2012/8/7 ロンドン五輪展望
5日目(8月7日)午前の部
女子5000mは1万mに続き“3人娘”が登場
吉川は、前回の小林に続けるか
大会5日目午前の部に出場する日本選手は以下の7人。
女子5000m予選1組(18:55):福士加代子(ワコール)
〃 予選2組(19:19):新谷仁美(ユニバーサルエンターテインメント)
〃 予選2組(19:19):吉川美香(パナソニック)
女子やり投予選B組(19:25):海老原有希(スズキ浜松AC)
男子200m予選3組(20:06):飯塚翔太(中大3年)
〃 予選6組(20:30):高平慎士(富士通)
〃 予選7組(20:38):高瀬 慧(富士通)
女子5000mの3人は、全員が1万mに続く出場。1万mの成績は新谷仁美が9位で30分59秒19(日本歴代3位&五輪日本人最高記録)、福士加代子が10位で31分10秒35、吉川美香が16位で31分47秒67。
しっかりと自分の力を出し切ったのが新谷で、大幅な自己記録更新だった。その調子で5000mも突っ走りたい。ペース展開に恵まれれば日本人2人目の14分台も期待できそう。新谷自身は「私なんかが(14分台を)出せるわけがありません」と兵庫リレーカーニバル優勝後に話していたが…。
福士は3回目のオリンピックで自身最高順位だったが、一番調子の良いときの状態と比べると少し落ちる。1本走ることで動きが良くなることはある。それを期待したい。
吉川美香は1万mで優勝した日本選手権のときのような状態に持ってこられなかった。福士と同じように1万mを走ったことで、動きが良くなるかどうか。元々、5000mの方を本命種目と位置づけている。日本選手権は初日の1万mで優勝したが、3日目の5000mは5位と良くなかった。今回は、それが逆になることを期待したい。
女子5000mは2組行われて各組5着+5が決勝進出条件。シーズンベストを見ると14分台の選手は1組で3人、2組も3人。自己ベストとなるともう少し増えるのだが、予選突破は十分に狙える。特に吉川はラストにも強く、前回の北京五輪は1500m時代のライバルだった小林祐梨子(豊田自動織機)が決勝に進んでいるだけに、自身でも期するところは大きいはず。
1万mレース後のインタビューを見ていると、乗っている感じがする3人。ここまで来ると気持ちの面も大きい。その勢いで予選突破を期待したい。
女子やり投予選に海老原登場
安定した強さで予選突破が期待
女子やり投は62m00が予選通過標準記録だが、この記録はあまり関係ない。12人が超えることはまずあり得ないので、12番目に入るかどうかが勝負となる。
昨年のテグ世界陸上は61m00が標準記録で、12番目の記録は59m65。ベルリン世界陸上は62m00が標準記録で12番目は59m46。北京五輪は61m50が標準記録で12番目は60m13だった。
こう見るとオリンピックはレベルが上がるのかと思われるが、実際は風の影響だと思われる。普通の風であれば59m後半が通過記録となるのではないか。
海老原はテグ世界陸上の予選で59m88を投げて通過(五輪&世界陸上の日本人最高記録)。決勝は59m08で惜しくも8位入賞を逃したが、59m台を予選、決勝と揃えた安定性は評価できた。
シーズンを通じて59m以上は4試合。ただ、60m以上は、5月の富山の試合だけだった(60m32)。それが今季は静岡国際61m14、62m36(日本新)とさらに高いレベルで安定している。
シーズンベストでは海老原の62m36は参加選手中17番目。12位以内に入るのは簡単なことではない。しかし、やり投はオリンピック選手でも、安定してシーズンベスト・レベルを投げられる選手は多くないのである。その点、海老原は安定して投げられる選手に成長した。
男子200m予選に“ジュニア世界一”だった飯塚、
五輪3回目の高平、“遅咲き”の高瀬が出場
男子200mはテグ世界陸上から2次予選がなくなり、準決勝が2組から3組に。準決勝には進出しやすくなったが、“最初のラウンド”を楽に通過できなくなった
今回の予選は7組あって準決勝進出条件は各組3着+3で、これは昨年のテグ世界陸上とまったく同じ。テグでは+3の3番目は20秒70(−0.3)だった。+が出た組は1組目と2組目で、ホームストレートの向かい風が強くなった3組目以降からは出なかった。
そもそも+の選手数が3人と少ない。そこを当てにしてはダメで、必ず3着に入るレースをするはずだ。
日本からは世代の異なる3選手が出場する。
21歳の飯塚の3組にはシーズンベスト&自己ベストが20秒13のミッチェル(アメリカ)、20秒16のマシュー(バハマ)がいる。その2人以外では20秒4〜5台のシーズンベストの選手が、飯塚も含めて4人。そのなかでトップをとる必要がある。簡単なことではないが、自己記録の20秒45に近い走りができれば可能だろう。
2年前の世界ジュニア優勝者。その世代で“世界一”となった勝負強さを見せてもらいたい。
28歳、五輪3回目の高平の出場する6組では、19秒65の自己記録&19秒95のシーズンベストを持つスピアモン(アメリカ)は別格の存在。高平のシーズンベスト20秒56は5番目だが、自己ベストの20秒22は3番目。シーズンベストが劣るのは、日本選手権にピークを持ってこなかったから。ベテランの域に入ってきて、国際大会本番に合わせている。
3回目のオリンピックの目標はあくまでも決勝進出。そのためには準決勝でシードレーンを走る。そのためには予選を1〜2位で通過するのが高平のプランだ。
23歳の高瀬の7組では今季19秒94の自己新と好調のマルティナ(オランダ)がトップ通過候補。今季20秒42の自己新を出している高瀬はシーズンベストでは3番目、自己ベストでは4番目。国際大会デビューは大学卒業後と“遅咲き”で、世界大会の個人種目での経験がない高瀬だが、記録的に見ても臆する必要はまったくない。
順大、富士通と先輩の高平の初五輪は、20歳のアテネ五輪で21秒05の予選落ち。自身が同じ結果では「高平さんの側で育った意味がない」と言い、目標は「準決勝で戦うこと」。“遅咲き”の強さを見せてほしい。
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