塚製薬・木路コーチの記事
 意味のある記事です。

 夜です(上の4行は朝)。昨夜は0:30に就寝、5:30に起床して仕事を始めました。どうしちゃったの僕、というくらいの早寝早起きでした。
 一昨日、メールの返信に関してちょっとタカピーなことを書きましたが、少し捕捉します(言い訳?)。自分のホームページをお持ちの方はちょっとイメージしてみてほしいのですが、よく知らない人にメールを書くのと、こうしてWEBサイトに自分の考えを書くのって、同じような感覚じゃないでしょうか。どちらも、誰から見られてもいい、と覚悟を決めて書く感覚です。だったら、返信した上で、ほぼ同じ内容をここで公開するという方法もありますね。何回か、やりましたけど。
 その点、あくまで内輪の人間に見てもらうためにサイト(特に掲示板や日記など)を運営している人は、感覚が違うかもしれません。一時、知らない人に自分のサイトを紹介されて(こんなことが書かれているよ、とか)腹を立てている運営者がいました。そういった人は、知っている人間に対し私信を書く感覚でサイトを運営しているのでしょう。だから、「なんで見ず知らずのオマエが」、とか、「ここはプライベートでやっているんだ」、みたいな言い方をする。
 どちらがいい悪いではなく、サイト運営の考え方、スタンスの違い。でも、どっちがタカピーでしょう?

 今日発売の陸マガ10月号を読んでいたら、写真で気づくことが多かったです。28ページの油谷繁選手はこれまでで一番二枚目に写っているな、とか、23ページの室伏重信先生の隣にミズノの等々力信弘・長谷川順子夫妻が写っているな、とか。26ページの室伏広治選手のパーティーの写真には、中日スポーツ・中村記者が写っています。7月末のNHKでの特集番組では、コロラドの川(池?)で室伏選手に投げられていた記者です。
 野口みずき選手の記事を読んでいたら、彼女は走り始めると性格が変わると、野口選手自身が話しています。それまで小心者だったのが、スタートしたら「行ってしまえ」と一変するのだそうです。「私って二重人格じゃない?」と思うほどだそうです。そういえば、昨年の世界選手権でも確か、レース中にある国の選手に脚を蹴られてにらみ返したことを、レース後にさかんに気にしていました。
 寺田も同じです。サイト上では別な人格なのです。タカピーで冷たくて。現実社会でもそうだったら、ちょっとまずいですからね。まあ、実際とは変えないと、ここまでサイト上で色々と書けませんよ。それに、別の人格になるのって、ちょっと楽しい。寺田はサイト上では冷血漢ですからね。このレ、イ、ケ、ツ、カ、ン、っていう響き、ちょっとよくないですか。フフ(怪人二十面相のような不敵な笑い)、貴方もなってみたいでしょう。


◆9月15日(水)
 涼しいを通り越して、寒さすら感じた一日。今日は取材が2つ。午後の取材は、ある指導者のインタビュー取材の後、練習も見学させてもらったのですが、Tシャツ+薄手のベストという格好で1時間も立っていたら、もう我慢できません。もう1枚、シャツを持っていたのが大正解でした。

 9月8日の日記で海外在住のお二方からいただいたメールの内、1つを紹介していて、もう1つが未紹介のままでした。もうお一人はアメリカ在住でスポーツ経営学を学んでいられる方です。
「アメリカでもっとも注目を浴びた選手を2人をあげるとしたら、400mで優勝したワリナー選手と、男子マラソンで銅メダルのデリマ選手ではないかと思います(銀メダルの地元・カフレジギ選手でないところが微妙です)」とのこと。そして、「正直なところ、アメリカに来る前は、「スポーツ大国アメリカでは、さぞ陸上は華やかなスポーツに違いない!」と期待に胸を躍らせていたことがありました。が、このオリンピックを通してみても、アメリカでも陸上競技はマイナー競技だと実感しています」という感想を持たれたとか。陸上競技の人気がアメリカでもそんなだとは。
 アメリカって、薬物や犯罪が世間にはびこっている割に、政治家や有名人に“クリーン”なものを求めていると、どこかで聞いたか記事を読んだ記憶があります。それを考えるとアメリカ陸上界の薬物スキャンダルはマイナスイメージかも……なんてことを論証するほどのデータを、寺田は持ち合わせていません。
 個人的な見解ですが、陸上競技は試合数を絞らざるを得ないのが、メジャーになりきれない理由じゃないでしょうか。日本の野球・サッカー・バレーボール、アメリカならアメフト・アイスホッケー・バスケットボールと、メジャーなプロスポーツはそれなりの試合数がこなせます。その点、陸上競技はそれができない。無理にやろうとしたら、記録が悪くなって、ベストコンディションでないのが素人目にもわかってしまう。
 球技のプロスポーツって記録がないですから、ベストコンディションじゃないのがわかりにくい。プロ野球の選手が毎試合最高のコンディション、最高の集中力で戦っているかといったら、違うような気がします。お互い、ベストでないコンディションで戦っているわけで、条件は同じなので、力の優劣は正確に出るわけですが。だから、試合数をこなす形態が成り立つのでしょう。
 でも、これを理由に何も手を打たなかったら、いつまでたっても陸上競技はマイナー(ファンが少ないという意味で)のまま。打開策はきっと、あるはずです。

 昨晩、新宿の博文堂という書店で某専門誌を買おうとしたら、店頭にありません。9月号はあるのに変だな、と思ってお店の人に聞いたら、「売り切れです」とのこと。陸マガもありませんでしたから、両専門誌とも売り切れということでしょう。さすがオリンピック特集号と言いたいところですが、本当かなあ。
 今日も取材で降りたある駅前の本屋に立ち寄りましたが、ここにも置いてありません。小さな観光地のような店並びで小さな本屋ですから、売り切れではなくて元々、置いていないのかも。でも、「卓球王国」は置いてあるんですよね。これは売れ残り? ピンポーン(寒っ)。


◆9月16日(木)
 真っ昼間から日記を書いています(ビールを飲んでいる、のと同じノリ)。
 今日は、昨日に続いて取材ダブルヘッダーの予定でした。ところが、午後の取材が先方の都合でキャンセルになりまして。これが実は、迷惑でも何でもない。予想外の時間ができるのって、大好きだったりするのです。予定していた取材は先送りになっただけで、その分の時間はどこかでまた必要になるのですが、まあ、嬉しいゴサンってやつなのです。嬉しいゴサンがあるのなら、悲しいゴサンもあっていいと思うのですが、あまり使いませんね(決して、回の油谷繁選手のことを言っているわけではありません)。誤算という言葉には元々、マイナス要素の意味合いがあるから“悲しい”とか付けなくていいのか。
 午前中の取材が終わって東武電車に乗っているときに、空いた時間をどう使うのがいいか考えました。もちろん、遅れがちになっている原稿を書くのがいいに決まっていますが、せっかくですから、ちょっとくらい普段はできないことにも使いたい。思いついたのが、池袋駅構内の散策。9月13日の日記に書いたように、名古屋駅構内の土地勘はあるのに、池袋駅はさっぱり。JRと東武、西武、地下鉄有楽町線・丸の内線の位置関係がまったくわかりませんし、デパートやビックカメラなどへの動線も把握していません。東武電車に乗って池袋で乗り換える予定だったから思いついたのですが、なかなかの妙案です。
 でも、やめました。わざわざ、そのために時間を潰すのもどうかと、至極まっとうな考えが自分のなかで勝ったのです。常識人だなあ。池袋で乗り換えて行く場所にあるチームが強くなれば、自然と覚えるでしょう。D大学とかJ大学とか。ヤクルトは何回か行ったことがありますが、JRなので改札の外に出ないのです。
 それよりも、本屋に行きたいな、という案が次に浮かびました(某専門誌もまだ買っていないし)。しかし、これも却下。本屋で何分間潰そうと思って、その時間通りに本屋を出た試しがありません。30分jogに行っても、必ず40分は走ってしまう選手と一緒です。寺田の本屋の場合は、30分の予定が1時間になったりするのですが。
 と言いつつ、新宿では一昨日に行った博文堂書店に寄りました(昨日の日記参照)。発売日当日に専門誌が(2誌とも)売り切れというのが、にわかには信じられなかったのです。店の怠慢でディスプレイしていなかっただけではないのか、と推測した次第。疑り深いとも言えますが、過去の経験に基づいて科学的に判断した、とも言えます。
 行ってみると今日も専門2誌とも置いてありません。科学的に仮説を立て、それを検証した結果ですから、発売日当日に売り切れたという店側の説明を受け入れるべきでしょう。疑ってご免なさい。博文堂書店さん。
 そうか。いきなりですが、店の名前の由来がわかりました。月に1回か週に1回、もしかしたら年に1回かもしれませんが、全商品1000円均一セールをやっているのでしょう。今の1000円札は夏目漱石ですが、伊藤博文だった頃の名残で。それが一昨日だったので、売り切れたのかも。あっ、でも、専門誌は1000円より安いか。この仮説はちょっといい加減ですね(だいたい、書籍・雑誌はディスカウントができないシステムなのです)。
 ちなみに、5000円札の新渡戸稲造は為末大選手の愛読書である『武士道』の著者です、よね。間違っていたらご指摘ください。


