2006/10/8 のじぎく国体3日目
助永が投てき2冠
神戸&大阪、ダブル地元のインターハイ&国体


 中学は神戸で、高校が大阪。関西では珍しいことではない。だが、助永仁美(大阪・太成学院高)のような例は極めて稀なのではないか。高校3年時にインターハイが高校の地元で行われ、同じ年に国体が中学の地元で行われるということは。8月は地元の優勝候補として期待を集めた。今回は、母親や中学時代の恩師など、個人的に近しい人間が応援に駆けつけくれた。
 しかし、インターハイは勝てなかった。やり投が2位(49m48)で円盤投が予選で記録なし。2種目とも兵庫県の選手が優勝したのは、運命の悪戯としか言いようがない。それが今国体は2種目V(やり投50m10、円盤投43m15)。どんな違いが“2つの地元大会”にあったのだろう。
「インターハイと国体を比べたら、プレッシャーや自信のあるなしが影響していたように思います。マイナスに考えてもダメだし、プラスに意気込みすぎてもダメ。インターハイは中途半端になっていました。“勝つ”イメージでいましたが、“大丈夫かな”と思ってしまったり。1つの気持ちになれていませんでした。今日もどうなるんだろう、と感じもありましたが、大阪の先生から楽しくやればいいとアドバイスをもらって、プレッシャーなくできたと思います」

 ただ、インターハイはこう、国体はこう、と簡単に色分けができるものでもない。インターハイのやり投は決して悪い記録ではなく、5投目まではリードしていた。
「悔しかったけど、記録は自信になった」
 国体は、前日に行われたやり投に優勝したことで、円盤投が「よけい楽に臨めた」のは確かだが、その円盤投が会心の出来だったわけではない。
「やり投と違って思い切り行けませんでした。4・5投目はちょっとだけ思い切れたところもありますが、納得いく投げではありません。結果的に勝つことができましたし、15cmの自己新ですが、優勝記録として43m台は低いと思います。嬉しいけど嬉しくないような気持ちです」

 地元優勝だ、2冠だと喜びを爆発させるのでなく、冷静に分析する話しぶりが印象的だった。喜びが大きすぎて反省が少なくなると、そこだけで終わってしまう。次へつながっていくことを考えたら、「記録が下がらんようにしたい」と、ちょっとクールに言う助永くらいの方が期待できる。


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