2010/4/25 日本選抜和歌山
右代が7930点の日本歴代2位&国内日本人最高&学生新!
「8000点は今年中に間違いなく出る手応えを得られました」

競技後の一問一答
「10種目全部やって失敗なく、“最低でも”というところの記録を残すことができた」
Q.嬉しいのか、悔しいのか、どんなお気持ちですか。
右代啓祐 国内の十種競技の試合は少ないので、日本記録も視野に入れてやっていましたから(残念な気持ちもあります)。しかし、10種目全部やって失敗なく、“最低でも”というところの記録を残すことができたのは、去年に比べて成長したかなと思います。正直、棒高跳まで行ったところでは8000点は十分に感じることができました。やりのもうひと伸びがありませんでしたね。でも、これを1つのステップに、日本記録には自信を持って挑んでいけます。8000点は今年中に間違いなく出ると、今日の試合をやって手応えを得られました。
Q.周囲の期待も大きいなかで自己新を出せたわけですが、手放しでは喜べない?
右代 7900点台は金子(宗弘・ミズノ)さんだけですから、7900点台に乗せられたのは一安心というところですが、求めている点数は8000点というよりも、8200〜8300点をとって世界と対等に戦えるようになることです。今年は8000点(が目標)ですが、先々8300点を出すためにも、今回の点数は1つのステップとして自信につなげたい記録です。

「1500m前の“最後だから頑張ろう”っていう雰囲気が今日は5割増しでした」
Q.最後の1500mはどこであごが上がってしまいましたか。
右代 1000mを通過したあたりです。疲れが残っていて…。でも、一緒に合宿しているトレーニング仲間の林田(章紀・順大)君が、つねに自分の前に出て引っ張ってくれました。「右代さん、行きますよ」と声を掛けてくれて、もっともっとという気持ちになれました。ペースを落としちゃダメだと。みんな声援を送ってくれましたし、仲間に支えられて出た記録です。(自己記録は4分26秒88だが)1500mはこれ(4分33秒94)が今の力です。
Q.1500mのスタート前の雰囲気は、いつもと違いましたか
右代 周りが声を掛けてくれました。「右代さん、頑張りましょう」とか。最後の1500mではいつもお互いに声を掛け合ったりタッチをして、“ワァーっ”という雰囲気になるんです。最後だから頑張ろうって。今日はそれが5割増しでしたね。関係者はもちろん周りにいた高校生たちも声を掛けてくれて、選手だけでなく、会場全体で記録を出すために盛り上げてくれました。こんな幸せはないと思いましたね。

「去年の池田君と宏昌さんの活躍はうらやましかったですけど、日本選手権で失敗した自分の実力」
Q.2日目の自己新は?
右代 110 mHと円盤投が自己新で、棒高跳が十種競技のなかでの自己タイ(単独種目では4m90)です<各種目のベスト記録と今大会の内訳はこちら>。やりがもっと行けたらとか欲を言ったらきりがありませんが、後半の3種目で自己記録は自信になります。
Q.池田(大介・富士通)選手に比べ個々の種目の自己記録は高いのに、試合で出す記録が低いと言われてきましたが、それを今季は克服できている?
右代 以前のトレーニングのやり方は、自分の体(196cm、92kg)を生かし切れていませんでした。出されたメニューをただガムシャラに消化するだけでした。それを一昨年から1カ月に2回くらいの頻度で合宿して、力の方向性とか、どうやったら物を遠くに飛ばせるかとか、理論的なものも勉強し始めました。それを少しずつですが体で表現できるようになり、それが結果につながり始めました。去年の和歌山も7622点のベストが出ました(10月の群馬リレーカーニバルで7856点の日本歴代3位)。日本選手権のポールが記録なしになったのは、試合の1カ月前に助走を2歩伸ばしたことに対応できませんでした。その前の記録会で4m90を跳んだことで、「もっと」と欲を出してしまったんです。(円盤投終了時点で)世界選手権もちらついてしまって。
Q.今回も来年の世界選手権につなげたいという欲もあった?
右代 今回は自分の記録を更新することしか考えていませんでした。世界選手権などの大会を意識して臨んだわけではありません。記録を伸ばすことで自ずと世界選手権やアジア大会も見えてくると思っています。ただ、日の丸をつけた試合は一度もないので、そういう意味では意識はしています。
Q.去年、池田選手が世界選手権で自己新を出し、田中宏昌選手がアジア選手権で優勝しました。そういった十種競技選手の活躍が影響していますか。
右代 池田君がいて、宏昌さんがいてと、自分の周りに争える仲間がいます。話を聞くとうらやましくも思いますが、それも日本選手権で力を出し切れなかった自分の実力です。「来年こそは」という気持ちでいました。そういう気持ちで今季は挑んでいます。お互いに刺激しあって、そういうなかで競技ができるのですから、本当に頑張らないといけません。

「やるべきことは苦手の走る種目の克服」
Q.この先8200点、8300点を出すためには何をやらないといけないと?
右代 走る種目の克服ですね。(一覧表を見ながら)こうやってみると短距離種目が、他の強い選手たちよりも遅いですから。トレーニングは(先ほど説明したような)今と変わらないスタイルで続ければ8000点を越えて行けます。
Q.走る種目のウエイトが高い1日目で4000点を取る?
右代 今回の後半が4024点ですから、前半も同じくらい取れたらいいですね。1日目の100 mで50点、400 mで50点の加算ができれば早いと思います。その2種目が伸びれば110 mHも速く走れるわけですし。
Q.走る種目がずっと苦手だった?
右代 あんまり1位になったことはないですね。注目されやすいトラック種目でビリになったら、総合で1番になってもストレスになります。それも先ほど言った考えるトレーニングをするようになってからは、以前のようなガムシャラにやっていた頃よりもストレスを感じなくなりました。スプリント系もつかめているものがあるので、それを続けていきたいと思います。
Q.体を扱えるようになれば、個々の種目を細かくやれなくても記録が伸びる?
右代 はい。自分がどういう形になっているかがつかめないと、人から言われても修正できないわけです。そこが去年と比べたら修正できるようになりました。人から「こうなっているから」といわれたとき、自分でも「こうなっているんだな」とわかるようになってきたんです。


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