2011/3/6 びわ湖マラソン
今井、またも終盤で“失速”
「根本的な原因を見つけたい」
“失速”と言うのは酷かもしれない。30kmを1時間30分18秒のハイペースで通過し、その後ペースダウンしたものの、今井正人(トヨタ自動車九州)は2時間10分41秒でフィニッシュしているのだから。
しかし、今井本人は失速という言葉を使った。
「福岡(国際マラソン)でも最後に大失速しました。それをもう1回繰り返してしまった」
福岡での失速はレース展開の判断ミスが原因だった。外国人集団のハイペースに、日本人で1人だけ食い下がった結果の失速(展望記事参照)。終盤で逆転を許して日本人間でも3位で世界選手権切符を逃した。そこで適正な判断ができていれば、日本人トップは可能だったかもしれない。「あそこで行けるだけの練習はできていなかった」と森下広一監督もレース展開ミスだったことを強調した。
だが、びわ湖はレース展開のミスではなかった。
キプサング(ケニア)、メルガ(エチオピア)、カンゴゴ(ケニア)、アスメロン(エリトリア)の外国勢4選手が26kmから先行したが、そこまでのハイペースを考え、今回は追走しなかった。30kmで日本人集団のペースメーカーであるドゥング(愛知製鋼)が棄権すると、堀端宏行(旭化成)が集団を引っ張った。
30.5km付近から堀端と今井の2人が抜け出してマッチレースを展開。32kmで2人の脚が接触し、堀端がバランスを崩して5〜10m後れた。しかし、2kmほどで堀端に追いつかれ、37kmから引き離され始めた。38km過ぎには中本健太郎(安川電機)にも先行された。35kmまでの5kmは15分46秒と踏ん張っていたが、40kmまでは16分44秒まで減速。その5kmだけで堀端と中本に30秒以上も差をつけられた。
福岡では外国人選手についた結果の失速だが、びわ湖では日本人選手についた結果の失速。レース展開は「良い流れで来ていたと思う」と今井自身も認めている。
そうなると福岡の失速も、レース展開ミスであったのかもしれないが、それが現状だと今井は受け止めているようだ。びわ湖の失敗を次のように振り返った。
「脚が止まって一気に離されてしまったのは、僕の弱さでしょう。練習の量も質も考え直すべきかもしれません。根本的な原因があると思うので、早く見つけてオリンピック選考会に間に合わせたい」
2回続けて失敗した今井だが、2回とも40km手前まで日本選手トップに立つ見せ場をつくっている。びわ湖では2時間10分台と進歩の跡も示した。まだまだ“次”に期待できる選手であることに変わりはない。
◆森下監督の分析
「30kmを過ぎて消耗してきたとき、パタっと来る可能性もありましたが、気持ちで持っていくタイプなので、それが体の疲労に勝ってくれると思っていました。それまでは本当に良い顔をしていたので、行けるかなと思ったのですが…。(失速の兆候が)練習ではまったく見えませんでしたが、そこはレースで成長しないといけない部分。とにかく、これをトラウマにしないようにしないといけません。(間隔が短かった今回より)もう少し貯めて、1本に集中してやらせてみたい」
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