2011/11/6 全日本大学駅伝
有力選手たちの伊勢路
その2 8区編 柏原が平地では3年ぶり区間賞
村澤は不調で痙攣も
区間上位成績
1位・57分48秒 柏原竜二(東洋大4年)
2位・58分34秒 G・ベンジャミン(日大3年)
3位・58分55秒 窪田 忍(駒大2年)
4位・59分10秒 村澤明伸(東海大3年)
5位・59分52秒 平賀翔太(早大3年)
6位・1時間00分24秒 棟方雄己(中大4年)
アンカーの8区は駒大の窪田が逃げ切って優勝テープを切った。アンカーの役割は果たしたが、駒大の大八木弘明監督は「暑さもあったが、もう少し走ってよかった。プレッシャーがあったのかな」という評価。
昨季の箱根駅伝7区、10月の出雲6区で連続区間賞を獲得していたことに加え、練習内容も良い選手だけに期待が大きかったのだろう。
区間賞は柏原だった。5kmを14分26秒(テレビからの情報。以下同)と速い入りで追い上げ、中継時の駒大との1分40秒差を11km過ぎの度会橋では1分01秒差に、15kmでは32秒差に縮めた。しかし、そこから差を詰めることはできず、優勝した駒大から33秒差でフィニッシュした。
「行くしかないと思ってスタートしました。タイマー車が見えてきたので駒大に近づいているのはわかりましたが、ラスト3kmくらいから詰まらなくなりました。(区間賞は)嬉しくないですね、チームが負けていますから」
柏原の口から自身の走りを評価する言葉は、最後まで出てこなかった。
だが、箱根駅伝5区以外の学生駅伝区間賞は、1年時の本大会2区以来3年ぶり。57分48秒はこの区間の歴代では10位(日本人では5位)だが、暑さなどの悪コンディションを考えると評価は高い。ベンジャミン、村澤、平賀ら2年連続8区を走っている選手は、昨年よりも1分ほどタイムを落としているのだ。
東洋大の酒井俊幸監督も積極的に評価した。
「タイムは設定していませんでしたが、差を考えたらよく走ったと思います。山だけじゃないことを見せることができましたし、力はついています」
来年のトラックでは1万mの27分台とオリンピック代表も目指すプランで、そのためにフォーム改善にも取り組んでいる(全日本大学駅伝の前日記事参照)。
「この冬の駅伝が、オリンピックを目指すための走り込みになってくれると思います」という酒井監督の期待を大きくした走りだった。
同様に来年のオリンピックを目指しているのが村澤明伸だ。記録では27分44秒30(A標準突破)の鎧坂哲哉(明大4年)に先行されているが、日本選手権の成績は2位の村澤が、学生選手の中ではリードしている。
しかし今大会は59分10秒で区間4位。中継所でシード権を争うチームが1分54秒先にいた。明大を抜き7位に上がり、中大と上武大との差も詰めることはできたが、6位の上武大に32秒届かなかった。最後は全身に痙攣を起こしてしまったという。
両角速監督は次のように振り返った。
「調子もずっと上がっていなかったし、追うのをやめようと言おうと思ったのですが…。追いつけないの追ってしまって、それがダメージになりました。いつもは楽に走れる2分55秒のペースが、今日はきつかったと言っていました」
12月の日体大長距離競技会でA標準を狙う予定だったが、それもどうなるかわからない。
「この流れを引きずっても成果は得られないでしょう。どこかで修正してやらないと。判断も早めにしてあげないといけないと思っています」
早大の平賀翔太は59分52秒で区間5位。2位・東洋大との差は開くばかりだった。タイムが昨年より1分28秒落ちたのは気象条件の影響もあったと思われるが、区間順位も昨年より2つ落とした。
「出雲はピークを合わせるのに失敗しましたが、今回の原因はまだわかりません」
長い目で見ると、前回の箱根駅伝後に左ヒザを故障をしたことが原因だと渡辺康幸監督は見ている。1カ月ほど練習を中断し、平賀本人も「そこからしっくりこない」という。自己記録も今季は1つも更新していない。
理工学部で実験などの授業が多く、ポイント練習をチームと一緒にできるのは週末だけだ。深夜まで勉強をして早朝練習を行う生活パターンは、負担も大きいと思われる。本人はその影響はないと言うが、駅伝主将の三田裕介は「平賀は合宿のときの方が元気がある」と話している。
そういう事情もあって平賀は、「自分はエースではない」と言い続けてきた。だが、この1年間で、卒業後も競技を続ける決断をした。「将来はオリンピックに出たいと思ったので」。その気持ちが復調につながるはずだ。
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