◆9月17日(金)
 最近、このサイトに記事が書けていませんねえ。個別取材は平均すると1日1つ以上にあるのに、試合や共同取材がなくて書くネタがないのです。その分、日記を充実させようと頑張っているわけですが、おかげさまで反響メールもそこそこ増えているような。
 寺田が市民ランナーに冷たい、というメールをもらったと書いたせいでしょう(9月6日の日記)。次のようなメールをいただきました(要旨を抜粋)。

 冷たいと指摘されたとのことですが、気にされることはないと思います。テレビ中継をエリートランナー同士の勝負優先にしないと、マラソン人気を支えるファンが少なくなることを危惧するのは、ひいては市民ランナーにとってもプラスになるはずなんです。テレビのお金がマラソンに回らなくなったら、大都市マラソンも運営できなくなるのではないですか。
 それに、寺田さんが問題とされているのは男女同時スタートの部分ですよね。男女別レースにするのなら、大都市マラソン自体に反対をされているわけではありません。冷たいことなんて、少しもないと思いますよ。


 どうしてこういうこと、書いてくるかなあ。人がせっかく冷血漢になっていい気分に浸っているのに(大河ドラマ新撰組の藤原竜也<沖田総司役>の口調で)。とか言っていて、内心は嬉しかったりするのです。
 冷たいと指摘された方の論点とは噛み合っていないかもしれませんが、確かに、この方のメールのように、寺田は大都市マラソン自体に反対したわけではありません。色んな例を挙げて、陸上競技界にも有用だと書き……ましたよね。それでも、海外の賞金マラソンの形態が嫌いだ、と書いたり、海外の賞金マラソン開催国は競技レベルが低い、と書いています。そのつもりはなかったのですが、市民マラソン派の人たちには冷たく感じられたかもしれません。
 クリール(ベースボール・マガジン社の市民ランナー向け雑誌)を読んだりして、記録を縮めるためにものすごい努力をしている市民ランナーの方も多くいるのは知っています。下手な実業団選手よりも高い意識で自己を律している人もいる。少ない時間を工夫して練習するなどして、個人的にはものすごく尊敬できる人たちだと思います。なかには、ファッションとして走っている人、健康維持が目的の人もいるでしょうが、そういった人たちの取り組みを否定するものでもありません。
 ただ、通常の取材で多く接するのはエリートランナーばかりで、寺田の意識の中に占める割合が低かったのは事実だと思います。冷たかったと反省し、そして、せっかく冷たいと言われたのですから、それをネタに使わない手はないと。

 昨日の日記で1000円札・5000円札の「札が冊になっている」というご指摘が2通。
 昨日の夕方、疲れからダウンしてしまった関係で、生活時間がまた乱れています。今日はひた原でしたが、アポ取り・段取りも少しあったし、体調がいまひとつで思ったより進みませんでした。160行を2本書ければたまっていた原稿がクリアできたのですが、1本で精一杯。今はよくなったので、もう一頑張り。明日は取材のトリプルヘッダー。新撰組にちなんで全部、多摩方面です。


◆9月18日(土)
 1500m日本記録保持者である小林史和選手の座右の銘はBe Your True Mind (あなたの真実を貫け・陸マガ10月号P162)。
 弘法筆を選ばずを座右の銘としているスポーツメーカー社員はいない。

 17時です。トリプルヘッダー取材が終了して帰宅したところ。さっそく日記を書こうと思ったのですが、疲れからダウン。2時間睡眠で取材に行ったせいでしょう(最近ちょっと寝付きが悪いこともあって、実質1時間眠れたかどうか)。ということで、帰宅後、先に睡眠をとってただいま丑三つ時です(具体的に丑三つ時が何時なのか知らないのですが)。

 今日の取材もめちゃくちゃ面白い話を聞くことができました。3人のうち2人は指導者で、寺田の昔の知識が役に立った感じです。
 我々、記者の能力は大きく2つに分けられます。インプットする能力とアウトプットする能力。従来の表現なら取材能力と書く能力となりますが、インプットとアウトプットの方がシンプルな表現でわかりやすいでしょう。
 寺田の場合、インプットする能力が年を経る毎に上がっていると、自分では感じています。上がっている要因として考えられるのは、まずは知識が多くなる点。どの部分を突っ込んだら面白い話になるか、その選手や種目に関する知識が多ければ多いほど、突っ込む部分が多くなります。
 話をしていて、過去の取材で得た知識と共通する部分などが出てくると、さらに突っ込んだり膨らませることができます。経験が役立つ部分ですね。
 経験はリラックスにもつながります。取材では超緊張するタイプの寺田ですが、以前の自分と比較すれば、緊張の度合いは間違いなく低くなっているでしょう。リラックスすれば、これまでの知識と、目の前で展開している話の接点が見つけやすくなるのです。

 マイナス点は話が長くなることでしょうか。相手の話の理解度が深まれば深まるほど、だったらこの点はどうですか、と突っ込みたくなる。実際に書ける文字数には制限がありますし、その文字数を埋めるだけなら、そこまで突っ込まなくてもいいというケースがほとんど。効率(必要な文字数に最低限必要な時間と労力)を考えると、どうかな、という部分です。

 アウトプットは、取材やこれまでの学習(経験)で得たデータを、記事の狙いに即して重要度のランク付け(取捨選択)をしたり、話がわかりやすく展開するように並び替えをする作業です。文章自体の巧拙(文章のリズムだったり、漢語的表現と口語的表現の使い分け。倒叙表現の効果的な使い方、比喩の面白さなど諸々です)ももちろん、アウトプット能力の重要な要素(※)
 記者にはそれぞれ、特徴というか個性があります。どこか優れているかは、記者によって違っていいと思います。寺田に関して言えば、アウトプットがいまいち…どころか下手クソでしょう。年数を重ねても、あまり上手くなってきているとも思えません(努力はしていますよ)。唯一、ニューイヤー駅伝の某記事の構成(並び替えの結果の部分)が、Yディレクター(元スティープルチェイサー)に褒めてもらえたくらい。
※この文章の巧拙だけをアウトプット能力とする定義の仕方もあります。その場合、インプット能力、(並び替えやランク付けの)処理能力、アウトプット能力の3つに分けることになります。

 寺田がどこで勝負をするかといったら、インプット能力の方かな、と感じている次第。それで毎回、この日記に「面白い話が聞けた」と書くことになるわけです。個別取材の場合は、このサイトに取材した内容は書けないのですが、寺田が聞いた話を全部公開できたら、本当に面白いと思ってもらえるのですが。
 その弊害として今日も、取材時間がもうちょっとあれば、と感じていました。


◆9月19日(日)
 昨日の日記でイニシャルを出したYディレクターから、早速メールが来ました。それによると、彼の競技人生はまさに波瀾万丈(この番組の局ですよね)。要約して紹介すると、以下のようになります。

 高校時代の5000mは15分40秒。3000mSCで9分19秒95を持っていたので(インターハイ路線はS県予選止まり)、W大競走部への入部ができた。
 S監督・Eコーチの下で急速に力を付け(同期のW選手と毎日ジョッグをしたのがよかったとの説もある)、2年時には3000mSCで8分55秒13(W大法学部記録)、1500mで3分52秒6をマーク。3000mSCでは両インカレに入賞。
 W大山下りの秘密兵器と箱根駅伝前には注目されたが、秘密兵器は秘密のまま卒業した。


 とのこと。秘密平気だけど公にしてもいいということだったので、紹介させてもらいました。ということで、緊急特集です。
「なぜ、Yディレクターは箱根駅伝を走れなかったのか?」
 判断材料が少ないので結論は出しにくいのですが、以下の4つの理由が考えられます。
@身体的に長めの距離への適性がなかった(故障も含め)
Aメンタル的に長めの距離へ適性がなかった
B3000mSCのリズムでは走れたが、ロードのピッチ走法にはリズムが合わなかった
C卒業後に進むテレビ局が、箱根駅伝中継局ではなかった
 真実は神のみぞ知る。

 プロ野球選手会のストライキについてについてどう思うか、というメールがありました。それほど注目しているわけではないので、これも判断材料不足です。今回のストライキに対する直接の意見ではないのですが、国家予算の大赤字とか、銀行の陸上競技部廃部とか、今回の球団合併とか、本当に細かい部分まで本気で経費削減をしているのかな、という疑問はあります。あくまで自分の感覚ですが、もうちょっと努力できるだろう、という感想です。小さな備品の1つ1つ、移動手段など本当に極限まで切りつめているのでしょうか。
 寺田が4年前まで勤めていた会社は、その辺はしっかりやっていましたし、独立して、自営業者となってからは、直接、収入を左右する部分なので、さらにシビアにやっています。今年の日本選手権のときなんかも……おっと、これは書けません。寺田と二瓶秀子選手の、2人だけの秘密です。川本先生も(不可抗力的に)立ち聞きしていた?

