2013/6/16 近畿インターハイ
「洛南は桐生だけじゃない!」
三段跳の犬井、走幅跳の山川も好記録で優勝
インターハイ総合Vに向けて相乗効果も

 大会初日の走幅跳で山川夏輝が7m58(+1.5)を跳び(優勝記録は7m73=+2.4)、3日目の200mで桐生祥秀(3年)が20秒41(+0.5)の高校新、最終日の三段跳で犬井亮介が15m74(+1.7)の高校歴代5位と、今大会は洛南3年生3選手が“京都府高校記録”(走幅跳はタイ記録)を出した大会だった。

 三段跳は近畿大会で過去に優勝者6人(調べて掲載します)を輩出している洛南のお家芸種目。洛南高記録&京都府高校記録は15m58(2009年)で、今年の関東インカレを制した米澤宏明(筑波大)が持っていた。
 京都府大会で15m40(−0.7)を跳んでいた犬井は、米澤から「鴻池は記録が出やすいから、オレの記録を抜いてくれ」と、ツイッター上で激励された。「尊敬する先輩から言われて、やってやろうと思いました」
 自身の特徴を「助走スピードを最後までしっかりと持って行けるところ」と話す。15m84の高校記録にも10cmと迫ったが、こちらの記事で紹介したように、犬井は今大会の跳躍に納得していない。
「昨シーズンから、(高校記録は)出すつもりでやってきました。今日くらいの記録をコンスタントに跳ばないと、高校記録も16mも出せません」

 走幅跳の洛南高記録&京都府高校記録の7m58は、32年前の1981年に出されたもの。その後、何人もの選手がそれに挑戦し、前述の米澤が追い風参考で上回ったこともあったし、山川も昨年7m55(−0.3)を出した。だが、破れそうで破れなかった。「僕らの間では“伝説の記録”でした」と笑うが、全国大会の話題になると表情が引き締まった。
「7m70を一度跳んだからといって、波があったら全国では勝てません。もう1回7m70〜80を跳んで自信をつけたいですね。全国で勝つには大会記録が必要だと思います。簡単ではありませんが、1本目で決めたい」
 山川は三段跳でも15m24(+1.3)で3位に。ホップとステップを利き脚の右で跳び、ジャンプを逆脚の左で跳ぶタイプだが、「左脚のケガが治りきらず、ジャンプで崩れてしまった。15m50を跳びたかったのですが」と、明るい口調ながらも悔しそうな表情を見せた。

 2人とも桐生のことは当然、意識にある。
「桐生1人が注目されがちですが、洛南は跳躍も強いんだ、ということを示したい。自分も山川もその気持ちが、結果にも現れていると思います」と犬井。
 4×100 mRでは京都、近畿と3走を走ったが、4走の桐生とのバトンパスは、桐生のスピードを生かせるものではなかったという。
「1走から3走までが力不足で桐生に負担をかけているし、僕自身も最後まで走りきれる練習をして、(スピードを出した)桐生に届くバトンパスをしたい。その走りができれば三段跳の助走にも生きてくる」
 山川も「洛南は桐生だけじゃないことを見せたい」と言う。インターハイ総合優勝に向けて、自分たちが頑張ることで桐生の負担が少しでも減らせれば、という気持ちもあるのだろう。

 洛南は昨年のインターハイで苦戦した。
 シーズン序盤に10秒27と20秒88をマークした桐生が本来の力を出せば大量得点が可能だったが、腰を痛めた影響で個人2種目では7点にとどまった(100m4位、200m7位)。八種競技優勝の城野有希らの活躍で総合優勝(24点)はできたが、2位の滝川二とは2.5点という僅差。最終日に桐生を2走に投入した4×400 mRの6点(3位)が大きかったが、同じ最終日の三段跳での3点(山川7位、犬井8位)も総合優勝に不可欠だった。
 山川は「今年のインターハイでは犬井と自分でワンツーが目標。(3位で)笑っていられるのはこの試合だけ」と、言葉に力を込めた。
 最終日のお家芸種目で大量得点が見込めれば、桐生はプレッシャーを感じずに走ることができる。最終日前に3種目に登場する桐生が大量得点を獲得すれば、三段跳の2人も思い切った跳躍ができる。
 全国での相乗効果が期待できそうな、近畿大会の洛南勢の活躍だった。

写真は三段跳優勝の犬井(右)と3位の山川(走幅跳優勝)。洛南高は400 mHの高野健(3年)も52秒41で優勝した。桐生の100mと200m、4×100 mRと6種目を制し、総合(72点)、トラック(50点)の2部門で対校戦優勝。5000m、110 mH、3000mSC、4×400 mRでも全国大会に選手が出場する。大分では初日に100m、3日目に400 mHと4×100 mRと走幅跳、最終5日目に三段跳というスケジュール。3日目で20点を超える可能性も十二分にある。


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