2002/1/26
千葉国際クロスカントリー◆特別企画◆
ジュニア選手に浸透しつつある“海外志向”
その2 ジュニア男子編・上 その1 その3
“2大会連続1区トップ”の加藤を抑えた2年生・今井と
個性的な考え方の日本人トップ空山

 ジュニア女子に続いて行われたジュニア男子8000mでは、空山隆児(早大)に7秒差をつけられたが、今井正人(原町高)が日本選手2番目の4位に入った。前週の全国都道府県対抗男子駅伝5区で区間賞を取ったばかりで、調子に乗っている2年生。とはいえ、12月の全国高校駅伝、そして1週前の全国都道府県対抗男子駅伝と1区連続(日本人)1位の加藤直人(土岐商高)を10秒引き離したのだから、評価は高い。

「ラストでやられましたが、最後まであきらめない走りはできました。できれば世界クロカンに出たいという意識はありましたが、走っているときは、特に4人になってからは高校生でトップになりたいという意識で走っていました。外国選手でも、高校生には負けたくありませんでした」

 この今井も、昨年の世界ユースの経験者。3000mで予選は通過したが、決勝は15人中最下位と「ボロボロだった」(今井)と言う。
「離され方が半端じゃなくて、勉強になりました。海外は福島県の強化合宿ニュージーランドに行ったこともありましたが、試合は初めてでした。まだ慣れたとは言えませんが、海外に出られるのは嬉しいことですから、機会があれば行ってみたいです」

 日本人トップの空山は、箱根駅伝7区で区間賞を取った際、そのレースぶり(並走する2選手の少ない間隙をついて前に出たこと)が話題となった選手。考え方もまた、個性的である。
「(最後のスパートは)切れなくなっていました。去年からずっと20km対応でやっていたので、最後は出し切っていなかった。8000mで力を使い切るというのを(体が)忘れていました。(今年の課題は)、3、4年になったときにいかに走れるかを考えたい。とりあえず5000mは13分台、1万mは28分台で走りたい。今年は低迷すると思うけど、表舞台に出なくても経験と実力をつければいい。『箱根だけだった』と言われてもいいので、実力をつけたい」
「今年は低迷すると思う」と言い切るあたり、単に「いけいけ」的な情熱の持ち主というわけではなく、冷静な分析能力も持ち合わせているように感じられた。だが、普通に考えれば大学2年生で13分台と28分台が出せれば“低迷”ではない。それだけ意識の高いことの裏返しでもある。

「国内で走っていても世界はわからない。最終的に世界でと思うなら、国際舞台を経験しておきたい」
 当然、空山の意識は“世界”に向けられている。

 これは私見であるが、箱根駅伝だけを目指す強化の流れよりも、もっと上のレベルを目指す練習の中で、「まあ、箱根でも頑張ってみようか」、くらいの気持ち(=練習への取り組み)で箱根に出た方が、好結果が出やすいように感じられる。かつての瀬古利彦や渡辺康幸(ともに早大→エスビー食品)、藤田敦史(駒大→富士通)がそうだったように。
 特に、今年のように各校のエース級が軒並み故障や不調に見舞われると、なおさらそう感じられるのである。前述の3選手には箱根駅伝のレベルをはるかに超越する力量があった、と言ってしまえばそれまでだが…。

その3に続く