2008/7/31 埼玉インターハイ
男子走幅跳特集A
混戦の印象を強めた“無名選手”長尾の2位
「(トップに立ったときは)“どうしよう”という気持ちになってしまいました」


男子走幅跳特集@ 歴史的な混戦かつ激戦 最終6回目に皆川が大逆転で2連覇達成 試技表と各回跳躍後の順位&記録表

 混戦の印象を強くしたのが、2位に入った長尾勇佑(斐太)の健闘だった。皆川が「知らない選手」と話したように、専門誌などに記載のベスト記録は7m19で、東海大会は長谷川(宇治山田商)、清水(静岡市立)に敗れて3位だった。
 その長尾が4回目に7m38でトップに立った。
「浮いてきた感じはありましたが、まさか自己新が出ているとは思いませんでした。助走スピードが出て、踏み切り前の4歩が良い感じにはなっていましたが。(トップに立ったことは)正直、驚きました。周りは有名どころばかりで、それに対して自分は無名選手です。“金星か”という気持ちよりも、“どうしよう”という気持ちになって。楽しむ余裕はなかったです。動揺というか、心が圧迫された感じです」
 ベスト8に残った選手のうち、長尾だけがスタンドに手拍子を求めなかった。
「やってみようかとも思いましたが、全国大会は初めてですし、まだまだ未熟ですから」

 長尾は中学時代は野球部。昨年は東海大会止まりで、自他共に“無名”と話すのも無理はない。だが、実はインターハイ2週間前に7m34を跳んでいる。「そこで、踏み切り前4歩の感覚をつかむことができたんです」
 混戦となったのは長尾の健闘に加え、注目選手が力を出せなかったことも一因ではないかという意見もあった。だが、日本記録保持者の森長正樹に競技後に「力の差はないですよ」と話していた。
 今回は無名選手で通った長尾だが、次からは“インターハイ2位”の肩書きが付く。大学に進学すれば、高校のエリート選手と見られる立場になった。皆川には逆転されたものの、勝った小西は世界ユースの金メダリストで、嘉山大介は銀メダリストである。
「まだまだ自分は弱いと思います。これから経験を積んで、本当の強さを身につけてからの話です。今日は、完全に引っ掛かった感じです」
 在学中に「7m50は跳んでおきたい」と目標は控えめ。望外の成績に浮かれてしまう無名選手もいるが、長尾はそういうタイプではないようだ。

男子走幅跳特集B 入賞8選手の助走距離と歩数、100 mベスト記録は? 5年前の“長崎IH世代”と比べたときの特徴は?

寺田的陸上競技WEBトップ