2008/7/31 埼玉インターハイ
男子走幅跳特集@
歴史的な混戦かつ激戦
最終6回目に皆川が
大逆転で2連覇達成

 とにかく順位の入れ替わりが激しかった。通常の試技表よりも、1回毎の順位と記録を示した上の表を見てほしい。その様子がよくわかるだろう。
 1・2回目の順位変動は当然だが、2回目にトップに立ったのは田中裕丸(大和川)。注目された前回1〜3位の皆川澄人(白樺学園高)、小西康道(同)、嘉山大介(深谷商)ではなく、近畿優勝者で2年前の国体少年B優勝者がトップに立った。
 3回目は大きな動きこそなかったが、近畿2位の石橋哲也(京都両洋)が2位に上がった。対照的に前回2位の小西は7位と浮上できない。といっても、ベスト8決定時の5位は7m18、8位は7m16。2cmの間に4選手がひしめき合っていた。さらに言えば、1位から8位も10cm差の大混戦だったのである。

 しかし、4回目に小西が7m32を跳んで7位から一気にトップに立つと、再び試合が動き始めた。驚かされたのは小西の次の跳躍者である長尾勇佑(斐太)で、唯一大会前のトップ10リストに名前のない選手が7m38を跳びトップに立ったのだ。
 5回目も長尾がトップを維持したが、ともに7m32をマークした田中と石橋が2・3位に再浮上。同記録の小西が4位、皆川5位、嘉山6位と、前年の1〜3位がメダルを手にできないかもしれない可能性が出てきた。
 だが、本当のドラマは6回目に待っていた。皆川が7m48で5位からの大逆転に成功したのだ。田中は7m35と記録を伸ばしたにもかかわらず、3位に順位を落とした。嘉山も7m32に記録を伸ばしたことで、4位・石橋、5位・嘉山、6位・小西が同記録で並んだ。2〜6位が6cm差だった。

 予想よりも記録が低調だったのは、向かい風だったため。
「ベスト8になるときにピットを変えてくれると思ったのですが、そのまま進んでしまった。見る人は記録ばかり気にしますが、この大会に出た66人がどういう勝負をしたかをしっかりと見てほしい。どういうコンディションで、どう戦っているのかを」
 優勝した皆川が選手たちの気持ちを代表して話していた。

各回跳躍後の順位(名前の右横がその回の記録。その右側はその回終了時点の最高記録)
1回目 2回目 3回目  
清水 7m16 田中 7m26 7m26 田中 × 7m26 1位
嘉山 7m13 皆川 7m22 7m22 石橋 7m25 7m25 2位
小西 7m11 嘉山 7m21 7m21 皆川 7m21 7m22 3位
長谷川 7m08 石橋 7m19 7m19 嘉山 7m01 7m21 4位
皆川 6m97 小西 7m16 7m16 大岩 7m18 7m18 5位
大岩 6m80 清水 6m76 7m16 長尾 7m17 7m17 6位
太田 6m69 長尾 7m12 7m12 小西 6m88 7m16 7位
大宮 6m64 長谷川 7m09 7m09 清水 × 7m16 8位
長尾 × 6m87 6m87 長谷川 7m12 7m12 9位
× 大岩 6m82 6m82 太田 7m04 7m04 10位
石橋 × 太田 6m80 6m80 6m99 6m99 11位
田中 × 大宮 6m63 6m63 大宮 × 6m63 12位
4回目 5回目 6回目 
1位 長尾 7m38 7m38 長尾 × 7m38 皆川 7m48 7m48
2位 小西 7m32 7m32 田中 7m32 7m32 長尾 × 7m38
3位 皆川 7m26 7m26 石橋 7m32 7m32 田中 7m35 7m35
4位 田中 7m14 7m26 小西 × 7m32 石橋 × 7m32
5位 石橋 7m08 7m25 皆川 7m03 7m26 嘉山 7m32 7m32
6位 嘉山 7m24 7m24 嘉山 7m13 7m24 小西 6m15 7m32
7位 大岩 × 7m18 大岩 × 7m18 大岩 7m05 7m18
8位 清水 6m94 7m16 清水 × 7m16 清水 × 7m16
    .    はその時点でトップに立った跳躍