 今日は六大学が御殿場でありました(どこかにリザルツが載っていないかな?)が、昨日から書きかけの160行原稿が1本、さらにもう1本の160行原稿、50行原稿も2本書かないといけないので、御殿場行きはあきらめました。


◆9月20日(月)
 世間は3連休だそうですが、陸上競技関係者に世間のカレンダーは適用されません。せいぜい、休日出勤手当が出る…なんてケースも少ないでしょう。今日は13時から取材の予定でしたが、1時間ずれて14時からに。
 16日の日記にも書きましたが、予定外の時間ができると寺田は嬉しくて仕方がないのです。時間を持て余すなんてことは絶対にありません。パソコンは9割方持ち歩いていますし、バッグの中には読みかけの雑誌か文庫本が必ず入っています(その割に読書量が少ないのですが)。寺田の取材を受ける皆さん、どんどん時間を変更してください(ただし、早くされると辛いかも)。
 今日は、取材の予習を復習しようと思ったら、今日の取材と直接関係のない部分にも目が行ってしまいました。また無駄なことをしてしまった、とも思うのですが、ここで頭にインプットしたことが役立つこともしばしば。これに約30分。残りの30分は、午前中に書いた50行原稿の行数調整をしました。
 取材終了後、T駅のドトールで、今日取材した記事(これも50行)を速攻で書き上げました(速攻という言葉があるのに速守はないですね。攻められた後に初めて守ることができる、という考えでしょう……そうかなあ)。この3連休で取材を4本と、160行原稿を2本、50行原稿を3本書いたのか。

 最近の取材で大学関係者から聞いたのですが、近年、代替休日などで月曜日の休みが多くなったので、その通りに授業も休んでいたら、月曜日の授業が異常に少なくなってしまうのだそうです。よって、月曜日は休みの日でも授業をやるのだと。お上の意図すること(3連休にしてあげよう)と現実が噛み合うとは限らないということで(ちょっと平凡な意見)。

 昨日、プロ野球選手会のストライキにちょっとだけ触れましたが、ついでに時事ネタを1つ。小泉純一郎首相がブラジル訪問中にデリマ選手と面談し、「金メダル以上の価値がある」と言ったという記事がありました。金メダルという純粋に競技的な部分の価値体系と、デリマ選手が注目された競技以外の部分の価値体系を比べるかなあ、というのが感想。できれば、別の表現をして欲しかった。
 元々、政治は違う価値体系のものを比較検討しないといけない側面があります。現実社会の全てのものを、同じ皿の上に並べて、“おいしいから”とか何か理由を付けて食べる順番を決めないといけない。やりたくない職業だと思うのですが、やりたいという人は後を絶たないようです(ちょっと平凡な分析)。

 当初の予定では、今日で抱えた原稿を全部書き上げる予定だったのですが、土曜日のトリプルヘッダー取材の1本と、取材なしの五輪あともの原稿1本が、金曜日以降に急きょ入ってきた仕事なので、原稿がまだ書けていません。それでも、この1週間はかなり集中できた方です。
 明日も個別取材が2人、22日が個別取材1人とスーパー陸上前日会見、23日が個別取材1人とスーパー陸上本番、25・26日が全日本実業団で、28日が個別取材2人。これらの取材で160行を3本と50行を3本、150行を4本、110行を1本書きます。もう1本、出張&150行が加わる可能性も。今抱えている2本(100行と150行)と合わせると、全部で何行になるのだろう。でも、やりたくない職業とは思いません(ちょっと前向きな姿勢)。

 明日の取材は久しぶりに高野徹カメラマンと。タカピー・コンビの出動です。


◆9月21日(火)
 今日は14時から取材。相棒は高野徹カメラマン(巨人の高橋由伸に似ているので、大きな試合で探してみてください)。小さい頃のニックネームはタカピーだったらよかったのですが、そう呼ばれたことはないそうです。
 そんなことよりも、重大な勘違いを寺田がしていました。高飛車なことをタカピー(ローマ字で書くとtakapii)と言うのだと思っていたのですが、正しくはタカビー(takabii)なのだそうです。寺田が高飛車なのは12日の日記に書きました。高野カメラマンがタカピー(takapii)と呼ばれていたら、タカピー(takapi)コンビになったのですが…。二重に成立し得なかった(?)のです。
 PC上でカタカナのピ(pi)とビ(bi)は判別できないから黙っていることもできましたが、「バレなきゃいいだろ」というのでは、永田町あたりの政治家たちと一緒になってしまいます。
 繰り返しますが、高飛車なのはネット上の人格。実際は2人とも、陸上記者のなかで、カメラマンのなかで最もジェントルと言われています……と書くとクレームが付くので、最もジェントルなうちの1人と言われています。高飛車だったら、取材に行けません。

 3日連続の時事ネタです(と書くと社会派ライターかと思ってしまいますが、全部スポーツ・ネタ。スポーツも社会の一部ですけど)。
 国際陸連が年間最優秀選手を発表したとか。ベケレ選手(エチオピア)とイシンバエワ選手(ロシア)。ともに世界記録を樹立し、オリンピックでも金メダルを取った選手です。ベストパフォーマンス賞というのもあって、五輪2種目制覇のエルゲルージ選手(モロッコ)とホームズ選手(英国)。妥当な人選です。というか、今年は選びやすかったのではないか、と思われます。
 日本人の感覚から「あれっ?」と感じたのは、マラソンの大きな大会が残っているこの時期に選んじゃっていいの? ということでしょう。シカゴやベルリンで2時間2分台とか出たらどうするんだ? と人ごとながら思ってしまうわけです。国際陸連はマラソンの記録も公認するようになったのですから、マラソンは管轄外と開き直るわけもなし…。
 国際陸連がその辺を考慮しないわけがありません。この記事だけでは判断できませんが、トラック&フィールドとロードと分けて選んでいるのでしょうか。それとも、国際陸連主催のイベントが終わってしまえば、それで年間の試合は全部終わり、なんて自分の管轄の範囲だけで(お役所的に)考えちゃうのかな。まさか、ね。
 でも、日本だったら絶対に、この手の賞はマラソンも含めて考えます。

 世界的には選出しやすいシーズンでしたが、日本は大変になりそうです(陸マガ制定のアスリート・オブ・ザ・イヤー・ジャパンの選出とか)。金メダリストが同時に2人誕生しましたから。
 ただ、投票するときの考え方は、比較的明確にできるかもしれません。室伏広治選手を選ぶ人は、日本の投てき史上初とか、マラソン以外では68年ぶりという、陸上界全体の中での位置づけを優先する考え方。野口みずき選手を選ぶのなら、五輪本番での優勝難易度(女子マラソンの方が強敵、記録の上位者が多かった点)を優先する考え方。女子マラソンが2大会連続、20世紀最後と21世紀最初のオリンピックを連覇したという、象徴的な部分を評価する考え方も、一部では出てくるかも(日本の女子マラソンという種目全体のレベルアップの象徴)。
 去年の年末あたりの日記で繰り返して書いたと思うのですが、と思ったら、2001年末のこの記事でした。個人が選んだら、その人の考え方が反映されるだけ(その方が面白いという意見もありますが)。明確にどちらが上と判断しにくいケースはやっぱり、投票という形態がベストです。
 そもそも投票って、そういうシステムですよね。政治家の優劣なんて、客観的な基準があって決められるものじゃない。だから、みんなで選挙して決めるしかないわけで、選んだ以上は、選んだ側にも責任が生じる。それが民主主義でしょうか。

 おっと、大事なことを忘れていました。ここは日本です。このネタを書くのは早いですね。ベルリンや東京で女子マラソンの2時間14分台が出るかもしれません。シカゴや福岡で2時間3分台が出るかもしれません。高畠で50kmWの3時間30分台が出るかもしれないし、高校駅伝の1区で25分台が出るかもしれない。日本は鴨の王国か。


