ウィグライプロ
スペシャル
第4回



“足立・西脇工高”の
強さに迫る
伝統校の変化と指導の核




写真は右から足立先生と、
主将の三浦、勝亦、藤本の3年生3選手

A選手の"やる気"を喚起する工夫
@足立流の新たな取り組みから
●「生徒が欲しているものを与える」
 重要なのは「メニューや場所ではない」と言う足立先生。では、どんな指導を受けて今の西脇工高の選手は強くなっているのだろう。
「一番気を付けている部分は、生徒が何を欲しがっているか、です。生徒個人でもそうですし、チーム全体でもそう。そこを指導者がしっかりと判断して、欲しているときに与えてあげれば生徒は食いついてきます。そのタイミングが必ずあるし、タイミングを作ることもできます」
 例えばレースのあとがそうだし、練習中や練習後もそう。ミーティングもしかり。選手に働きかけるタイミングをつねにはかっている。欲しがっているもの、を与えられれば選手の取り組み方は大きく変わる。ひと言でいえば"やる気"が大きく違ってくるのだ。
 駅伝の兵庫県大会、近畿大会と1区で区間賞を取った中谷圭佑(2年)もそんな選手の1人。「中谷は甘えた(甘えん坊)なんです。だから突き放しました」
 資格取得のための補習を受けることになった中谷が、夏合宿を理由に補習の日程変更を担当の先生に申し出た。それを聞いた足立先生が、「高校生は学校が一番。陸上競技が中心に物事が動くという考え方がよくない」と言って合宿に参加させなかった。
 さらにもう一度、合宿に参加させなかった。自分の仕事を後輩にやらせたからだった。2回の合宿不参加で中谷は考えを改めた。そこから変わり始めたという。
「自分がやるべきことをやらないといけない、とわかったのでしょう。元々負けず嫌いの性格。人間的に大きくなれば伸びてくる選手です」

県、近畿と連続1区の中谷
 牧浦聖士(2年)も今季の成長株だが、以前は試合で力がまったく発揮できない選手だった。1年時に練習のペース走を8分台でこなしているのに、試合で9分50秒かかったことがあった。試合で過度に緊張するのが原因だとわかり、平常心に近い状態で臨むことを課題とした。
 足立先生は「日常からプレッシャーをかける」方法をとった。自身の生活のなかで何か1つルールを決めさせる。帰宅後に必ず補強をすることでもいいし、弁当箱を洗うことでもいい。なんでもいいので自分で決めたルールを、例外を作らずにやり遂げさせた。西脇工高時代に13分45秒86の高校歴代2位(当時)を出した北村聡(日清食品グループ)も、自身に課した補強を欠かさなかったという。
「日常生活からプレッシャーに慣れるようにすれば、試合はマイペースで臨むことができるのです」

●"プラスマイナス2"の積み重ね
 すべては選手の自主的、積極的な取り組みをうながしている。"やる気"の違いで、練習の効果はまったく違ってくるからだ。足立先生は次のような話を、よく選手たちにするという。
「練習前に"今日はしんどそうだな"と思ったらマイナス1で始めてしまいます。逆に今日は"こんな練習をしよう"と前向きになれたら、プラス1から始められる。プラスマイナス2の違いです。それが365日積み重なったら大きな違いになりますよ。練習に入る前に全てが決まってしまうのです」
 選手の"やる気"を喚起するために、練習をやめてミーティングに変更したり、グラウンド整備をすることもあるという。
 取材で訪れたのは11月末。近畿高校駅伝の優勝から1週間ほど経っていたが、選手たちに気のゆるみが生じていた。練習を開始する時間が7分遅れていたのだ。グラウンドは誰かが整備するだろう。着替えをちょっとだけゆっくりしてもいいだろう。そんな気持ちのゆるみが開始時間の違いに表れる。足立先生は次のように生徒たちに語りかけた。
「練習時間の開始が1分違えば、マッサージの時間を1分増やすことができる。マッサージは疲れをとるだけでなく、肌と肌が触れ合うことでチームワークも深めることができる重要な部分。練習の質や量よりも大事なことがある」
 2年前のチームは近畿大会で2位となり、地区代表として全国大会出場を決めたが、目標記録に41秒届かなかった。その41秒を7人で縮めようとしたら1人6秒を縮めないといけないが、全部員の31人で縮めようとしたら1人1.3秒だと考えて努力した。その結果が全国大会2位(2時間04分37秒)につながった。しかし、今年のチームが今すぐ京都のコースを走ったら、前述のように2時間6〜7分かかるという。「それが駅伝なんです」

●目標を決めるのは選手
 選手の"やる気"を起こさせるために西脇工高では、どんなことでも選手に考えさせるようにしている。
 有名なのは駅伝のメンバーを選手たちが話し合いで決めることだろう。これは渡辺前監督の時代から行われていた方法で、自分でここを走ると言った以上、選手たちはそれに責任を持つ。同時に前向きにもなる。
「目標記録も生徒が決めます。兵庫県記録の2時間03分13秒に挑戦したい気持ちはありますが、それは僕の個人的な目標です。チームじゃありません」
 取材した時点では、近畿大会を1・2年生で戦ったチームの練習に、3年生4人が合流していなかった。どういった練習のカレンダーで合流するか。それを選手たちに提出させていた。
 年に6回行う合同合宿(夏に3回、冬、春、ゴールデンウィークに各1回)でも、段取りはすべて選手が整える。そのときに各校の選手たちの前で説明するのも選手自身だ。部の運営の多くを選手たちにやらせているため、3年生を中心に"回す"という表現を足立先生は使ったわけである。
 遠征の交通手段や行動手順を決めるのも選手。選手が立案してコーチに提案する。足立先生やコーチが決めたら早いのだが、それでは考えて行動(考動)するクセがつかない。@で紹介した日体大長距離競技会への遠征も、宿泊を伴う遠征のシミュレーションとして活用できるのである。
 前述の「7分の遅れ」がどうして生じたか、足立先生が答えを教えるのは手っ取り早い。しかし、それも選手たちに考えさせ、話し合わせる。
「生徒の"やる気"を起こさせる工夫に終わりはありませんね」

牧浦の成長で選手層が充実した

コース整備を率先して行う三浦

3年生の永信。後半区間の戦力

1年生の藤原。国体少年B3000mで2位

1年生の山本はどこまで記録を伸ばすか

メイン練習終了後にも腕振り

練習後のグラウンド整備も強化法の1つ


「ウィグライ プロ(WGH Pro)」と西脇工高

 西脇工高とウィグライ プロ(WGH Pro)が出会ったのは2010年7月の大山合宿。「合宿で実感して飲み始める選手が増えていきました」と足立先生は話す。これまでいろいろなサプリメントを試したが、"ここまで違いが分かったサプリメントはない"という声が挙がったという。今ではチーム28人以上がウィグライ プロ(WGH Pro)を使用している。基本的には練習が終わった後に1包飲んでいる選手が多い。足立先生自身もランニング愛好者でウィグライ プロ(WGH Pro)を飲んでいる。


B渡辺前監督から引き継いだ部分、真似できない部分 につづく


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