2002/1/26 千葉国際クロスカントリー
福士・山中・藤永・渋井の奇妙な“四角関係”
その1 山中&渋井 編
タイトルを見れば察しのいい方は(もしかしたら察しの悪い方でも)、記事の内容はおわかりなのではないかと思う。
昨年3000m、5000m、1万mのジュニア日本記録を更新した福士加代子(ワコール)と、99年のセビリア世界選手権に高校生ながら出場した藤永佳子(筑波大)。この2人は同じ学年(高卒2年目)なのである。ご存じのように、山中美和子(ダイハツ)と渋井陽子(三井住友海上)の2人も同学年(高卒5年目)。そして、山中と藤永が筑波大の先輩後輩ということで、この2組を結びつけている。
千葉国際クロスカントリーでは絶好調同士、山中と福士がシニア女子8000mでぶつかった。昨年6月の日本選手権を最後に日本選手間で無敗の福士の勢いが上回って、終盤で山中に11秒差をつけた。
しかし、レース後の会見で今後の目標を聞かれた山中の口から発せられた名前は、福士ではなく渋井だった。「5000mと1万mで今、渋井さんが日本記録を破るのではと名前が挙げられていますが、彼女の名前が出なくなるくらいの走りをしたいと思います」と、強烈なライバル意識を見せた。普段の山中はすごくおっとりしたキャラだけに、なおさら印象的だった。
「高校時代から一緒に走っていて、大学で後れをとってしまいましたが、今でも渋井さんに負けたくないと思っています。先日、昆明合宿に行く渋井さんの記事が新聞に載っていて、『45kgまで絞る』という彼女のコメントが載っていました。だったら自分も45kg以下に絞ってやろうと思いました。(体重にだけこだわるのでなく)私も負けない努力をします」
山中は3000mで9分10秒18の中学記録を持つ。中学歴代2位を14秒34も差を付ける圧倒的な記録である。高校に入ると圧倒的というほどの差はなくなり、山中と渋井は“上位入賞レベルの2人”という関係に。それでも、高3(96年)時の各大会では、山中がリードしていた。インターハイ3000mは3位と5位、国体3000mでは優勝と3位、全国高校駅伝1区(6km)は2位と3位(1位はアン・ワムチ=仙台育英、4位は秦由華=市船橋)。
先のコメントで山中は「大学で後れをとった」と話しているが、渋井も入社3年目の全国都道府県対抗女子駅伝までは低迷していた。「大学最後の1年間で後れをとった」というのが正確なところだ。
だが、山中はダイハツ入社後に上昇カーブに転じた。11月3日の淡路島女子駅伝こそ福士に敗れたが、その後は連戦連勝。全日本実業団対抗女子駅伝はチームが予選で敗退したが、12月の山陽女子ロード10km、神戸女子ハーフと制し、1月13日の全国都道府県対抗女子駅伝は1区で渋井と直接対決。19分03秒と19分12秒で区間1位と2位。
すでにマラソンで実績(初マラソン世界最高と世界選手権4位)を残している渋井と、駅伝・ロードレースでの活躍にとどまっている山中(昨年のトラック・シーズンはまだ、それほどでもなかった)では、比較するのが難しいが、5000mから20kmでの“現時点の走力”は、拮抗している。渋井も今季、シーズン前半はトラックで日本記録更新を狙うという。楽しみな対決の1つとなろう。
その2(福士&藤永編)に続く