2003/5/5 水戸国際
男子100 m末續10秒03、国内日本最高!A
昨年の10秒05との違いは?
「暴れ馬ではなくなっています」

男子100 m末續10秒03、国内日本最高!@「青ざめました。行ったと思いましたから」
 昨年の10秒05と歴代順位は同じというものの、今回の10秒03は、昨年の10秒05は意味合いが違う。昨年は追い風1.9mだったが、今年は追い風1.8mだった……というのは末續の言ったジョークだが、現時点でわかっているだけでも冬期に取り組んだ内容(で少々)、練習からシーズンへの流れ、そしてレース中の感覚などに違いが見られる。
 冬期には初めて、本格的にウェイトトレーニングに取り組んだ。その目的を末續は、「“一歩力”が欲しいな、ということです。60〜80mあたりで、ぶっ壊れそうな身体を押さえ付けるための力ですね」と、陸マガ5月号のインタビューで話している。
 ウェイトトレーニングに関して、この日、改めて次のようにコメントした。

「この冬で、パワーアップしてきました。体重は変わっていません。鍛えたい部分を集中して鍛えてきたので、その部分の筋肉は大きくなりましたけど、重さを増やしているわけではあありませんから。
 ウェイトを行うのは週2回。器具の使い方がよくわかっていなかったので、自分で考えてやりました。僕の感覚だけです」

 シーズンの流れに関しても、「去年は春先に走れ過ぎました。あのままずっと走り続けていたら、どっかでガス欠を起こしたと思うんですよ。アジア大会が10月だったんで、前半で記録を狙う意図も多少はあったんですが。今年は8月の世界選手権で戦いたいので、意識的に遅らせています。筋肥大もしていますから、春先は出遅れるでしょう」と、コメント。
 ただし、その後は若干のニュアンスの違いが生じていた。上記の陸マガの取材は3月下旬だったが、4月23日のMTC(ミズノトラッククラブ)の会見では、「調子が上がってきているので、昨年と同じくらいの記録が出るかもしれない。そうなったら、8月には(9秒台も)」と、現段階で10秒05前後が出る可能性を示唆していたのだ。
 そして、実際に10秒03のタイムが出た。

 この日明らかになったのは、レース中の感覚の違いである。

「去年みたいな“暴れ馬”ではなく、去年よりかなりまとめられています。自分の感覚に、体が追いついてきたみたいです。それと、走っていて風景にスピードが出てきました。70mから風景が変わりました。おそらく、そういう世界なんでしょう

“暴れ馬”は完全に制御できたのかというと、100%そうとも言い切れないようだ。ただ、それが“暴れ馬”の中途半端なコントロールの結果なのか、新たに生じた感覚なのかは、本人ならずとも正確に把握できることではない。

「暴れ馬をコントロールすることを課題としてやってきましたが、でも、まだ、走っていてフワフワした感じもあります。足がスカっているというか、走っているんじゃなくて、空中を滑っているみたいなんです。裸足で走っていたら火傷するんじゃないかと思うくらい。重心移動がスムーズになったのでしょうか。水の上を走っているみたいで、力感がないんですよ。効率のいい走りだったんですかね。スピード曲線がどうなっていたか、データが欲しいですね」
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