皆川コメント
「とりあえず、ホッとしています。(展開は風に左右され)実力よりも運というところがありましたが、知らない選手も上がってきて、ジュニア強化選手として負けられないと思って。(雄叫びは)苦しさもありましたし、予選からはまった跳躍がなかったので。相性の良い競技場だったのですが、今回は風に恵まれなかったです。2連覇は若干意識していました。雑誌を見たら(走幅跳では)5人目とか書かれていて。
 でも、小西とのワンツーの方を達成したかった。これはお預けということで、大学に行ってからですね。小西に1回1回跳躍を見て意見を言ってもらうと、自分の考えと一緒でした。あいつが塩を持ってきていて、自分もそれをなめさせてもらったり。ちょっとした笑いも出て、(試技の間は)気楽に過ごせました。あいつは走高跳と三段跳にも出るので、それをバックアップしてあげたい。僕は今回は走幅跳に集中していました。三段跳の練習はしていません。福岡の選手(岡部優真・福岡一)もいますが、今日の結果で波に乗りたい。そのときも小西と切磋琢磨して頑張りたいです。
 予選と決勝の間は、時間もそんなにないのでドームの中でドリルだけ行いました。あとはストレッチと。中学の恩師や先生方に来ていただいて、一喝してもらいました。その方が逆に落ち着きます。笑いも出ていましたし、初心にも戻れました。
 (試技の間に先生からの)技術的なアドバイスは特にありませんでしたが、意識していたのは最初の6歩は押すイメージを持つこと、次にギアチェンジとスピード維持をすること、そして助走の最後は着地までスピードを上げていくイメージを持つことです。
 対校は雑誌とかには(可能性があると)書かれていましたが、考えてはいません」

成績順試技表(通常の試技表)
    1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 6回目 順位 記録
皆川澄人 白樺学園 6m97 7m22 7m21 7m26 7m03 7m48 1位 7m48
-0.5 -1.6 -1.5 -0.3 -0.3 -0.5 -0.5
長尾勇佑 斐太 × 7m12 7m17 7m38 × × 2位 7m38
  -1.2 ±0 -0.4     -0.4
田中裕丸 大和川 × 7m26 × 7m14 7m32 7m35 3位 7m35
  -1.7   -1.5 +0.9 -0.7 -0.7
石橋哲也 京都両洋 × 7m19 7m25 7m08 7m32 × 4位 7m32
  −1.1 −0.8 −0.9 +1.0   +1.0
嘉山大介 深谷商 7m13 7m21 7m01 7m24 7m13 7m32 5位 7m32
−0.7 −1.3 −0.4 −1.4 −2.1 −0.1 −0.1
小西康道 白樺学園 7m11 7m16 6m88 7m32 × 6m15 6位 7m32
−0.8 −0.6 −1.8 +0.3   −0.1 +0.3
大岩雄飛 高岡龍谷 6m80 6m82 7m18 × × 7m05 7位 7m18
−0.9 ±0 −1.5     +0.8 −1.5
清水 樂 静岡市立 7m16 6m76 × 6m94 × × 8位 7m16
−1.1 +0.1   −1.0     −1.1
長谷川 悠 宇治山田商 7m08 7m09 7m12       9位 7m12
−0.1 −1.6 −1.5       −1.5
太田 朗 松代 6m69 6m80 7m04       10位 7m04
−1.2 −0.9 −0.7       −0.7
林 風汰 宇治山田商 × 6m87 6m99       11位 6m99
  −0.3 −1.4       −1.4
大宮大知 成田 6m64 6m63 ×       12位 6m64
−1.1 −0.5         −1.1

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