2002/3/3 びわ湖マラソン
野口が初マラソン歴代10位の2時間11分20秒
初マラソン日本歴代10傑リスト
その1 準備不足の状況で見せた(後半の)走りに今後への期待感

 箱根駅伝の山登り、5区区間賞の野口英盛(順大)が100点満点と言っていいレースをした。
 20kmまで、5km15分ペースには余裕でつけているレースぶりだったが、その後、やや辛そうな表情に。
「25kmで余裕がなくなり、給水も取れずマジ切れそうになりました。30kmで本当にヤバかったんですが、得意の上りだったので、追いついていけました」
 30kmまでは諏訪利成(日清食品)を追う先頭集団でレースを進めることができた。その後、武井隆次(エスビー食品)のペースアップには付けなかったが、同じ初マラソンの入船敏(カネボウ)と渡辺聰(アラコ)、安生充宏(富士通)、小出真義(自体学)らの集団には付くことができた。
「33kmまでは余裕があり、このペースで押していけると思ったんですが、ラスト3kmは本当にきつかったです。2年の熊日30kmでも同じようなきつさを経験していたので、あのくらいには苦しむだろうと予想はしていましたけど」
 本人が言うのだから苦しんだのは間違いないのだろうが、ラスト2.195kmが7分17秒なら完全に死んだわけではない。そして残りトラック1周時点では11位だったが、前を行く2人を抜いて9位に進出した。苦しい地点で粘れる点に、マラソンへの適性が感じられた。

 箱根駅伝出場の人気選手ということで世間的な注目度も高かったが、野口の箱根駅伝後の戦績から、陸上界内部でも高い評価を受けていた。1月20日の全国都道府県対抗男子駅伝(3区区間5位)、2月3日の丸亀ハーフマラソン(4位・1時間01分55秒)と好走。学生選手は箱根駅伝で力を出し尽くし、その後のレースはボロボロという選手が多く見受けられる。前述の2レースでも「なんで?」という走りの学生選手は多かった。その点、「野口は箱根後もスタミナが持っているな」という印象が強く、マラソン向きのフォームと相まって、初マラソンへの前評判は高かった。
 しかし、野口自身は2つのレースに出たことがよくなかったと言う。
「マラソンに出ることを決めたのも箱根駅伝後ですし、広島(男子駅伝)、丸亀とレースが続いて走り込めなかったので、不安と言えば不安でした。(入社する富士通の先輩の)藤田敦史さんに話を聞いたら、箱根駅伝のあと40km走を5〜6回はやったそうなんです。その点、僕は1回だけ。丸亀が終わって朝練習で走る時間を10分伸ばしたりしましたが、月間走行距離は700kmくらいしかいかないと思います」

「40km走を何回も重ねるだけがマラソン練習ではない」とは、近年よく言われている。違うアプローチ法で好走した例は多い。だが、野口は走行距離だけでなく、卒業試験なども多く重なり、不十分な練習でマラソンに臨んだのも間違いない。そういった準備状況での初マラソン日本歴代10位、学生では歴代4位というこの日の走りは、客観的には100点が付けられるものだった。

※その2「目標の沢木総監督の順大記録を大幅更新。しかし…。先輩・浜野は順大OB初の2時間9分台」に続く

初マラソン日本歴代10傑
歴代順位 記録 選手名 所属 年月日 大会 着順
1 2.08.53. 森下広一 (旭化成) 1991. 2. 3 別大 1
2 2.09.38. 五十嵐範暁 (中国電力) 1998.12. 6 福岡 4
3 2.09.41. 高岡寿成 (カネボウ) 2001.12. 2 福岡 3
4 2.09.50. 佐藤敦之 (早 大) 2000. 3. 5 びわ湖 4
5 2.10.01. 三木 弘 (旭化成) 1998. 3. 1 びわ湖 4
6 2.10.07. 藤田敦史 (駒 大) 1999. 3. 7 びわ湖 2
7 2.10.37. 早田俊幸 (鐘 紡) 1992. 2. 9 東京 3
8 2.10.48. 油谷 繁 (中国電力) 2000. 3. 5 びわ湖 7
9 2.10.49. 中村祐二 (山梨学大) 1995. 3.19 びわ湖 1
10 2.11.20. 野口英盛 (順大) 2002. 3. 3 びわ湖 9

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