◆9月22日(水)
 今日は16時から、新横浜プリンスホテルで明日のスーパー陸上記者会見。15:30くらいに新横浜の駅に着くと、A新聞事業部のOさんにお会いしました。電車に乗るようだったので「会見は出られないのですか?」と聞くと、「会見は14時からに変更されたんですよ。劉翔だけ16:30からやるみたいですけど」とのお答えです。もちろん、そんな連絡は受けていません。こういうとき、組織に加盟していない弱小個人事業主は弱いですね……今回はAJPSを通じて申し込んだのですけど。
 9月頭の記者発表の時の資料に16時とあったのですが、やっぱり、直前にもう一度確認しないとダメですね。どうやら、大きな雑誌にも連絡が行ったわけではなく、某専門誌Oカメラマンは前日にネット上で確認したとか。ということで、久しぶりに日記以外の記事をこのサイトに書けるかと思っていたのですが、またもやなし。先日の為末選手の成田出発に続き、2連ちゃんで空振りです。
 また1つ、勉強させてもらいました。

 何のために新横浜まで来たんだ、と徒労感に襲われるかな、と思ったのですが、何故かそれほどでもありません。実は、昨日締め切りの原稿が書けず、今日の14時までかかったので、会見の時間変更を知っていたら、ちょっと困ったかもしれないのです。某五輪選手の90行記事で、持ちネタだけで書いて欲しいという依頼でしたが、どうにも煮詰まってしまい、今日の11:30頃に電話で取材をさせてもらったのです。おかげで、14時には書き上げて提出できました(午前中に催促があって、14時までには書きます、と約束していたのです)。
 しかし、タダでは転びません(タダでは起きません、でしょうか?)。16:30から劉翔(劉翔写真。司会の佐藤アナ)の会見に出て、18時からのパーティーまで居残って、情報収集をしました。といっても、パーティーですから、表だった取材は無粋というもの(禁止されているかも?)。まあ、主に挨拶ですね。先日、取材でお土産をいただいてしまったK監督に御礼を言ったり、寺田の行けなかったアテネ五輪で日本新を出した谷川聡選手にオメデトウを言ったり、昨日取材した某選手の大学時代の同級生である某監督に大学時代の2人のことを聞いたり。谷川選手は「寺田さんのいないところで出してしまって」と社交辞令(?)を言ってくれたので「だから北京でも出してよ」と無理難題を言わせてもらいました(出発前にも言った台詞です)。
 寺田と同じ(と言っては失礼なのですが)アテネに行けなかった川本和久先生には、4年後の北京行きに向けた手応えをお聞きしました(取材じゃなくて雑談)。「オリンピック期間中にある原稿を書いていたら、はたと気づいたことがあった」ということで、北京に向けて早くもきっかけをつかまれたようです。
 一方の寺田は、まったくなし。大手(組織)に入ればいい、意見もありますが、それでは面白くありません(第一、できないでしょう)。誰かがこれまでやってきたことと、同じようなことをやるだけですから。枠組みを変えるような方法で行ければいいな、というのが理想です。


◆9月23日(木・祝)
 昨日は5:30に起床して仕事を始めたので、夜は23時前に眠くなってダウン。ロンドンマラソン通訳の方(女性)が、丑三つ時が何時か調べて教えてくれました。「丑の時を四刻に分ちその第三に当る時。およそ今の午前二時から二時半」とのこと。その時間に寝ていることはまずないのですが、ここ数日は夢の中、ですね。
 昨日の日記で五輪取材が寺田の夢、みたいな感じで書いてしまいましたが、実はそれほどでもないのです。オリンピックだけにこだわると、何か大事なものを見失うような気もするのです。それが何かはまた、おいおい紹介していくかもしれませんし、このまま忘れてしまうかも(後者の可能性大)。

 一昨日の日記で、寺田が高飛車(タカビー)なのはネット上だけと書いたら、「実生活では居飛車なのですか、それとも振り飛車なのですか」という、問い合わせのメール(知り合いからですけど)。ちょっと違いますね。実生活のキャラは三間飛車です。これが、ネット上と実生活のキャラの相関関係を示す、高飛車三軒両隣の法則ですね。

 ただ今朝の7:55。11時まで原稿を書いて(150行を3本抱えています)、13時から横浜国際競技場で某監督の取材。14:30からいよいよ、スーパー陸上です。

 午前中に電話取材を1つ済ませ、午後からスーパー陸上取材。
 競技については「スーパー陸上 雑感」あるいは「スーパー陸上 点描」なる記事を書こうと思っています。実現率は、そうですね、49%くらい。要するに2つに1つです。タイトルからわかるように、正攻法の記事ではありません。というのは、あまり選手の話が聞けませんでした。別のメディア用の仕事で精一杯という感じで。
 この大会は年々、取材がしにくくなってきているように思います。タダでさえ短い時間に種目を多く行い(観る大会ですから当然です)、かつスタジアムが広いという、制約のある大会なのですが、ミックスドゾーンにアナウンスがガンガン響いて選手の話が聞き難いのです(アナウンスがガンガン響くのは世界標準かもしれませんが、ミックスドゾーンは少し静かになる大会が多いのです)。それに、昨年までは全種目のインタビューをやってくれたのですが、今年から廃止されてしまいました。
 寺田のように複数のクライアントの仕事をやっている場合、下位の選手を個別につかまえ、戻ってきて共同会見を取材(その逆もあります)できるというのが、たくさん選手の話を聞けるパターンでした。目玉的な選手の取材には特に問題もないし、全種目の会見をやっても、質問が主催紙以外は出ないことが多いですし(どうやら、主催新聞も、全種目戦績&コメントの紙面掲載はなくなるようです)。
 でも、その姿勢にはちょっと意見もあります。今回、4万9000人がスタンドに足を運んでくれました。成功の要因は、オリンピック直後ということが大きかったと思いますが、一部のスター選手に頼ったやり方では、スター選手が出なかったり、引退してスター選手が不在となった場合に、下火となってしまいます。陸上競技自体の人気につなげる必要があるわけで、それを考えたときに、今回のやり方で良かったのかどうか。
 今回のやり方というより、陸上競技報道のもっと大きなシステムの問題でしょうか。まあ、案ずるより、なすがままがいいかもしれません。国民的なレベルへの影響力は、細かいところを気にしても関係ないか(ちょっと投げやり)。

 13時から予定していた取材が競技後に変更になり、19時から1時間のインタビュー取材。うーん、50行にまとめるのが大変です。


◆9月24日(金)
 昨晩も、仕事は当日締め切りの2つをやったくらいで、自宅に戻ると(23時頃)早めにダウン。今朝も、6:30から仕事をしています。

 昨日のスーパー陸上は、オリンピック後では初めて、陸上担当記者が勢揃いした大会。野口みずき選手や室伏広治選手関連のイベントで、揃っていたかもしれませんが、選手と同様に多くの記者がオリンピック後に休暇を取ったはずです。
 毎日新聞ISHIRO!記者は自身のサイトにも書いているように、五輪取材後そのままギリシャに滞在。アテネとサントリーニ島に行き、帰路、トランジット地であるバンコクに3泊したとか。毎日新聞の陸上競技担当がそうなら、朝日・読売の記者がどうだったのか、気になりますよね。
 そんな陸上競技ファンの要望に応え、競技が始まる前の記者席で取材しました。
 朝日新聞・金重記者はいったん日本に帰国後、再度、渡欧。サンモリッツとユングフラウに奥さんと一緒に行かれたそうです。アムステルダムとチューリヒにも1泊ずつしたとのこと。サンモリッツでは野口みずき選手が練習したトラックで夫婦で記念撮影をしたとか。さすが、浪速の誇るランナーだっただけあります。奥さんの理解もあるようで、うらやましいです。
 びっくりしたのは読売新聞・近藤記者(プリンス近藤)。帰国したらなんと、10月1日付け異動の内示が出たため、休暇は引っ越し準備に充てたそうです。お子さんの幼稚園なども探さないといけなかったようですし。その間に箱根駅伝予選会の取材もこなしたようで、頭が下がります。異動先は千葉支局。千葉県の長浦出身で、同地で“プリンス”と呼ばれていたことが、プリンス近藤と言われている所以です。長浦のプリンスに戻るのかと思いきや、転居先は千葉市内。職業柄、何かあったらすぐに社や現場にかけつける必要があるため、遠い場所には住めないのだそうです。新聞記者って大変。担当は千葉・市原などの市政。「土日は休めるはずですから、ゆっくり走り込んで、記録更新を狙います」と、元箱根ランナーは前向きでした。

 今日は、50行原稿を1本、150行原稿を1本書いて、明日からの全日本実業団取材のため新潟に移動するはずでしたが、厳しくなってきました。原稿を1本、あきらめるか、新潟行きを明日の早朝にするか…。


