200 m   エントリーリスト
最大の焦点は末續の記録
世界選手権代表入りの条件は、考えても答えは出ないような…



 故障でもしない限り、末續慎吾(東海大)の優勝は動かない。問題はタイムだが、今季の好調さ、100 mの走りからすると、自己記録(の20秒26は昨年、記録量産トラックの横浜国際で出したものだが)更新も十分あり得る。条件が整えば伊東浩司の日本記録、20秒16も手が届かない範囲ではないと思う。
 200 m観戦の際の注意点だが、ホームストレートが向かい風だから記録は出ないと、決めつける必要はない。パフォーマンス日本歴代2位の20秒25(伊東)も、歴代2位の20秒26(末續)も、さらにはかつて、山内健次と高野進が日本新を出したときも、向かい風だった。
 正確には先頭走者がホームストレートに入ってから風の計測を行うわけだが、ホームストレートが向かい風ということは、スタート地点は追い風気味ということである。それだけ、前半でリズムに乗りやすく、200 mでは向かい風でも記録が出るのだと想像できる。そうではあるが、やはり追い風の時の方が全体的に記録はいいようだ。
 もちろん、追い風でも向かい風でも、記録が出ないときは出ない。毎回、自己記録を出すことなど不可能なのだ。
 2位争いは、今季、静岡でA標準(20秒72)突破の20秒68をマークしている松田亮(広島経大)と、関東インカレで同じく20秒68をマークした藤本俊之(東海大)、東日本実業団を制した伊藤辰哉(富士通)の争いか。日本選手権2連勝中の石塚英樹(三洋信販)は、出遅れている。静岡では松田が藤本に0.05秒先着した。
 ただし、世界選手権代表ということになると、どうなるかはレースが終わってもわからない。短距離はリレー優先の選考(カーブの適性など)をするからだ。だったら、(特に予選などでは)前半を思いっきり飛ばすという手もある。しかし、負けてしまったら印象は悪くなる…。
 200 mの選手にとっては難しいところだが、答えは単純だ。選考基準が明示されていないということは、選考基準がはっきりしていないわけで、走る前に「ああなんだろうか、こうなんだろうか」と選考する側の考えを推し量っても意味がない。100 mの結果との兼ね合いもある。事前に「ここだ」とラインは引けないだろう。何も考えない方が得策だ。
 もちろん、考える考えないは当人の自由であるし、考え込んだ方が好結果が出るタイプの選手もいるかもしれない。1つ言えることは、末續に勝てば代表入りは間違いないということだ……たぶん。
※エントリーリストのタイムは、5月9日までに出されたタイムなので、それ以降に行われた地区インカレ、地区実業団、東アジア大会等の記録は含まれていない。