年末スペシャルA
発表!! 寺田的陸上競技WEB年間最優秀選手
高橋尚子
世界初の2時間20分突破!!
2001年の高橋尚子(積水化学)の活躍は素晴らしかった。
●五輪種目で日本人38年ぶりの世界最高記録
●4レース連続2時間23分15秒突破
●海外マラソン3連勝
出場したのは(マラソンに限ると)たった1試合でも、その1つにいくつもの意味があった。上記以外にも、いくつかあるだろう。が、特に評価したいのは、有言実行という部分。レース1年前から世界記録を目指すと言って、実際に出した点がすごい。
マラソンは気象条件や地形、そしてレース展開などが記録に大きく影響するため、狙って記録を出せるものではない。日本のマラソン界はその部分にあぐらをかいてきた、積極的に記録を狙う姿勢が足りなかった、と感じられる部分がなきにしもあらず。「目標は勝つことです。勝てば記録がついてくる」というコメントが、どの大会でも常套句になっていた。それを小出監督は「記録を出せば順位はついてくる」と言い切った。
もう1つ指摘したいのは、前年の五輪金メダルで気持ちが切れなかった点。外国のマラソン選手なら、賞金マラソンがモチベーションとなることもあるだろう。ところが、五輪が至上価値観となっている日本社会では、意外と難しい。それを可能としたのは、高橋の走ることに対するモチベーションが、その4補足2のようなものだからだろう。
日本には、過去にも世界最高を出したマラソン・ランナーは多くいる。もちろん、高橋と彼らを比較はできない。ただ、区切りとなる数字、いわゆる“壁”を破ったのは初めてである。やはり、最大の評価は
●女子選手世界初の2時間20分突破
という部分だろう。98年にロルーペ(ケニア)が13年ぶりにクリスチャンセン(ノルウェー)の世界最高を更新し、翌年4秒短縮した。しかし、ロルーペに翳りが見え始め、再び停滞期に入ってしまったか、とも思われた。その傾向を再び上向きに変えたのが高橋。翌週のヌデレバ(ケニア)の世界最高で、世界的にはやや印象は薄れたが、高橋の功績が語り継がれることに異論のはさむ余地があるだろうか。
その1 2 3(高橋) 4
高橋尚子のマラソン全成績
回数 |
年月日 |
大会 |
順 |
記録 |
場所 |
備考 |
1 |
1997. 1.26 |
大阪 |
7 |
2.31.32. |
大阪 |
|
2 |
1998. 3. 8 |
名古屋 |
1 |
2.25.48. |
名古屋 |
日本最高 |
3 |
1998.12. 6 |
アジア大会 |
1 |
2.21.47. |
バンコク |
日本最高 |
4 |
2000. 3.12 |
名古屋 |
1 |
2.22.19. |
名古屋 |
五輪選考会 |
5 |
2000. 9.24 |
五輪 |
1 |
2.23.14. |
シドニー |
|
6 |
2001. 9.30 |
ベルリン |
1 |
2.19.46. |
ベルリン |
世界最高 |