2005/6/29 ホクレンDistance Challenge 2005 深川大会
大森もトラックで応援
三津谷が27分41秒10の日本歴代3位、国内日本人最高!!
感動的な幕切れだった。ずっとバックストレートで応援していた大森輝和(くろしお通信)が、フィニッシュ地点で三津谷祐(トヨタ自動車九州)を出迎えた。トヨタ自動車九州の森下広一監督と三津谷が抱き合う。そして大森とも。大森の瞳には涙がにじんでいた。何か言葉は掛け合っていたのに、大森は何を話したのか記憶がないという。
大森は興奮さめやらぬ様子で、記者たちの質問に答えた。
「正直、A標準というのは厳しいと思っていました。5000mまではずっとレースを見ているだけでしたが、その後は毎回声をかけました。きつそうだったので、『リズムだけ(ワンジルに)合わせろ』と。A標準(27分49秒00)を切れると確信したのはラスト2000m。本当に嬉しいです。ここまで、陸上がイヤになるくらいに苦しかった時期もあった」
一方の三津谷は、見ていた側と走った側の違いか、感激の面持ちではあるものの、大森ほどのウルウル系表情ではなかった。そうではあるが、声が弾んでいたのは当然だった。
「かなり嬉しい。ついにやったという気持ち。素直に喜びたい結果です」
残り700mで大森から「行けるぞー」っと、大きな声がかけられた。それに「はいっ」と大きな声で応じた三津谷。
「あれで、気合いが入りました。5000mを過ぎてきつかったのですが、周りの応援もすごかったし、もう行け行けドンドンでした。この勢いで世界選手権の1万m、どこまで戦えるのかやってみたい」
ともに香川県出身で仲の良い2人は、選考問題が取りざたされる状況下でも、お互いに連絡を取り合っていた。「昨日も、『オマエがA標準を切ればいい』とプレッシャーをかけられました。僕もA標準を切ることしか考えていませんでしたけど」と、三津谷は笑いながら明かした。
その大森がフィニッシュ地点で、泣きながら三津谷を迎えた。
「ビックリしました。一緒に走ったわけじゃないのに、そこまで応援してくれるなんて。(グッと)来ました」
三津谷の27分41秒10は、瀬古利彦の27分42秒17を上回る日本歴代3位で国内日本人最高。というだけでなく、 大森の自己ベスト、27分43秒94をも上回った。この点については、両者とも“仲良く”ライバル意識を隠さなかった。
「今日、大森さんにタイムで勝ったので、次は勝負でも勝ちたい」
大森も負けていない。
「自己記録を抜かれたのは悔しいですね。ヘルシンキでは勝ちます」
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