◆9月25日(土)
 朝の6:47、新潟のホテルです。
 昨日は自宅で仕事をして夕方にWSTF(新宿の作業部屋)に移動。自宅ではあちこちに連絡(段取り)、WSTFでは請求書を2通起こすのと出張準備で、原稿が予定通りに書けませんでした。ちょっと痛いですけど、締め切り(デッドライン)というわけではないので、新潟まで行くことに(このあとが大変になるのですが)。20:57にWSTFを出発。
 最終の新幹線で新潟に着いたのが23:52。駅から歩いて5分のホテルに。途中、コンビニに寄ると某コーチAと某コーチB、某トレーナーの3人にお会いしました。ネタも1つありますが自粛。

 昨日の日記で朝毎読3紙陸上競技記者の五輪後の休暇が、どんなだったかを紹介しました。そういえば、競技終了後に東京スポーツ・坂庭記者も“なんで俺に聞かないんだ”とばかりに自分の話をし始めました(脚色あり)。
 中国遼東半島の旅順・大連などを単身、3泊4日で旅行したといいます。日露戦争100年という理由で激戦地だった二百三高地などの古戦場を旅したとか。格好いいでしょう。ずいぶん昔に流行った漫画の主人公ばりの顔ですが、なかなかやります。などと言ったら失礼ですね。元々、知性派なのです。

 9時頃まで原稿を書いたら、ビッグスワンに移動します。
 TBSは佐藤文康アナがスーパー陸上に続いて担当します。ISHIRO!記者や川本和久先生が自身の出没スポットを自サイトで紹介しています。だったら、陸上競技出身アナとして頑張っている佐藤アナの担当試合を紹介するコーナーがあっていいと思いません? 近日中にページを立ち上げる予定。考えているタイトルは「サトアナの●●」……すいません、募集中です。現時点では今日明日の全日本実業団、来週の実業団・学生対抗(小田原)を担当するのは決定済み。サトアナ・ファンは見逃さないように。

 ビッグスワンは5月の1万m記録会(大森輝和選手がA標準を突破したレース。日本選手権で失敗した原因などは発売中の陸マガ10月号参照)以来。風が吹かない(あるいは、周回がずっと追い風になる)ことで知られています。この日も、昼間こそ向かい風基調でしたが、夕方になるとその特徴が威力を発揮して、最後の男女1万mでは好条件となりました。
 男子1万mでは佐藤敦之選手が初の27分台。中国電力としても初めて、早大関係では瀬古利彦・金井豊・花田勝彦・渡辺康幸の各選手に次いで5人目。
 女子1万mでは31分台が3人(自己新は加納由理選手だけでしょうか?)、大越一恵選手がダイハツ勢としては初のチャンピオンに。ジュニア3000mでもダイハツ勢は2・3位に入り、浅利純子コーチの表情が明るかったですね。山中美和子選手も復活してきているようなので、駅伝で注目しないといけないチームでしょう。
 駅伝といえば、昨年2位の京セラも充実しています。杉森美保選手が1500mに自己新で優勝後、「一番短い区間で優勝に貢献したい」と明言。ジュニア3000mで吉野恵選手が好タイムで優勝し、1万mでは原裕美子、阿蘇品照美の2選手が6・7位に。
 受けて立つ立場の三井住友海上は夏に故障者が多く出て、シーズン前半の勢いがなかったのですが、顔触れを見たらやはり、優勝候補筆頭でしょうか。しかし、資生堂も今年は違うかな、という印象。加納選手が1万mで3位。佐藤由美選手も入社以来最高の状態で、新戦力も力のある選手が揃っている(はず)。弘山晴美選手が走っているうちに優勝しよう、という意気込みで、足並みが揃ってきたように思われます。
 スタンドで一緒に見ていたO内さんに話したことですが、全日本実業団の1万mはとっても面白いのです。まず、9月末の夕方から夜のレースで条件に恵まれ、自己新を出す選手が多い。一応、タイトルが懸かった試合ですが、そこにこだわらずにいいペースでレースを進められます。次に、顔触れがいいですね。トップ選手が全員揃うわけではありませんが、日本選手権・春季サーキットなどと違って新鋭選手が加わって走れます。夏にまとめて練習をした後なので、不調だった選手が持ち直してくることも多い。
 観客が少ないのが玉にきずですが、その分、自分の走りを冷静に見つめながら走れます。

 取材はスーパー陸上の10倍できました。競技時間が長く、取材エリアも制限が少ないので、選手をつかまえやすいのが一番の理由です。それに今回は、表彰控え場所で話が聞けるシステム。これが良かったですね。表彰控え所では選手に話しかけたらダメ、という大会が多いのですが、それはまったく意味がないというか、選手たちはただ待たされているだけで、非効率の象徴みたいなシステムなのです。どうせ、何もしていないのですから、今回のようにどんどん取材をできるシステムにしたらいいと思います。取材中に表彰に行くとなったら、記者も取材をやめますよ。
 ここまで取材しやすかったらそれはもう、こちらもプラスαの取材をしない手はない。他の記者たちとの共同取材でも、独自の視点で質問ができますし(佐藤敦之選手にしました)、普通だったら話が聞けない下位の選手にも取材ができます(宮崎千聖選手とか)。
 佐藤文康アナのコーナー新設への取材も着々と進行できました。
 あと1日、楽しみです。


◆9月26日(日)
 昨晩は20:15まで男子1万mがあり、21時前後までスタジアムで仕事。その後、朝日新聞・金重記者の送別会を兼ねた食事会に顔を出させていただきました。新潟出身の東京新聞・吉岡潤記者が幹事役(お疲れさまでした)。24日の日記に読売新聞・近藤記者が千葉支局に転勤することを紹介しましたが、金重記者も10月1日付けで大阪運動部のデスクに異動するのです。色々とお世話になりましたし、ネタも提供していただいたので、寂しい限りです。ということで、朝日新聞の金重秀幸・金谷智美の金金コンビもこれが見納め。金重記者本人は現場復帰に意欲的ですが。
 2時にはホテルに戻って就寝。朝の6:30に起床して仕事を始めました。8:30から近くのホテルで、ある陸上競技部の総監督と商談。珍しいケースですが、冗談ではありません。

 10時から全日本実業団2日目の取材。
 やっぱり、朝原宣治選手は強いですねえ。2位に0.33秒差をつけての10秒23。レース直後のインタビューも朝原選手らしかったと思います。TBS・Yディレクターがインタビュアーでした。一部を抜粋します。
Yディレクター「アテネ五輪の決勝はいい走りでしたね」
朝原「リレーのですよね。あれは自分でも納得できた走りで、すごく気持ちが良かった。100 mにつながればいいと思いました」
Yディレクター「リレーの……」(メモできず)
朝原「ブロックからスタートする100 mと、加速走のリレーの違いでしょうか」
Yディレクター「100 m加速走という種目があったら、もっと戦える?」
朝原「そうできるかもしれませんが、加速走ならまた強い選手も出てくるでしょう」

 これは冗談ではなく普通の受け答えですが、どこか、ユーモアが感じられました。昨日の五輪入賞選手の会見時もそうでしたが、最近の朝原選手は必ず冗談を交えるようになりました。真顔で言うので、慣れない記者は本気なのか冗談なのか、判別が難しいかもしれません。仮に、冗談がそのまま記事になっても、ガタガタ騒ぐような選手ではないのですが。

 冗談の判別が難しいといえば、藤田信之監督もそうかもしれません。熱弁的に話されるんですよ。3年前の淡路島女子駅伝でものすごく控えめな話だったと思いますが、だけど力を込めて話をしてくれました。それで、全日本実業団対抗女子駅伝ではグローバリーが初出場で5位に入って、順位自体だったのか、別のことだったのかちょっと忘れたのですが、話が矛盾していたので確認しに行ったことがありました。
「そりゃ冗談ですわ」
 役者が一枚も二枚も上というか、こちらの修行が足りないというか。

