年末スペシャルA
発表!! 寺田的陸上競技WEB年間最優秀選手
室伏広治
日本投てき種目史上初のメダル獲得!!
 2001年の室伏広治(ミズノ)の活躍は素晴らしかった。
●日本記録更新3回。3回目はアジア新
●年間13戦して12勝
●日本人初のゴールデンリーグ優勝

 この他にもいくつかあるだろう。が、特に評価したいのは、その安定性である。唯一の敗戦が世界選手権だが、その時に負けたジオルコフスキー(ポーランド)には4勝1敗と圧倒的に勝ち越している。記録的にも、世界リスト1位。男子ハンマー投の実力ランキングで、年間1位に選んでいる雑誌も多い。
 ジオルコフスキーは世界選手権で、自己新記録で優勝した。リスト1位で世界選手権に臨んだ室伏は、自己2番目の記録で2位だった。大舞台で自己新を出して優勝するのはもちろんすごいが、期待される大舞台で自己の力を出し切ることもまた、すごいことである。世界のトップレベルに達した日本選手もいたが、大舞台で力を出し切れなかった例の方が多い。

 投てき種目の過去最高成績は、菅原武男(リッカー)の68年メキシコ五輪での4位。室伏の父・重信氏は72年ミュンヘン五輪8位・76年モントリオール五輪11位、84年ロス五輪予選落ち。世界選手権では87年ローマ大会やり投7位の溝口和洋が最高だった。
 これらのいずれも上回った室伏だが、過去の投てき選手と比較して室伏が上とか下とかは、言いたくない。「日本の投てきの伝統があったから、今の自分がある」と、室伏自身断言している。菅原が世界に通用することを実証し、重信氏が70mを突破した。2人の技術が、室伏に受け継がれていることは想像に難くない。そして、大学2年時に壁にぶつかっていた室伏が、それを打ち破るきっかけとなったのが、溝口コーチとの出会いであり、ともに励んだトレーニングだった。

 それでも、結果としてメダルを獲得したのは室伏が初めて。
●世界選手権・オリンピックを通じて投てき種目史上初のメダル
 これが最優秀選手たる最大の理由だろう。体格において日本人に不利とされる投てき種目で、技術を前面に打ち出して世界に挑んできた室伏。その努力が、メダルという形で実った。それを評価して、どこが悪いといえるだろうか。

その (室伏)  

室伏広治の2001年全成績(予選を除く)
大会名 順位 記録 年月日 場所 1投目 2投目 3投目 4投目 5投目 6投目 備考 1位 2位
梅村学園記録会 1 82.23 2001/4/1 中京大 82.21 81.85 80.93 P 80.30 82.23 日本新
土曜記録会 1 82.60 2001/4/7 中京大 79.98 81.75 81.50 81.77 82.60 81.58 日本新
織田記念 1 81.35 2001/4/29 広島広域 81.35 F 79.32 P P 80.17
静岡国際 1 79.00 2001/5/3 草薙 77.52 78.25 78.48 F 78.68 79.00
大阪国際GP 1 82.59 2001/5/12 長居 F 78.85 82.03 81.49 82.59 82.28 ジオルコフスキー
東アジア大会 1 79.68 2001/5/25 長居 76.77 79.48 79.55 78.90 P 79.68
日本選手権決勝 1 78.83 2001/6/10 国立競技場 78.58 78.83 78.72 78.16 77.97 F
ゴールデンガラ 1 79.50 2001/6/29 ローマ F 77.88 79.50 F 打ち切り 打ち切り ヴィッツォーニ
土曜記録会 1 83.47 2001/7/14 中京大 79.86 82.16 82.26 83.32 P 83.47 アジア新
世界選手権決勝 2 82.92 2001/8/5 エドモントン 79.91 82.46 81.95 81.43 82.92 82.61 ジオルコフスキー
グッドウイルゲーム 1 82.94 2001/9/7 ブリスベーン F 79.17 80.13 80.91 82.94 81.67 ジオルコフスキー
スーパー陸上2001 1 82.08 2001/9/15 横浜国際 78.23 79.43 81.79 81.07 80.10 82.08 ジオルコフスキー
全日本実業団 1 80.61 2001/9/30 西部 77.72 79.12 80.61 77.14 79.40 P