淡路決戦間近!
実業団女子駅伝“関西4枠”をめぐる熾烈な争い
今年の関西勢は超ハイレベル 前編 後編
11月3日の淡路島女子駅伝の開催が迫っている。全日本実業団女子駅伝の中部・北陸・関西・中国の4地区合同で行う予選会でもあるのだが、今年の興味は関西の代表がどこになるのかという点である。昨年、ノーリツが出場を辞退したことで、枠が5から4に減ってしまったのだ。ところが、今季のトラックでは関西勢が好記録を連発。昨年の全日本に出場した・ノーリツ・ダイハツ・ワコール・日本生命・四国電力の5チームに、グローバリーと京セラが加わり、現場の指導スタッフも「今年は出られるかわからない」と、本音を漏らしている。
この状況を象徴していたのが、2組タイムレースで行われた全日本実業団女子1万m(9月29日)だった。強豪選手が集まった2組が先に行われ、福士加代子(ワコール)が7000mから抜け出してジュニア日本新で優勝。弘山晴美(資生堂)、鄭桂霞(スズキ)という実績のある選手が約14秒差で続き、4位の黒沢奈美(四国電力)までが31分台で、2組合わせた総合順位もこのままだろう、と思われた。
ところが、後から行われた1組で岩本靖代(日本生命)と原裕美子(京セラ)が31分台前半でフィニッシュし、総合順位では弘山の前に位置してしまったのだ。
この2人だけでなく、とにかく全体的に好タイムが続出。その中でも特に、四国電力、ワコール、日本生命、京セラの関西4チームの選手が目立った。4チームの上位3選手の成績と、3選手の平均タイムが下の表である。
全日本実業団女子1万mの関西4チーム上位3選手の成績&平均タイム
チーム |
選手 |
組&順位 |
総合順位 |
記録 |
平均 |
四国電力 |
黒沢奈美 |
2組4 |
6 |
31.56.78 |
|
四国電力 |
真鍋陽子 |
1組4 |
13 |
32.12.74 |
|
四国電力 |
真鍋裕子 |
2組11 |
15 |
32.15.42 |
32.08.15 |
ワコール |
福士加代子 |
2組1 |
1 |
31.42.05 |
|
ワコール |
片渕恭子 |
1組6 |
21 |
32.22.74 |
|
ワコール |
新田百恵 |
1組7 |
22 |
32.24.00 |
32.09.60 |
日本生命 |
岩本靖代 |
1組1 |
2 |
31.50.97 |
|
日本生命 |
橋本康子 |
2組10 |
14 |
32.14.39 |
|
日本生命 |
村田 史 |
2組16 |
23 |
32.26.91 |
32.10.76 |
京セラ |
原 裕美子 |
1組2 |
3 |
31.53.68 |
|
京セラ |
小川清美 |
2組6 |
8 |
32.01.43 |
|
京セラ |
高仲未来恵 |
1組13 |
30 |
32.49.14 |
32.14.75 |
最大の衝撃は日本生命・岩本靖代の1組トップだった。それまでのベストが5月の関西実業団で出した33分11秒12だったのである。このタイムでは優勝争いに絡めるはずもなく、優勝した岡本治子(ノーリツ)から41秒87離されて8位だった。しかし、長めの距離に適性があったのか、7月の札幌ハーフマラソンで5位に食い込み、全日本実業団1週間後の世界ハーフマラソン選手権では1時間10分06秒の自己新で9位と健闘した。オリンピック種目でないとはいえ、世界で9番なのである。
日本生命は橋本康子が今季の日本GP5000mで年間1位。これまで他チームのエースと互角に戦える選手がいなかったところに、橋本が日本のトップクラスに成長。さらに岩本の急成長と、チームの回転がいい方向に転がり始めた。
チームの2本柱となった感じだが、1万mでチーム3番手の村田、5000m15分40秒台の安田しのぶと、続く層も充実している。
もう1つの衝撃は京セラだった。今季は6月以降、ほとんどレースに出場しなかったが、全日本実業団でいきなりドカーンと花火を打ち上げた。入社2年目の原と小川が、一気に記録を伸ばしてきた。原は10月14日の神戸女子選抜長距離1万mで31分48秒50(早生まれでジュニア歴代4位)まで記録を伸ばしてきた。高仲も32分23秒00と記録を伸ばしたため、神戸を含めると3人の平均タイムは32分04秒31となる。大森国男監督恐るべし、と他チームに再認識させる結果だった。
四国電力の躍進もすごい。昨年末時点では、黒沢は32分57秒20がベストだったし、真鍋陽子は5000mまでは走れても、1万mでこれといった記録がなかった。全体的にかなりの底上げができているのではないだろうか。
しかし、関西の強豪はこの4チームだけではない。むしろ、この4チーム以上ともいえるチームもある。それら、全日本実業団に出場しなかった強豪チームを、淡路島の特徴とともに後編で紹介する予定。
後編
全日本実業団女子1万m成績
■1組
1) 31.50.97 岩本靖代(日本生命)
2) 31.53.68 原 裕美子(京セラ)
3) 32.06.02 王 艶栄(デンソー)
4) 32.12.74 真鍋陽子(四国電力)
5) 32.17.64 田辺かおり(デンソー)
6) 32.22.74 片渕恭子(ワコール)
7) 32.24.00 新田百恵(ワコール)
8) 32.29.79 北島良子(富士銀行)
9) 32.32.03 小塚文乃(あさひ銀行)
10) 32.32.83 前田明香(ラララ)
11) 32.45.84 萩原梨咲(第一生命)
12) 32.46.23 木内美緒(関西電力)
13) 32.49.14 高仲未来恵(京セラ)
14) 33.07.86 佐々木律子(松下通信)
15) 33.31.75 大石友恵(スズキ)
16) 33.56.58 根来亜紀(北国銀行)
17) 34.06.25 西山貴美(東海銀行)
18) 34.20.91 八木里子(十八銀行)
19) 34.45.87 松尾里美(十八銀行)
20) 34.53.51 麓 みどり(デオデオ)
21) 35.18.96 渡辺ひろみ(あさひ銀行)
■2組
1) 31.42.05 福士加代子(ワコール)※ジュニア日本新
2) 31.56.01 弘山晴美(資生堂)
3) 31.56.47 鄭 桂霞(スズキ)
4) 31.56.78 黒沢奈美(四国電力)
5) 32.01.23 吉田香織(積水化学)
6) 32.01.43 小川清美(京セラ)
7) 32.02.16 川島真喜子(東海銀行)
8) 32.03.26 後藤由華子(TOTO)
9) 32.12.01 田鍋久美(ダイハツ)
10) 32.14.39 橋本康子(日本生命)
11) 32.15.42 真鍋裕子(四国電力)
12) 32.15.59 永山育美(デンソー)
13) 32.15.94 藤川亜希(ラララ)
14) 32.18.27 大南博美(東海銀行)
15) 32.18.36 松岡理恵(天満屋)
16) 32.26.91 村田 史(日本生命)
17) 32.36.00 羽鳥智子(第一生命)
18) 32.54.98 高橋千恵美(日本ケミコン)
19) 33.35.36 加納由理(資生堂)
20) 34.16.72 本川理恵(北国銀行)