 話を新潟に戻しましょう。久しぶりに、このサイトにも記事として書けるネタも仕入れることができましたが、今度は(いつも?)時間がとれそうにありません。パパッと気づいたことを列記しましょう。
 男子の100 mは朝原選手が強い。
 200 mは土江選手が強い。200 mを速く走る理論があります、モチベーションもありました(過去形?)。
 400 mは佐藤光浩選手がホームストレートで相変わらず強い。
 中距離は2種目とも記録の上位選手が負けました。活性化している証拠でしょうか。
 長距離では瀬戸智弘選手と佐藤敦之選手が安定してきました。瀬戸選手は今度の冬にマラソン初挑戦がありそうです。佐藤選手は東京でしょうか。
 110 mHはミズノ勢が1・2位独占、400 mHは順大OBが1・2・3位を独占。
 3000mSCは社会人1年目の中川智博選手が優勝。昨年の大卒1年目はすごかったですけど、今年の優勝は中川選手と女子三段跳の吉田文代選手の2人だけ。
 1万mWの柳沢選手は今大会の最年長優勝者(だと思います)。
 男子のリレー2種目は、短距離にも取り組んでいる実業団がきっちり優勝。ただし、4×400 mRの西濃運輸は今季いっぱいで休部(廃部?)です。向井裕紀弘選手が五輪代表にならなければ6月いっぱいという話でしたから、有終の美を飾れたのも向井選手が頑張ったからこそ。もちろん、頑張れたのはチームがあったればこそ。えっ、日本選手権リレーにも出る? まあ、実業団大会の有終ということで。
 棒高跳と走幅跳は五輪代表が優勝。記録は全般に低かったのですが、地力のある選手が上位に来たという印象。
 三段跳と砲丸投は教員選手が優勝。実業団選手しか日本代表にはなれないような雰囲気もありますが、教員選手もやれるぞ! フィールド種目の2位以下の選手の所属を見ると、トラック種目とは一変しています。頑張れば頑張れるという見本を示しているような気がします。

 女子短距離はいつものメンバーが強かったのですが、佐藤友香選手が来年あたり、リレー代表に食い込んで来そうな勢いがあります。今回は100 m4位でしたが、名取監督によれば、200 mと400 mにも可能性があるといいます。昨夏の手術以降、なかなか復活できないでいた柿沼和恵選手が、200 mで6位、400 mで4位と復調。先頭争いをしていなくても、必ず目が行ってしまう選手です。
 杉森美保選手が中距離2冠。2種目ともしっかりした記録(朝原選手もそうですが)。佐々木麗奈選手が800 m2位、400 mH3位と復調してきました。
 100 mHでは茂木智子選手が復調。今季初の13秒台で2位。
 400 mHの吉田真希子選手も、復調の手応えをつかんだ様子(人づての情報ですが)。
 走高跳は昨年から青山幸選手が2強に加わって3強時代になっていましたが、抜け出るのかどうか。今井美希&ハニカット陽子両選手にも踏ん張ってほしいところ。
 走幅跳はスーパー陸上で佐藤友香選手が2強を抑え、完全に3強時代に。今大会では2強が意地を見せましたが。
 投てきでは三宅貴子選手のやり投6位があれでしたが、負けるのを恐れずに出場してくるのは、何かをつかみかけているから、なのかもしれません(取材していませんので推測です)。

 慌ただしい取材が続いて、話を聞きたくても聞けない選手も多くなってしまいました。そんな状態でしたが、昨日の1万m1組で2位(32分32秒36)となった小幡佳代子選手とすれ違いました。
寺田 昨日の記録は自己何番目でございましょうか? ※長く頑張っている選手には自然と敬意を表してしまいます。弘山晴美選手とか。
小幡 もちろん自己新です。
寺田 何歳になられましたか?
小幡 33歳です。

 典型的なすれ違いざま取材ですが、その後の取材のとっかかりとなることもあるのです。ごくまれに。小幡選手は今年の大阪・パリと失敗続きでしたが、次のマラソンでは期待できそうです。とびきりの笑顔が戻ってきました。

 競技終了後もドタバタ動き回っていましたが、偶然にもスタジアムの玄関(正面ゲート?)で東京新聞・吉岡記者と杉森美保選手がかち合っているのを目撃……吉岡・みほ、ということで…(究極の楽屋落ち)。


◆9月27日(月)
 昨日の全日本実業団でのこと。男女総合得点の集計に時間がかかっていたようで、それを待っている間にベルリン・マラソンで渋井陽子選手が日本新を出したことを、某プロデューサー氏が教えてくれました。
 渋井選手は野口みずき選手と同学年。野口選手が初マラソンのとき、渋井選手の初マラソン日本最高(当時)を目標にしていたことは、よく知られています。その2人と同学年なのが山中美和子選手。2002年の世界クロカンで4位になって、その評価が一般世間のみならず、陸上界内部においても十分にされていないことが、寺田は大いに不満なのです。
 考えてみたら志水見千子選手のアトランタ五輪5000m4位もそうでした。結局、マラソンでメダルを取らないと評価してもらえないという、悪しき風習があるみたいです。“マラソンで頑張るしかない”と、選手のモチベーションを高める一助にはなっているのかもしれませんが。
 その山中選手に全日本実業団で会ったことは一昨日、書きました。故障も治って練習も積めているようなので、野口&渋井との対決(全日本実業団対抗女子駅伝の3区あたりが有力です)が楽しみです。

 そういえば1週間ほど前に奈良陸協の方からメールをいただき、奈良陸協サイトにリンクさせていただきました。そのサイトの奈良県記録一覧を拝見すると、山中選手は中学時代に1500m、高校時代に3000m、学生時代に5000mの奈良県記録を作っています。距離を伸ばしていくのは、“よくあること”ではありますが、全部が県記録として残っているあたりに、山中選手の各世代での強さがわかります。

 同じ頃、クリール11月号も届きました(こちらは現実のメールで)。表紙は本仮屋ユイカ。市橋有里選手似のタレントで、これで8カ月連続の表紙です。これだけ続くと、「いったいこの子はどんな子なんだ?」と興味が湧いてきます。最近ではドラマ「世界の中心で愛を叫ぶ」で陸上部の生徒を演じているそうです。そういえば、23時台のバラエティーでも見かけましたね。
 そういったテレビ番組を見て彼女への関心が高くなれば、また雑誌も買うようになる。彼女は表紙だけでなく、雑誌の中の企画にも登場していますからね。それがH編集長(元陸マガ編集長)の狙いか。

 明日は千葉方面で2つの取材予定。できれば、渋井陽子選手の帰国取材を成田空港でしたかったのですが、16時からの取材と重なります。残念、と思っていたら、先方から取材日時を変更したい旨の連絡が。こういう幸運も、長くやっているとあるものですね。明日は12時から某大学で取材、15:30に成田空港で渋井選手の取材です。


◆9月28日(火)
 千葉方面の大学で12時から取材。都営浅草線から京成への直通電車で移動しましたが、快特エアポートはなかなかいいですね。スカイライナーよりも時間はかかりますが、特急料金がかかりません。座席は基本的には2人掛けシートが向かい合う4人掛け形式ですが、車両の端には2人掛けシートだけの部分もあります。しかも、それほど混んでいなかったので、原稿を1時間近く車中で集中して書くことができた次第。

 12時からの取材は順子、いや順調。現役を退いてそれほど年数の経っていない指導者に、自身の現役時代を振り返ってもらったのですが、そういう考え方をしていたのか、と新たな驚きがあります。一応、寺田がこの業界に入ってから活躍していた選手だったので、そこそこの知識はありましたが、聞いてみないとわからないものです。見るだけではわからないこともあります。百見は一聞にしかず。若手コーチ陣も好青年揃いでした。こちらは、百聞は一見にしかず也。

 成田空港には14:45頃に着。渋井陽子選手を乗せた便が15:30着予定が15:05着と早くなっていたので、早めに着いていてよかったです。
 凱旋会見の模様は記事にしていきます。こういった共同会見は質問者が複数ですから、質問内容も話の脈絡に関係なく飛び出してきます。ただ、話の方向を変える質問をする場合は、ちょっと間を置いて、その時に話しているネタに関する質問が出ないのを確認するのが普通です。が、会見はいつ打ち切られるかわかりませんし、上司から「必ずこのことを聞け」と言われている記者もいるでしょう。まあ、色々です。
 このようにインタビューに流れがない場合は、文章にするときにちょっとアレンジして、テーマ毎にまとめる形にした方がわかりやすいのですが、今回は時間がないので、質疑応答の実際に進んだままに、原稿に起こしていかざるを得ません(マラソンの前日会見などはいつも、この形式なんですが)。前半・中盤・後半の3回に分けて掲載する所存。

 会見後に電話連絡と打ち合わせをいくつか。20分ほど電話をした後、原稿を書ける店を探していると、産経・金子記者と朝日・金谷記者がカフェの中から手招きをしています。朝日・金重記者が大阪のデスクに異動されましたが、金金コンビ健在ですね。意外なことに同僚の金谷記者でさえ、金重記者の○○○○○○○○○(口止め…じゃなくて、書き止めされています)のことを知りませんでした。引っ越し中の金重記者に電話をしたところ、どうやら記者仲間にはいっさい話していなかったようです。我々ペンの記者がこの手のことをした場合、人がどのくらい集まるのか、ちょっと興味があり候。


