2006/10/7 のじぎく国体2日目
好調の石黒、100 mの予選・準決勝を1位通過
決勝で力を発揮できずに5位
成年男子100 mは石黒遼人(中京大4年)の動きの良さが目に付いた。予選5組を10秒33(+4.6)、準決勝1組を10秒25(+3.5)。追い風の強弱も関係する部分だが、ともに予選・準決勝全体でトップタイムで通過した。
6月の日本インカレは準決勝落ち(「+2」の3番目)だったが、9月になって調子を上げてきた。日本学生チャンピオンシップの準決勝で10秒43(+1.7)の自己新を出すと、決勝では3位に。西日本インカレ(10秒41・±0)、六大学(10秒64・−1.1)と連勝した。
前半の強さが特徴と言われている選手。
「反応自体はそれほど良い方ではありませんが、そこで出られても力まないようになりました。中盤で楽に前に出られるようになったんです。春先に武井(壮=元十種競技日本選手権優勝者。100 mも10秒54の十種競技中の日本最高記録。武井氏のサイト)さんにスタートを見てもらったり、和田(宏太・中京大)が(スタートが)すごく速いので参考にしたりして、夏以降はリラックスした走りができるようになってきたのが良かったのだと思います」
今大会は顔触れ的に“全国的な選手権”。高校(愛知県昭和高)では東海インターハイ7位、日本インカレは2年時以降ずっと「準決勝で9位か10位」のポジション。日本学生チャンピオンシップと西日本インカレでは3位以内があったが、日本一を決めるレースでは初の決勝の舞台となった。石黒が準決勝までの走りをできるどうかが注目されたが、末續慎吾(ミズノ)と塚原直貴(東海大)が前半からリード。
「準決勝までは今の走りがかなりでき、決勝もスタート自体は悪くありませんでしたが、末續さんと塚原に出られて、硬くなってしまいました」
石黒は前に出られず、持ち味を発揮できないまま5位でフィニッシュ。やはり、初めてと言ってもいい舞台で力を発揮するのは難しかった。しかし、10秒54(+0.4)は自己記録とは0.13秒差。2位の塚原とも0.13秒差。力を発揮できなかったにしては、悪くないタイム差だろう。
大学4年だが、実業団に入るには難しい戦績。台頭してくるのも遅かった。
「きちんとした形で競技を続けられる就職は厳しい状況です。大学院を受験することも考えています」
日高一慶(宮崎AC)や上野政英(白山AC)のように、卒業後に記録を伸ばしたスプリンターも多い。進路について無責任なことは言えないが、頑張って続けてほしい選手ではある。
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