2002/3/10 全日本実業団ハーフマラソン
好調、中国電力カルテット、団体5度目の優勝
梅木がマラソン直後の快走
尾方はロンドン1カ月前の好走


 見出しに“快走”と“好走”という表現を使ったが、通常、“快走”の方が“好走”よりもいい走りに対して使うことが多い。だったら、15秒も先着した尾方剛の方が快走なのではないかと思われるだろうが、長らく目立たなかった梅木蔵雄がここにきていい走りができるようになった点に着目して、梅木の方を快走とした。でも、それほど大きな意味を持たせて使い分けているのではないので、念のため。
 ちなみに、 ニューイヤー駅伝ではコニカの快走の前に2位と屈した中国電力だったが、中国電力も好走だった。この場合、コニカが激走、中国電力が快走という表現もできる。

 今回の走りを個々に見ても、それぞれが評価できるものだった。佐藤敦之永田宏一郎(旭化成)との記事でも紹介したように、福岡国際マラソンでの失敗はあったものの、安定した走りを見せ続けている。
 油谷繁は昨年の快走続き(3月のびわ湖で2時間7分台、8月の世界選手権で5位入賞)で、今年の位置づけが難しいとも思われるが、モチベーションをうまく維持しているのが感じられる。
 尾方剛は4月14日のロンドン・マラソンの1カ月前。走り込みの疲れがあるなかで、どのくらい走れるのかを試すレースで、あの※高岡寿成(カネボウ)と最後まで競り合った。
 そして梅木蔵雄である。2月24日に香港で行われたアジア選手権マラソンで2位(2時間18分03秒)となった直後のハーフで、これだけの走りができれば御の字だろう。坂口泰監督も、梅木の走りを喜んでいたという。
 早大4年時に箱根駅伝2区で区間賞を獲得した梅木。それから4年間、世間の記憶に残る走りはできていない。中国電力チーム内では、早大出身選手のことを“早稲田ブランド”と呼んでいるとのことだが、3学年後輩の佐藤敦之、今春入社の新井広憲、そして坂口監督も含めて、学生選手の憧れである“箱根最強選手の称号”である2区区間賞は取っていない。
 こちらの記事で佐藤の復活を話題にしたが、苦しんだ年月では先輩・梅木の方がはるかに長居のである。今後の動向に注目したい選手だ。

※それにしても、このように文中で比較対照として引き合いに出す場合、高岡ほど困る選手はない。その選手を代表する肩書きとして、「シドニー五輪1万m7位」にするか、「5000m&1万m日本記録保持者」にするか、初マラソンに挑戦した直後なので「30歳過ぎの初マラソンで2時間9分台」とするか、アジア大会イヤーなので「アジア大会2冠」とするか、1つに決められないのである。同様の選手に伊東浩司(甲南大教)や弘山晴美(資生堂)、高野進(東海大教)を挙げることができる。室伏広治(ミズノ)は種目が1つだけだが、世界選手権銀メダル、アジア記録、グランプリ年間2位、ゴールデンリーグ優勝など、どれもすごくて迷う選手。その点、高橋尚子(積水化学)は1つで言うなら五輪金メダリストだろう。その形容詞として、“陸上戦後初の”とつけるか“陸上女子初の”とつけるかは迷うところだが。

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