◆9月29日(水)
 日帰りで北海道に出張。北海道でも先月行った別海や網走、士別ではなく、千歳で合宿中の某選手の取材です。11:30羽田発で20:30には羽田に戻っていました。千歳はいうまでもなく、新千歳空港からすぐの距離(空港と札幌の間)。この空港を使えると、一日に何便も往復していているので、移動がとっても楽です。帰りは21:20発の予定でしたが、キャンセル待ちで19時頃の便に変更。いつもは、便変更のできない安い航空券なのですが、今日は全額、某雑誌持ちの仕事だったので、あれでした。北海道まで行って泊まらないのは、ちょっと違和感もありますが、なかなか貴重な経験だったと思います。
 取材も順調。めちゃくちゃ面白い話が聞けました。一番の収穫は、シカゴに島はない(シカゴ沖のミシガン湖には)、という話です。意味不明ジョークですが、機会があったら紹介します。

 一昨日の日記でクリールの表紙に8カ月連続でなっている本仮屋ユイカちゃん(なんで“ちゃん”なんだ?)について触れたら、さっそくメールをいただきました。
本仮屋ユイカ 以前金八先生で学級委員の役をしていた子
(上戸彩の出ていたシリーズ※今関東では再放送やってるみたいです?)で
今話題の映画「スウィングガール」にも出ていて
来年春からのNHK朝の連続ドラマで主役することが決まっています
これからブレイクするかもしれませんよ

 とのこと。そんなすごい子だったのかと、早速、サイト検索。このサイトがわかりやすいでしょうか。ふんふん。

 なるほど。中距離で東京都の記録を出したのか。それで、クリールの表紙に抜擢されたのですね。しかし、東京都の記録とは曖昧な表現ですね。現在17歳。高校や一般の東京都記録は西村美樹選手でしょう。だったら、東京都中学記録しか考えられません。早速、彼女が中学3年(02年)の記録集計号と陸マガ9月号(中学通信の各都道府県記録が掲載されている)を見ましたが、名前は見つけられませんでした。ならば、中学2年時(01年)はと探しましたが、やっぱりありません。3文字姓って、目立つから探しやすいんですけどねぇ。本名っぽいけど、芸名なんでしょうか。
 まあ、この手の「東京都の記録を出したこともある」と世間一般で表現される場合、実際の東京都記録でなく、東京都の何かの大会の記録、ということがよくあります。プロフィール担当者が陸上競技に詳しくなければ、いい加減になるのも致し方なし。本人の責任ではないでしょう。
 先祖は、薩摩藩の豪族との記述もあります。なるほど。鹿児島って、3文字姓が多いですからね。瀬戸口渚選手とか、橋ノ口滝一選手とか。井之上明彦っていう走幅跳の選手も昔いましたよね。竹ノ内、堀之内、西之薗……鹿児島陸協のサイトをご覧いただければわかります。時間のある人は、陸マガ7月号のインターハイ各県予選入賞者一覧などを見てみてください。もっと時間のある人は、3文字姓の選手の数を他県と比べてみてください。間違いなく鹿児島は多いはずです。

 シカゴの島……か。


◆9月30日(木)
 アテネ五輪が終わって早1カ月。土江寛裕選手の日記を見ると、引退を視野に頑張っていた三十路選手の多くも、来年以降の現役続行を考えているようです。よかった、よかった。かく言う寺田も記者引退をするのはやめて、なんて話は元からありませんでした。
 実は全日本実業団で土江選手がISHIRO!記者のパソコンを修理するために記者室に来てくれました。今季の試合はこれが最後だと言うので次のような会話をしました。
寺田 来年もよろしくね。
土江 はい。
寺田 今、「はい」って言ったな。

 ちょっと高圧的でしたが、まあ、タカビーな記者なので許してもらいましょう。闇雲にタカビーに出たわけではなく、なんとなく続けそうなことを、本人の日記でわかっていましたから言えたわけですが。
 ただ、あんまり自分たちのことをおじさん世代と言うのはやめて欲しいですね。年上の自分がもっとおじさんになってしまう、という個人的な理由ではありません。30歳なんて、まだまだこれからでしょう、という陳腐な意見を言いたいわけでもない。それよりも、同世代の女子選手へ配慮をした方がいいのではと、ちょっとだけ思うのです。彼らがおじさん選手なら、彼女らは……。ハニカット陽子選手とか、小島初佳選手とか、平出奈津子選手とか、同学年の選手も多いですからね。
 そうか、おじさんとおばさんの定義を変えれば問題ないですね。男子選手は30歳以上がおじさん、女子選手は40歳以上がおばさん、とか。


◆10月1日(金)
 ICHIRO、残り3試合であと1本ですか。寺田は日曜日中、つまり残り3日で、あと5本です。150行原稿が。
 日本では中日ドラゴンズがセリーグ制覇。袋井の家族S氏が中日ファンなので喜んでいるでしょう。中日新聞・西澤記者と中日スポーツ・中村記者も。ちなみに袋井の実家は中日新聞を購読しています。

 東京新聞・吉岡記者からメール(メルアドの一部にchunichiとあることからも、東京新聞は中日新聞なのだとわかりますね)。全日本実業団で吉岡・みほのツーショット写真を撮らせていただきましたが、そのエピをフリに、杉森選手の人柄は素晴らしい、というコラムを帰りの新幹線の車中で書かれたのだそうです。それが今日、紙面に掲載されたとか。東京新聞を購読されている方は、ちょっと探してみてください。会社で全紙読めるという方も。ネットにも掲載してくれればいいのですが、まあ、なんでもかんでも、ネットに載せるわけにはいかないでしょう。

 そのなかで吉岡記者は「ライターとして優秀でも、冗談のセンスは大いに疑問ありのTさん」と書いています。自分ではライターとして優秀とは思っていませんし、冗談のセンスに関しては疑問などありません。しかし、これが他者から見た自分の評価だということです。
 新潟でお会いしたある陸上競技部の総監督から、そのチームの選手が「寺田さんの記事は見方が厳しいから信頼できる」と話していることをお聞きしました。え、厳しいの? というのが正直な感想です。だったら、ISHIRO!記者は寺田の10倍は信頼できますよ、と言い返そうとも思いましたが(実際、その通りですし)、やめました。それが第三者の判断ということで、それはそれとして、受け入れる(受け止める)べきなのです。
 つまり、主観と客観の違いを理解する必要があるということ。その辺は日刊スポーツの前陸上競技担当・佐々木一郎記者に教えられました。「僕は寺田さんに何を書かれても、文句を言ったりしませんよ」というのが、彼の考え方でした。ファミレスに関する見識には大いに疑問がありますが、この姿勢は記者として素晴らしかったと思います。

 その辺がわかっていない選手や指導者も、います。「記事にこう書かれたけど、それは違う」という台詞。記者が事実誤認に基づいて書いているケースは、その反論もすべきなのですが、その記者が事実を正確に把握した上である意見を書いたら、それは、その記者の見方ということなんです。それに対してただ、「自分はそうじゃない。こうしているつもりなんだ」と言っても、見方が違うというだけのこと。議論は噛み合わないことが多いでしょう。
 それでも、世の中には結論を出さなきゃいけないケースがあるじゃないか、というご意見もあると思います。その結論を無理やり導き出すのが多数決という方法。今年もアスリート・オブ・ザ・イヤー・ジャパン(陸マガ制定)が1人選ばれることになるでしょう。現時点ですでに、オリンピックの金メダリストが2人いて、どっちがふさわしいかなんて、決められっこありません。だから、投票で選ぶしかないのです。政治も、同じでしょうか。

 プレッシャーのかかる原稿が1本、終わりました。明後日の実業団・学生対抗の取材に行けそうです。しかし、以前にも書きましたが、主催者側から誰が出場するのかなど情報提供の少ない試合です。選手権じゃないんですから、その辺の頑張りが必要なんじゃないかな、なんて思っちゃう試合ですね。それとも、単なる記録会という位置づけ?(おっ、厳しい意見だ)


◆10月2日(土)
 ICHIRO選手が大リーグ最多安打新記録を達成。素晴らしいですね。本当に、なんと評価していいか言葉が見つかりません。しかし、陸上競技の記録と野球の記録は、違います。同列に論じるべきことじゃないと思っています。世間が言っている野球の記録って、条件が一定じゃないんですよね。陸上競技と同列に扱っていいのは、ピッチャーの球速くらいでしょうか。でも、待てよ。陸上競技の記録だって…。今度、機会があったら選手に聞いてみましょう。

