2010/12/31ニューイヤー駅伝前日
故障者が多くオーダー編成に苦心
その中ではトヨタ自動車と富士通が順当な編成


日清食品グループ:座間紅祢、徳本一善
コニカミノルタ:松宮祐行、黒崎拓克
富士通:岩水嘉孝
中国電力:佐藤敦之、伊達秀晃
トヨタ自動車:浜野健
Honda:福山良祐
旭化成:岩井勇輝、大野龍二
カネボウ:入船敏


 “8強”と言われる今回のニューイヤー駅伝だが、どのチームも万全のオーダーを組めなかった。日本代表や“出て当然”と思われる選手の欠場者を挙げると上記のようになる。
 特に痛手だったのは旭化成と中国電力だろう。ともに外国人選手を持たないチームでもある。「痛かったのは大野が27日の最終調整後に体調を崩したこと。岩井は12月の頭から腸脛靱帯を痛めてジョッグしかできていなかった。岩井が3区に使えれば、外国人区間(2区)でやられた分を30秒は詰められたのですが」と、宗猛監督は嘆く。2チームとも優勝戦線からは後退したと言わざるを得ない。

 日清食品グループとコニカミノルタは有力選手に故障者が2人出たのは同じ。違いは、故障者の出た時期だ。日清食品グループは夏から出ていて、ここに来て立て直してきた。一方のコニカミノルタは、黒崎拓克の故障は以前からだったが、松宮祐行がハムストリングの不調を訴えたのは3日前だったという。
 結果的に、日清食品グループの治郎丸健一、コニカミノルタの下重正樹と、5区がともに初出場選手となった(コニカミノルタは1区・山本浩之、2区・クイラ、4区・宇賀地強と4人が初出場)。ただ、初出場と言っても優勝経験チームの5区を任されるのだから、それなりの状態だと思っていいだろう。それよりも、日清食品グループでいえば7番目の選手が走る区間、コニカミノルタでいえば松宮祐に代わって1区を走る山本がどうか。不安があるとすればそのあたりだろう。
 ただ、2チームともに優勝に届かないほどの戦力ダウンではない。こちらの記事で紹介したように、日清食品グループは主力を並べた4区までにトップに立つ可能性はある。それはコニカミノルタも同じで「宇賀地が元気なのがプラス材料。4区終了時に並んでいれば5、6、7区はなんとかなる。アンカー勝負も」と磯松大輔コーチ。どちらも前半に主力を起用し、4区に佐藤悠基と宇賀地という切り札を持っている点も似通っている。

 反対に後半型のオーダーといえるのが富士通だろう。1区・星、2区・ダニエル、3区・山口がニューイヤー駅伝初出場で、4区に藤田敦史、5区・堺晃一、6区・阿久津尚二、7区・福井誠というオーダー。「3区が終わって50秒以内差ならひっくり返せる」と福嶋正監督は後半に自信を持っている。
 岩水嘉孝が補欠に回ったのも故障があったわけではなく、練習の状態で判断が下されたという。故障者に左右されたオーダーではないだけに、かなりやりそうな予感もする。
 カネボウも入船敏が外れたのは故障が理由ではない。福岡国際マラソンの疲れから回復したとしても7区の予定だったというから、主要選手として期待された存在ではなかった。
 それよりも、本来ならエース格の真壁剛と木原真佐人の27分台コンビが、「何とか間に合った」(音喜多監督)という状態で、結果的に3〜5区を任せられず、木原が1区、真壁が6区となった。ただ、木原にとって1区は前回区間賞を取った区間であり、真壁の6区はコース変更で「最初にアップダウンがあって難しくなった」(同)こともあり、勝負のポイントとなる可能性もある。

 Hondaは福山良祐が12月の合宿で右ふくらはぎを痛めたというが、選手層の厚さは相変わらず。アンカーの池邉稔は練習では「4区を走れるくらい」(明本樹昌監督)というくらいに好調だという。
 藤原正和が6区に回ったのは、ベルリンマラソンの疲労から来る右足甲の故障による練習中断を考慮してのこと。現在の調子は良いが、距離への不安があるからだという。「5区を終えて30秒くらいの差なら挽回できる」(同監督)と、6、7区には自信を持っている。
 トヨタ自動車の浜野健は、「力からいったら5区で行きたかったのですが、10日前くらいにふくらはぎの張りが気になる状態になってしまいました」と佐藤敏信監督は言う。実際のところの戦力ダウンはあるだろうが、「実績や名前でなく、調子の良い選手を入れた結果のベストオーダーです」と自信を見せる。

トヨタ自動車・佐藤敏信監督
「できれば3区でトップに行きたいですけど、1・2区の展開が読めません。1区にはネームバリューのある選手がいますし、2区はHondaの選手(ジェイラン)も強い。3区の高林で優勝争いをするチームといれば、という気持ちです。5区は力からいったら(外れた)浜野で行きたかったのですが、10日前くらいにふくらはぎの張りが気になる状態になってしまいました。走れている菅谷の出来が良く、菅谷にしました。前回の7区も区間5位で、向かい風が吹いても走る選手です。アンカーの熊本はスプリント力もありますし、10日前の10km走で3番手で上がってきました。高卒新人の2人も不安はありません。宮脇は(日体大よりも条件が厳しい)八王子で28分20秒台で来ていますから。実績や名前でなく、調子の良い選手を入れた結果のベストオーダーです」


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