2006/10/7 のじぎく国体2日目
成年男子400 mH
12-13歩のインターバルを武器に、杉町が49秒62の自己新で2位
「世界選手権はブラジル代表も考えています」
成年男子400 mHは成迫健児(筑波大)が3連勝したが、日本選手権に続いて2位となった杉町マハウ(日本ウェルネス)の追い上げも迫力があった。記録は49秒62と日本選手権での自己記録を0.01秒更新。しかし、「49秒6台は普通のでき」と、喜びを爆発させるようなことはなかった。
「いつもだと前半がつまり気味になるんですが、今日は風があってちょうど良かった。しかし、5台目で(1つインレーンの)成迫君に並ばれて、6台目か7台目で抜き脚のつま先をぶつけてしまいました。13歩に切り換えたところですから、6台目でしょう。後半で行ける感覚もあったのですが、バランスを崩して流れがおかしくなりました」
杉町はバネを最大限に生かした走りが特徴で、ハードル間を5台目まで12歩、残りは全て13歩でカバーする。為末大(APF)は5台まで13歩で行き、次の2台が14歩、残りの3台が15歩。成迫は13歩が1台多くて6台目まで。48秒選手でもこの日4位の吉形政衡(三洋信販)や千葉佳裕(トヨタ紡織)は前半が14歩だ。12歩の選手は日本にはいない。
その代償というわけではないが、ハードリングが他のトップ選手と比べると浮き気味である。ハードル間の走りもテンポ走のようなリズムに見える。高校まで走高跳選手だったこと(茨城インターハイ5位)が、その理由だろう。前半が12歩だと、1台毎に逆脚にもなる。
「利き脚の左脚での踏み切りはいいのですが、逆の右脚で踏み切るときに上に行ってしまいます。(13歩にすれば前半も全て利き脚踏み切りとなるが)13歩で刻むのが難しくて、詰まってしまって、もっと上に跳ねてしまうんです。ちょっと間延びしても、逆脚の方がまだ良いですね。400 mHに転向した当初は13歩でやっていましたが、流れが悪くて走りにくかった」
鋭いピッチはないが、日本選手権や国体のように、大きなストライドで後半グイグイ差を詰めてくる。身長や走りの特性にも左右される部分なので、一概に歩数が少なければいいとは言い切れないが、杉町のホームストレートの強さを見ていると、武器になっているのは間違いない。その特徴に研きをかけたら面白い存在になる。
「どんなレースでもだいたい、後半で差を詰めています。ちょっと前にいるだけなら、絶対に抜ける。逆脚が思うように行きませんが、とにかく速いスピードで前半も行ける練習をするしかありません」
200 m21秒46、400 m48秒13(十種競技中)、110 mH14秒76と、特別スピードがあるわけではないが、185cmの長身で2m03を跳ぶバネは魅力ある素材だ。B標準(49秒80)を突破し、来年の世界選手権への出場も望めるレベルにも達した。だが、日本語を流暢に操る杉町だが、国籍はブラジルである。小学校2年時に来日しているから、滞日年数は15年。それでも、今から帰化して日本代表になろうとしたら「3年くらいはかかるようなんです」と言う。
「大阪の世界選手権にはブラジル代表として出ることも考えています。選考会が7月や8月になるという話もあって、そのへんがよくわからないのですが、親にブラジル陸連とのコンタクトもとってもらうつもりです」
国際陸連サイトの今季リストを見ると、ブラジル選手の最高はTiago Buenoの49秒89で、2番目はRaphael Fernandesの50秒40である。
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