 すいません。いただいたメールで紹介したいものがいくつか貯まっています。
 ちょっと前に愛犬デジタル工房という寺田の従兄弟がやっているサイトを紹介しまして、そのときにトップスプリンターでペットを飼っている選手も多い、という伊東浩司選手のコメントも引用させてもらいました。それを見た方が、次のようなメールをくれました。

さて突然のメールで恐縮ですが、日記の内容に思わず反応してしまいました。
僕も陸上競技を愛する一人ですが、愛犬家です。
(足が速いとはちょっといいづらいですが。。。)
寺田さんの日記には出てませんでしたが、ご存知の通り、徳本選手も犬を飼ってますよね。(テレビで何度も見ました)
きっと寺田さんの予想はあたってると思います。
PSちなみに小生のHPです。
http://www.geocities.jp/jjo0918/index.html


 まずは必ず、上記のサイトを“パッと”見てください。
 見ました?
名犬倶楽部」と読まなかったでしょうか? これはもしかすると、推理小説の手法でいうところのミスリーディングでしょうか? ペットの話題をずっとしていていきなり、「名大」という文字を見せられたら「名犬」と読み違いをしやすくなります。寺田のサイトでICHIRO選手と書くと、ISHIRO!記者と読み違える人が多いのと同じです。

 いやいや、メールをくださった方には、申し訳のない掲載の仕方をしてしまいました。天下の名大に対して失礼だったと反省しています。名大といえば、一時期200 mでいい選手が出ていたと思いますし、今年は全日本大学駅伝への出場権も取っています(東海学連サイトに結果が載っています)。


ここが最新です
◆10月3日(日)
 朝の9:17。雨です。寒いです。今日は実業団・学生対抗ですが、記録は厳しいでしょうか。150行原稿もあと3本残っていることですし、原稿書きに専念しようかな。でも、男子800 mは記録を狙う特別レースが組まれています。どないしよう。って、行くのですけど。

 昨日の日記で心理的なミスリーディングによる、文字の読み違いについて触れました(ちゃんと読み返してくださいね)。今日は、ある聞き違いについて紹介しましょう。

 実業団・学生対抗取材中のことです。女子400 mHで久保倉里美選手が56秒73の学生新を出し、某専門誌編集部のO川編集者が「僕の記録に追いつかれました」と、しみじみと(?)話していました。知る人ぞ知る、彼は甲南大で400 mハードラーだったのです。ベスト記録は56秒7だったとのこと。O川編集者の記録は男子用の高さだったと思うのですが、「追いつかれた」と言うところを見ると、練習中に女子用のハードルでトライアルをしたのかもしれません。気になる方は、某専門誌編集部に電話してみ……るようなことはやめましょう。たぶん、迷惑です。
 このO川編集者は、人呼んで二枚目ハードラー。最初に名付けたのはたぶん寺田ですが、日本テレビ鈴木崇アナに似ていることは、今年の箱根駅伝閉会式時にAプロデューサーのお墨付きをもらっています。
 ところで、川本和久先生の日記によく出てくるE本編集者は、同僚の後輩が二枚目ハードラーと呼ばれることに常々、異議を唱えています。これは単なる、書き手の主観なんですけどね。「寺田さんのサイトで書かれたら、陸上界ではそうなってしまいますから」というのが、彼の抗議の根拠です。これが、誤解もいいところ。
 O川編集者はハードル間を7台目まで15歩、8台目以降を17歩で走ったのですが、為末選手ばりにスタートから前半が速かったのだそうです。3学年先輩の新井初佳選手も目を見張ったという噂……はないのですが、とにかく速かった。1台目はなんとか上手く制御できるのですが、内側のレーンだった場合は特に、2コーナーの2台目でどうしても外に振られてバランスを崩してしまっていました。それがなければ、インカレの決勝も夢ではなかったはずですが、結局、最後まで2台目を克服できませんでした。2台目が鬼門のハードラー、略して2台目ハードラーと言っていたのを、E本編集者が二枚目ハードラーと聞き違えたのです……一生懸命書きましたが、書かなきゃよかったかな、という悔恨の念に襲われています。

 もう1つ関西ネタがあります。
 今日、スタンドで寺田の隣にすわった方から、話しかけられました。
「やっぱり、雨の日は記録は悪くなるのですか」
 見ると、70歳は確実に過ぎていると思われる年輩の男性の方です。ちょうど、TBSのSプロデューサーと、かなり専門的な話をした直後だったので、寺田が記者ということはわかっていたと思いました。どう答えるか迷いました。小雨ではなく、かなりの本降りでしたから、間違いなく記録に影響します。しかし、簡単に「記録は出ませんね」と言ったら、せっかく実学のような(伝統はあるけど)最近はマイナーな試合に足を運んでくれた観客の方を失望させることになります。
 どういった目的で実学を観戦しに来たのか聞こうかとも思ったのですが、こちらが身構えすぎても不自然です。胸に記者IDも下げていましたから、記者らしい答えをしなければ、とも考えました。
「選手は絶対に記録を出すつもりで競技に臨みますが、実際のところ、このくらい強い雨だと記録は下がってしまいますね」
 聞けば、走幅跳の荒川大輔選手のお祖父さんでした。荒川選手のお父さんは関西在住ですが、お祖父さんは小田原(か、その近郊)に住んでいらっしゃるとのことで、初めて荒川選手の競技を観戦に来たようです。期待に応えて荒川選手は7m42で優勝。記録自体は低調ですが、家族の方の目にはどう映ったでしょうか。

 今日、ある人とも話したのですが、陸上競技に記録があるのは、両刃の剣。今日のように雨が激しく降ったりした場合、記録だけを期待した観戦の仕方は失望を招くだけです。やっぱり、テーマを持った観戦法がいいかな。能動的な観戦法ですね。えっ、何のことかわからない? 具体的には、もうちょっとしかるべき場所と機会に書きましょう。


◆10月4日(月)
 今日は月曜日。昨晩締め切りの原稿の仕上げが昨日中にできず、今日の午前中いっぱいかかりました。当初は午後、高橋尚子選手の帰国取材に成田空港に行こうと予定していましたが、帰国が延期になったので予定が空きました。にもかかわらず、今日中に書く予定の原稿(3本)が進みません。メールと電話の集中砲火、じゃなくて断続的な攻撃を受けたのです。原稿料の話や今後のスケジュールなど。

 昨日、二枚目ハードラー(正確には二台目ハードラー)に小田原で合いましたが、今日は三重の二枚目助教授(こちらは何も異議は来ていません。教え子からクレームが来たらどうなるんだろう? 答え:どうにもならない)からメールが着信。彼が理事長(30歳代後半?)を務める陸上競技研究会開催の案内でした。次回は11月20日(土)開催とのこと。取材予定の試合はありません。常々、土日開催だから取材と重なって行けない、と文句を言っていました。今回は為末大選手や高平慎士選手も登壇するようです。是非とも顔を出さなければと思った矢先、開催地が鹿児島大との文字が目に飛び込んできました(かなり痛かった)。
 鹿児島だと、さすがに経費がちょっと……。残念ですが、無理っぽいですね。日本選手権同様、この研究会も各地で持ち回り開催になる傾向があります。これは、仕方のないこと。日程も、多数の出席者を集めようと思ったら土日開催は当然のこと。平日開催など無理だとわかっていて、文句をつけているのですね。その辺は、先方もわかってくれていると思います。
 しかし、もうそろそろ、時間とか場所とかの障壁がなくなってもいい時代が来ている気がします。なんてったって、時代の最先端を行くはずの研究会ですからね。ブロードバンドも普及しています。三重の二枚目助教授に期待します……が、この手の研究会もまだ手弁当で頑張らないといけない状況かも。陸上競技(マラソン・駅伝を除く)にお金が回ってくるのはいつの日でしょうか。と嘆く前に、自分ができることを頑張ります。

 原稿が進まず、ちょっとやばい状況に。金曜日から、予定外の出張を入れたいのですが、行ける確率は32%。昨日、O村ライターから「今度の週末はどこで取材ですか」と聞かれて、ちょっとごまかすのに苦労しましたが、ヒントは今日の日記にあると言っておきま兵庫(サトアツ・ジョーク)。サトアナ特設ページも作りたいのですが。久しぶりに、食事をとるのも時間がもったいない忙しさに。仕事のパートナーが欲しい、ですね。2つのスタイルを考えていて、1つは秘書的なパートナー。朝、ネットやメールでできることをやってもらって、夜(その人の勤務後とか)、新宿で2〜3時間、手伝ってもらうパターン。もう1つは、完全なフリーランスの方に、仕事の一部をシェアしてもらうパターン。ちょっと、業務拡張も思案中なのです。次の4年間に向けて考えているのは、川本和久元助教授だけじゃない!


昔の日記
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