2012/8/8 ロンドン五輪展望
6日目(8月8日)午後の部
日本記録ペースの右代、400mで49秒台を

 大会6日目午後の部に出場する日本選手は以下の5選手。

男子十種競技・走高跳:右代啓祐(スズキ浜松AC)
男子やり投予選A組:村上幸史(スズキ浜松AC)
男子200m準決勝1組:高瀬 慧(富士通)
男子200m準決勝3組:高平慎士(富士通)
男子やり投予選B組:ディーン元気(早大3年)
男子十種競技・400m:右代


 右代啓祐の3種目終了時の結果は下記の通り。
記録 得点 累計
11"32(+0.7) 791 791
6m86(+1.1) 781 1572
13m59 703 2275

 初日の自己最高をマークした今年の日本選手権と比べると166点悪いが、日本新を出した昨年の日本選手権とはほぼ同じ(16点違い)。100 mは自己3番目の記録で、砲丸投は自己記録と39cm差なので許容範囲だろう。
 問題は右代自身が新しい走り方で手応えを感じていた走幅跳が6m86だったこと。100 mの結果を見る限り、走り方とは別の要因だったと思われる(風が一定せず跳躍種目には難しい条件だったという現地の情報もある)。

 仮に走幅跳が失敗だったとしても、1種目の失敗を引きずらないのが真のデカスリート、という意味のことを右代が話していたことがある。残り7種目で頑張れば、目標である五輪本番での日本記録更新も十分狙える。
 まずは1日目の残り2種目をしっかりとこなしたい。特に今大会の周回種目は、ときどきオッという好記録が出ている。49秒台の自己新を狙う好機だろう。2日目に向けて勢いもつけられる。

右代啓祐の主要大会成績と各種目自己記録
2011日本選手権 2011テグ世界陸上 2012日本選手権 各種目ベスト記録
記録 得点 累計 記録 得点 累計 記録 得点 累計 記録 得点 累計
11"39(-1.1) 776 776 11"42(±0) 769 769 11"29(+1.2) 797 797 11"27(+1.9) 801 801
6m96(+0.9) 804 1580 6m96(+0.2) 804 1573 7m45(+1.6) 922 1719 7m45(+1.6) 922 1723
13m71 711 2291 12m88 660 2233 13m89 722 2441 13m98 727 2450
2m06 859 3150 2m02 822 3055 2m03 831 3272 2m06 859 3309
50"28 802 3952 50"89 774 3829 50"58 788 4060 50"28 802 4111
14"93(+0.5) 858 4810 15"20 (-0.1) 825 4654 15"01(-1.7) 848 4908 14"93(+0.5) 858 4969
43m67 740 5550 43m84 743 5397 47m25 813 5721 47m25 813 5782
4m90 880 6430 4m40 731 6128 4m70 819 6540 4m90 880 6662
73m06 936 7366 67m73 855 6983 66m27 833 7373 73m82 948 7610
4'35"83 707 8073 4'43"87 656 7639 4'42"63 664 8037 4'26"68 767 8377

男子やり投にディーンと村上が出場
標準記録の82m00で予選通過を


 男子やり投は82m00が予選標準記録。北京五輪以降の予選標準記録とそれを超えた人数、実際の通過12人目の記録は以下の通り。

2008北京五輪:82m50(3人)、12番目79m70【村上78m21】
2009ベルリン世界陸上:82m00(3人)、12番目78m69【村上83m10】
2011テグ世界陸上:82m50(2人)、12番目81m03【村上80m19】

 12番目の記録は北京とベルリンが低く、テグが高い。
 北京はA組の気象条件が悪かったのが原因(雨)。トップ通過でさえ80m42で80m台が3人(村上もA組)。B組は83m台2人、82m台2人、81m台1人と好記録が続出し、予選のAB組で差が大きかった。
 ベルリンは全体的に低調だった。五輪翌年で有力選手が一息ついていたという説もあれば、スタジアムの上空の風が強く、高く投げる選手のやりが伸びなかったという説もある。
 テグはコンディションが良かったのか、80m以上を16人も投げてきた。

 ロンドン五輪がどうなるか。
 前日の女子やり投予選は62m00が予選標準記録で9人がそれを超えてきた。本当のトップ選手を除き、世界陸上やオリンピックでは自己ベストやシーズンベストよりもかなり記録が低くなるが、そこまで低くならなかった。9人という数字には驚かされた。
 シーズンベスト(62m36)で17番目だった海老原有希(スズキ浜松AC)は、予選全体で16番とほぼ記録通りの順番となった。
 同じ気象条件になるわけではないし、男子選手が同じように力をを発揮してくるとは限らない。だが、万が一シーズンベスト順になるとすれば、84m28のディーン元気は12番目、83m95の村上幸史は14番目となる。
 ただ、84m台に7人がひしめき合っているので、シーズンベストの序列はあまり意味がないという見方も可能だろう。

 北京五輪でA組だった村上は、B組が進むにつれて自分の順位が下がっていくのを、スタンドで浜元先生や友人たちと見続けた。その経験をモチベーションとして翌年以降の飛躍につなげたのだが、今回同じようにB組の結果を待つのは避けたい。
 2人とも82m00の予選標準記録を楽に超えてほしい。

 直前合宿の様子は以下の記事に。
“和製ゼレズニー”となってモスクワ世界陸上を目指す荒井 村上&ディーンとの関わりに見る日本やり投界の可能性に Eロンドン五輪直前合宿

シドニー以来の男子200m準決勝2人進出
高平&高瀬の順大OBコンビの描く軌跡は?


 男子200mに2人の日本選手が進出したのはシドニー五輪に次いで2回目。シドニーでは伊東浩司と末續慎吾の東海大(OB&学生)コンビだった。2人は同じ2組に入り伊東が7位で末續が8位。日の出の勢いだった末續を、日本記録保持者だった伊東が最後でかわした。
 今回は高平慎士と高瀬慧の順大OBコンビ。高瀬が1組で高平が3組と別だが、どんな走りの応酬を見せるか。

 男子200m準決勝は3組行われて2着+2が決勝に進出する。気象条件が良さそうなので2人とも自己記録更新も期待できる。
 高瀬慧の入った1組にはブレイク(ジャマイカ)、ルメートル(フランス)、スピアモン(アメリカ)と強豪が3人入ってきた。自己記録、シーズンベストとも8人中7番目。思いきりぶつかるだけだ。
 高平慎士の入った3組には19秒台はウェイル(ジャマイカ)とマルティナ(オランダ)の2人。20秒1台のシーズンベストが2人。高平自身も予選後に話しているように、自己記録の20秒22前後を出せば決勝進出の可能性もある。

 初のオリンピックで「準決勝で戦うこと」が目標の高瀬と、3度目のオリンピックで明確に「決勝進出」を意識してラウンドを進めた高平。
 2人のポジションの違いは以下の記事で。
高平慎士&高瀬慧 200m代表コンビのクロストーク 対照的な成長過程の2人がロンドンで描く軌跡


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