2009/5/17 東日本実業団2日目
2日目は“ミズノ勢”が活躍A
前半14歩派の小池は
“200〜300 m”がA標準へのカギ

 小池崇之(ミズノ)も男子400 mHで2位に0.92秒と大きな差をつけた。
 今季の成績は4月18日のマウントサックが51秒35。隣のレーンの選手が転倒して小池のレーンに侵入したことでリズムを乱した。静岡国際は50秒50で8位(日本人6位)。「調整不足でした。海外(合宿&試合)の疲れもあったし、前半も上手くいかなかった」(小池)
 大阪GPは49秒93(7位=日本人3位)まで上げてきたが、「7台目まで14歩で押してみたかったのですが、7台目までは大きく間延びしてしまってスピードが伴っていませんでした」と、不満の残る内容だった。

 小池は前半を13歩で行く為末大(APF)や成迫健児(ミズノ)と違い、14歩で前半を刻む選手である(昨年の和歌山記事参照)。13歩の選手は6台目で14歩に切り換えるが(成迫は7台目のことも)、小池の場合、前半をいっぱいいっぱいで走っているわけではないので、14歩を6台目、7台目と続けることもできる。15歩に切り換えることもできる。
 こう書くと自在に操っているように思えてしまうが、そう簡単なことではない。
 東日本実業団は前半が向かい風だったことも影響し、14歩は5台目までだった。
「15歩に切り換えても回転数が上がらず、効率の悪い走りでした。ラストも持ちませんでしたね。200〜300mをどうするか、模索中なんです」

 ベスト記録は順大3年時(2005年)の日本インカレで出した49秒23。同年のユニバーシアードでも成迫に次いで銀メダルを獲得した。その後も毎年49秒台を続け、昨年も49秒65とB標準は切っている。だが、A標準の49秒25と自己記録にはなかなか届かない。そのための課題が200〜300mの走りだ。
 “間延びしない14歩”で押していくことができれば、スピードも落ちない。15歩に切り換える場合は、“回転数”を上げなければスピードが落ちてしまう。だが、“回転数”を上手く上げられると、そのリズムでホームストレートもスピードを維持できる。
「そこが上手くできるかどうかで、1秒くらい違ってしまいます。去年はレース前半は上手くいってもそこでダメになることが多かったですね。前半は自己記録の頃よりも速い入りを経験してきています」

 今季は走力という点で裏付けを持てている。2月末から4月末まで、イギリスとアメリカで合宿した。順大の先輩でもある山崎一彦ハードル部長の留学先のラフバラ大の選手たちと汗を流した。
「400 mが44〜45秒台の選手と色々とトレーニングをして、走ることに自信を持てるようになりました。最初の1カ月はズタボロにされましたが、後半の1カ月は少しは抵抗できました。室内練習場だったり、芝生で距離を走ったりと、日本ではなかなかできない内容です。去年のようにレース後に立てなくなることが、今年はなくなっています」

 日本選手権で14歩を、5台目にまでするのか7台目までにするのか。バックストレートの風も見ながら判断することになるので、現時点では決めていない。どちらの戦術を採るにしても、200〜300mの走りが最後の直線の走りに影響し、最終的な記録を左右する。
 日本選手権はカーブの出口で小池の表情をチェックする必要がありそうだ。


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