2011/11/5 全日本大学駅伝前日
日本代表候補の伊勢路は?
2区で鎧坂と大迫が激突
8区に柏原と村澤
A/B |
選手 |
所属 |
記録 |
大会 |
種目 |
場所 |
年月日 |
B |
撹上宏光 |
駒大 |
28.03.27 |
ホクレンDC深川 |
1万m |
深川 |
2011/6/25 |
B |
村澤明伸 |
東海大 |
28.00.78 |
兵庫リレーカーニバル |
1万m |
神戸 |
2011/4/24 |
B |
油布郁人 |
駒大 |
28.02.46 |
ホクレンDC深川 |
1万m |
深川 |
2011/6/25 |
A |
鎧坂哲哉 |
明大 |
27.44.30 |
UKトライアルズ |
1万m |
バーミンガム
(イギリス) |
2011/7/29 |
世界で戦う人材を育成することも学生駅伝の重要な役割だが、今大会に出場する選手で来年のロンドン五輪標準記録を突破しているのが上記の4選手。その他にもユニバーシアード1万m金メダルの大迫傑(早大2年)や柏原竜二(東洋大4年)も候補に挙げられる。
区間エントリー一覧
●鎧坂、A標準突破の力を駅伝で
一番の注目は唯一A標準を破っている鎧坂で、明日は2区(13.2km)にエントリーされた。10月10日の出雲全日本大学選抜駅伝でも2区(5.8km)で15分56秒の区間新と好調。ただ、「鎧坂は試合で出し切るタイプ。出雲の疲れは多少あるが、そのなかでどんな走りをするか」と明大・西弘美駅伝監督は言う。
同じ2区には大迫や日本インカレ5000m優勝の村山謙太(駒大1年)、設楽悠太(東洋大2年)らがいるが、西監督は「1区で20秒差なら負担にならない」と言う。昨年の今大会は同じ2区で37分36秒の区間新。区間3位の大迫を17秒引き離した。
駅伝くらいで負けていられない意識があるか? という問いに西監督は「あるでしょうね。1万mの走力を駅伝でも発揮してほしい」と答えた。
●大迫、ロードで鎧坂に勝てるくらいに
早大・渡辺康幸駅伝監督も大迫にロンドン五輪を狙わせたい意向だ。「そのレベルには来ていますが、五輪代表は(トラックの長距離で)1枠だと思う。鎧坂や村澤にロードで勝てるくらいにならないと話にならない。明日はガンガン行かせる」と言う。
トラックで標準記録を狙うのは来春になる。「秋や冬には記録は出せますが、春先の流れの中で出す記録は違うと思います。チャンスは一発だけ。そこで破れなかったらあきらめます」(渡辺監督)
●A標準を狙う村澤は、距離で仕上げる
村澤は、出雲では6区(10.2km)で区間2位。10月15日の静岡県長距離強化記録会1万mでA標準を狙ったが28分19秒65に終わった。出雲の前にヒザを痛めた影響が出た2レースだった。現在は「故障の影響はないが、去年よりも調子は良くありません」と両角速監督。「高温多湿だった静岡のダメージも、結果が出なかったこともあって少し出ています」
明日は8区(19.7km)に起用される。両角監督は1区に関東インカレ1万m優勝の早川翼、2区に村澤と並べることも考えたというが、スピードの問われる2区よりも、距離の長い8区に起用した。
この冬は五輪出場を優先した流れにする。12月3日の日体大長距離競技会で再度A標準に挑むが、「スピードで仕上げるよりも、距離で仕上げる方が調子が良い。そこが高校(佐久長聖高)時代との違いですね」と、高校時代の恩師でもある両角監督は見ている。
「(周囲を驚かすような)ばかっ走りはない」(両角監督)というが、逆にいえば底力が問われるレースとなる。
●柏原も世界を視野に。フォーム改善も
柏原も8区の出場。過去の全日本大学駅伝は2区(区間賞)、1区(区間2位)、2区(区間4位)と、序盤の区間を走ってきた。10月の出雲も1区(区間6位)。8区起用の理由を問われた酒井俊幸監督は「出雲は序盤から流れをつくらないと勝てないと判断して、一番力のある柏原を1区に起用しました。全日本は区間数も増え、距離も長くなる。(1区の)設楽啓太が出雲よりも調子が上がっていて安心して序盤を任せられる。一番信頼できる柏原を最後に持ってきました」と説明した。
1年時には今大会の2区で竹澤健介(早大→エスビー食品)や宇賀地強(駒大→コニカミノルタ)に勝って区間賞を獲得した。2年時の1区は留学生選手にこそ敗れて区間2位だったが、区間3位の矢沢曜(早大)を47秒も引き離した。1万mのシーズンベストも2年時に28分20秒99まで上昇。
それを考えると3年時28分24秒92、今季28分25秒17は伸び悩みという印象だ。2年時にトラックでも競り合っていた宇賀地は、すでにA標準を突破している。
しかしこの夏は、昨年と違ってしっかりと練習を積むことができた。ヨーロッパに行く案もあったが、駅伝で結果を出すために夏は走り込んだ。1万mのA標準を狙うのは来春で、駅伝でレベルの高い走りをすることが、そこへのステップとなると位置づけている。
加えて「フォーム改善」(酒井監督)にも取り組んでいる。「柏原は上体がブレて、右側が落ちるフォーム。勢いだけで走れることもありますが、今はもう、勢いだけで走れるレベルではありません。体幹をより使えるようにすることで、推進力を得ようとしています。故障防止にもなる」。6月から外部のスタッフにも協力を依頼して、これまでにやっていないような動きづくりや補強を、シーズン中も行なってきたという。
「陸上を続けるからには世界に挑ませたい。今年の世界選手権も経験させたかったのですが、昨年の故障でタメがありませんでした。箱根までは主将としての役割をまっとうし、冬期を充実させて来春A標準を狙わせます」
柏原も世界を狙う態勢にすでに入っている。
●注目したい窪田、出岐
駒大勢は撹上が出雲の3区で区間6位、油布は同4区で区間4位と、五輪標準記録突破者らしからぬ走りだった。明日は撹上が1区、油布が3区。全日本大学駅伝をきっかけにしたいところだ。
駒大では8区にエントリーされた窪田忍の評価が関係者間で高い。出雲では6区で区間賞の走りを見せ、村澤を10秒上回った。「柏原とも遜色ない」と大八木弘明監督。
また、青学大2区の出岐雄大も要チェック選手。1月の箱根駅伝2区区間4位、4月のユニバーシアード・ハーフマラソン選考1万m優勝、7月のユニバーシアード・ハーフマラソン6位、10月の出雲1区区間4位と、安定した戦績を残してきた。
重心の近くで腕を振るフォームは、距離が長くなるほど威力を増す。チームでは一番のスピードランナーでもあるので2区となったが、他校のエースたちに混じってどんな走りを見せるか。この冬のマラソン五輪選考レース出場も考えて練習に取り組んでいるという。
ロンドン五輪に間に合うかどうかはわからないが、窪田と出岐には注目すべきだろう。
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