重川材木店 密着ルポ 2012-13
第2回
“戦う”ニューイヤー駅伝に


ペース走を行うカギアと河野
                                   @力を出し切れなかった北陸予選から
A練習も気持ちも“攻め”の姿勢に

●「30位の選手に抜かれたら着いていく」
 重川材木店のニューイヤー駅伝の目標は20位台。重川社長は次のように抱負を語った。
「創部10年が経ちましたし、出場を目指す段階は終わりました。今回で4回目の出場です。ずっと30位以内を目標にやってきましたが、今回はそれを実現して、20位以内を目指すためのきっかけにしたい」
 そのためにも、北陸予選と同じ轍を踏むわけにはいかない。重川社長から厳しい指摘を受けた村井と河野も、そこは十分に理解している。
 村井は、目標である30位以内を何が何でも成し遂げる気概を見せた。
「これまで30位を目標にしてきましたが、どこかで“出られたから良かった”という甘えがありました。今度は“これが最後”というくらいに集中します。北陸予選は守りの走りになってしまいましたが、ニューイヤーでは30位の選手に抜かれたら絶対に着いていきます。2区のジョンで20番台には上がりますが、その後30番以下に落ちたら終わりです。どんなペースでも対応します」
練習でも積極的な姿勢を見せる村井(右)と前田
 河野も同じ気持ちでいる。
「今季は社長が監督になって1年目。1試合1試合目標が明確に設定されて、毎回、それをクリアしてきました。ニューイヤーの区間はまだわかりませんが、どの区間でも社長が設定したタイム通りに走って見せます。それがチームの目標を達成する一番の方法なんです。ヒザの痛みもなくなってきましたし、ちょっとの痛みならなんとかします」
 重川社長が厳しく言うのも、2人への期待の裏返しだろう。ニューイヤー駅伝では主要区間に起用されると思われる。
●ニューイヤーまでの練習
 北陸予選の反省をもとに、どんな練習を行っているのだろうか。「持っている力を100%発揮するレースにしたい。そのために実戦的な練習に取り組んでいます」と重川社長。
 第1回で紹介したように、今季はピークを11月の北陸予選と1月のニューイヤー駅伝に合わせ、トラックのタイムを追ってこなかった。その流れでも自己新や入社後最高記録が続出していたが、肝心の北陸予選では力を出し切れなかった。
「練習と試合の間にもう1つ歯車を入れ、レースにつなげる必要があると感じました。その歯車を見つけられるかどうか」
 歯車は練習の追い込み方かもしれないし、調整の仕方かもしれない。メンタル的な部分ということもあるだろう。

●熱い思いで元旦決戦に
 20位台という目標でまとまっている重川材木店の選手たちだが、個々の“思い”は、立場も違いそれぞれである。
 今季加入した河村拓朗は、北陸予選に出場できなかった。最終刺激の1000mの日は風も強く、自分が引っ張ると申し出たが、重川社長からタイム取りを命じられた。
「“次こそ走ってやるぞ”という思いをそのとき強く持ちましたね」
 これもおそらく、第1回で紹介した重川社長流の人心掌握術だろう。

先頭を代わる代わる引っ張る重川材木店の選手たち。先頭を引っ張るのは写真上から河村、高橋、三浦
 河村は大学を1年留年し、東邦リファインで1年の実業団選手生活を送ったが、その後2年間は市民ランナーだった。学生時代は箱根駅伝に出られれず、東邦リファインでは1分差で東日本予選を突破できなかった。
「東邦リファインでは、前と力の差があるなかで“やってやろう”と精一杯頑張りました。今回は夢であるニューイヤー駅伝が手が届く範囲にあります。“今度こそ”という気持ちがより大きくなっています」
 樋口幸平も北陸予選のメンバーに入れなかった。取材に行った日の2000m×4本のインターバルも3本目から後れ始めた。だが、ニューイヤー駅伝出場へは強い意欲を持っていることが、取材中に何度も感じられた。
「出されたメニューを1回1回、クリアできるように頑張っていくしかありません。今回よりも次、次よりもその次と、ちょっとでもつける本数を多くしていきたい」
 そして重川材木店らしいプライドを見せるのが、4区候補の高橋である。
「37チーム出場する中で、普通の企業は重川材木店だけだと思うんです。あとは規模の大きい大企業ばかり。普通企業の選手が大企業の選手と競り合うレースを見せたいですね」
 こうした選手たちの思いを真正面から受け止め、ニューイヤー駅伝に向かってエネルギーを集中させるのが重川社長の役目である。今季から監督となり、文字通りの陣頭指揮を執る。
 社長が先頭を走ってくれるチームは37チーム中、重川材木店だけである。選手の思いを社長が受け止め、社長の思いを選手が受け止める。新春の上州路を、重川材木店の選手が思い切って走る姿が目に浮かぶ。

◆ニューイヤー駅伝への意気込み
前田信哉
「(故障していた期間もあり)練習をつなげることが第一ですが、残り期間も僅かなので練習の質も上げて、叩いて調子を上げていきます。1000mのインターバルなら、1000mを3分00秒から2分55秒に上げます。ニューイヤー駅伝はマイペースではなく、食らいつく走りをしないといけないでしょう」
ジョン・カギア
「ニューイヤー駅伝(2区)のターゲットタイムは23分10秒を切ること。区間順位は10位くらい。今年は去年よりも良いポジションでもらえると思うので、20番まで上がれると思う。23分10秒はローターゲットで、脚の状態が良くトレーニングを積めているので22分台を目標にします」
三浦拓也
「前回は初めてのニューイヤー駅伝出場で、6区で区間36位でした。38分台を目標にしていましたが、39分45秒もかかってしまったんです。あまりにも力の差があったし、緊張もあって力が出せませんでした。そこから1年間で自分も力がついたので、今回はもう少し戦えると思います。怖さよりも、楽しみの方が大きいですね。区間29位以内で走らないと、チームの目標の29位以内に入れないと思っています」



◆選手募集◆
重川材木店では日本代表を目指す志の高い選手を募集します。
高校生・・・14分50秒以内
大學・一般・14分30秒以内


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