2009/11/29 東レ上海マラソン
@女子ハーフマラソン
日本選手がワンツー
伊藤が正井を振り切って仙台ハーフの雪辱


 今年で14回目を迎えた東レ上海マラソン(男女のフルマラソンと男女のハーフマラソン)は29日、4部門とも中国上海市の世紀広場をスタートし、閔行体育館にフィニッシュするコースで行われた。
 男子フルマラソンはガショー・メレッセ・アスファ(エチオピア)が2時間10分10秒で2連勝を飾り、女子は魏亜楠(中国)が2時間27分49秒で5年ぶり2度目の優勝。ハーフマラソンの男子は中国の趙らん(※)が1時間05分01秒で優勝。女子は日本勢が1、2位で、伊藤舞(大塚製薬)が1時間12分00秒で正井裕子(日本ケミコン)を振り切った。
※ 再という文字の上の横棒なし

 女子のハーフマラソンは最初から日本2選手のマッチレースに。15km手前で伊藤が、後ろから来た男子選手についてペースを上げて正井を振り切った。
 伊藤が自身で計測した5km毎の通過タイムは以下の通り。
5km      17分16秒
10km     34分34秒(17分18秒)
15km     51分36秒(17分02秒)
20km 1時間08分18秒(16分42秒)
フィニッシュ 1時間12分00秒(3分42秒)

 展望記事でスピードがついたことを指摘したが、この日はそれが生かされなかった。細かい原因がいくつか重なって、予定していた自己記録更新ペース(5km毎を16分50秒前後)で入れなかった。
 まずは気象状況。2日前まで温かかったのに対し、前日から気温が下がり、レース当時はさらに肌寒くなった。正式なデータは入手できていないが、おそらく10℃を少し割った気温だっただろう。風も強くはなかったが、ずっと向かい風だった。
 次にウォーミングアップエリアがエリート選手用に確保されていなかったこと。伊藤や正井は100 mくらいの距離を往復して行ったという。
「海外に慣れていなかったのが反省点です。1本離れた道でも、アップができる場所を見つけたりすることも大事だと思いました」
 そして、顔触れから正井と2人だけの争いが予想されたこと。今年5月の仙台ハーフマラソンでは正井が1時間11分27秒で3位(日本選手2位)で、伊藤が1時間12分08秒で4位。15kmまでは伊藤がリードしていたが、終盤で正井に逆転された。
「仙台で負けた悔しさがありました。世界ハーフの代表も逃しましたから。アップ不足と、“また負けてしまったら”という気持ちで前半が行けませんでした」

 特にタイトルなどがかかっていない海外レースということを考えると、本人が悔やんでいるように、殻を破れなかった。ただ、海外の悪条件の中で後半をしっかりと走って自己記録に近いタイムを出せた。“いつでも1時間11〜12分台では走れる”という部分では、自信が大きくなったはず。その部分を土台にできれば、一気の記録短縮も可能な選手だろう。

2位(1時間13分39秒)の正井コメント
「ダメでした。前半は並走していたのですが14kmくらいで振り切られてしまって。悔しいです。自己新(1時間11分27秒)を狙っていたのですが。最初の1kmで動かないな、と感じました。アップ不足でしたし、位置についてからの10分間で、早くジャージを脱いだのも失敗でした。
 ハーフマラソンは今年だけで4本目ですが、そこまでハーフという種目に自信があるわけではありません。仙台や世界ハーフのときは練習量も増えましたが、今回は駅伝もあるので、そこまで増やしているわけではわりません。マラソンまでとは思っていません。トラックと、ロードはやってもハーフまでですね」


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