2011/3/5 びわ湖マラソン前日
今井、“勝負のマラソン3回目”
外国勢のスパートにどう対応するか
今井正人(トヨタ自動車九州)が12月の福岡国際マラソンに続いて、この冬2度目のマラソンに挑む。福岡では2時間13分23秒で5位。日本選手のなかで最後まで第2集団に踏みとどまったが、ハイペースの影響で後半にペースダウン。38km過ぎに松宮隆行(コニカミノルタ)に、40km過ぎには高田千春(JR東日本)にも抜かれて日本人3位にとどまり、世界選手権代表切符を逃した。
だが、今井の中では世界選手権代表への再挑戦というよりも、マラソンを「しっかり走りきる」ための出場というニュアンスが強い。
「悔しさもありましたが、自分の中でもう1本走りたい、マラソンで成功したい、という気持ちが強かった。だから、明日は最後までしっかり走りきるのが目標です。(具体的には)リズムを崩さず、最後まで元気に、勝負所で勝負するような走りをしたい。あと、持ち味も生かせるように。優勝争いすれば結果的にタイムもついてきます(代表条件もクリアできる)。最初からタイムにこだわって、型にはまったレースはしたくありません」
福岡のあと、すぐに結論を出したわけではなかった。「1週間は出るつもりはなかったのですが、冷静に考えて」(今井)走りたい気持ちが強くなり、真内明コーチを通じて森下広一監督にも意向は伝えていた。
森下監督は1月のニューイヤー駅伝まで待ち、4区で区間2位としっかり走れたこと、その後の疲労回復も早いことを見たうえで、1月6日頃にゴーサインを出した。
「今井にはもう一度走ってほしいと思っていました。二度も失敗する子じゃないし、感覚の残っているうちに出るのが良いと。今井にとって大きいですよ。今回を逃したら(次のマラソンまでの間隔が)何カ月も空いてしまいますし、トラックも入ってくる。短いスパンですがやっておいた方が良い」
ここで問題となるのは、今大会に出場する外国人に強力な選手が多いということ。W・キプサング(ケニア)は昨年のフランクフルト・マラソンに2時間04分57秒の世界歴代8位で優勝。D・メルガは2時間06分38秒の記録を持ち、Y・アスメロン(エリトリア)は記録こそ2時間8分台だが07年世界選手権で4位に入っている。
福岡ではペースメーカーの飛び出しという予想外の出来事があったが、今大会でも外国勢がペースメーカーがいなくなる30km以降(あるいはそれ以前に)、ペースアップをする可能性もある。それに、今井がどう対応するか。福岡で失敗しているから抑えめに行くのか、目一杯追走するのか。
今井自身は次のように話している。
「(ひと言で)積極的といっても、色々な攻め方があります。明日スタートしてみて、レースの流れもあるし自分の感覚もある。最初からこうだとくくると対応できなくなってしまいます。集団の中の空気も感じながら判断していきます」
森下監督もその辺は、選手の判断に任せる考えだ。
「福岡の失敗を経験したから、それで良いと思います。『なんで行ったの?』と考えさせるだけで、否定もしなければ肯定もしませんでした。マイナスに考えて、今度は行かないぞ、と思ってる子じゃありません。経験でわかる子ですから」
今井は今回のテーマを問われ、「3度目の正直」だと答えている。マラソン3回目。08年北海道はマラソンを走りきる体力がまだ備わっていないことを確認した。2年の充電を経て臨んだ福岡はレース展開で失敗した。3度目が今回。森下監督は「乗り越えなければいけない山」だという。
今井が強力な外国勢との駆け引きをどう乗り越えるか。結果的に世界選手権代表を取れるかどうか。それが客観的な見どころといえそうだ。
今井のマラソン全成績
回数 |
年 |
月日 |
大会 |
順位 |
記録 |
1 |
2008 |
8.31 |
北海道 |
10 |
2.18.34. |
2 |
2010 |
12.05 |
福岡国際 |
5 |
2.13.23. |
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