2006/10/6 のじぎく国体
笹瀬が5m31の高校歴代2位
2週連続の高2最高
風に助けられ、風を克服した5m31


 この日のユニバー記念競技場は風が強かった。笹瀬弘樹(浜松市立)も何度か、助走を途中で中止していた。極めつけは5m20の3回目。笹瀬がボックスにポールを突っ込んで振り上げる直前に、強風でバーが落下してしまった。当然、試技はやり直し。
「あれは助かりました。右に流れてしまって、ダメだと思った直後でしたから」
 やり直した3回目の試技できれいにクリア。この日の笹瀬は、運にも恵まれていた。

 永田純也(大和南高)を想定していたと思われるが、笹瀬は5m20まで競り合うつもりでいたという。ところが、5m10で優勝が決まった。
「5m20は気持ちが切れていたところがあって、ちょっと焦っていました。3本目でなんとかまとめることができました」
 バーは5m31に。沢野大地の持つ高2最高の5m25は、前週の静岡県高校新人で5m26に更新していた。高校歴代“単独2位”を狙ってのバーの上げ方だった。その1回目は、身体が上昇する際にかすって落とす惜しい跳躍。高さは出ていた。そして2回目に成功。笹瀬の特徴である、真上ではなく斜め前方に弾け跳ぶようなクリアの仕方だった。

 次の高さはもう、5m41しかなかった。沢野の高校記録を1cm上回る高さ。
「あまり高いとは思いませんでした。2本目は腹まで入っていましたから。3本目は疲れて右の握力が落ちてしまい、ポールを十分に握れなくてダメでした」
 3回とも失敗に終わったが、厳しい高さとは感じなかったことが収穫だろう。

 笹瀬はインターハイ後に助走を大きく変更したことが、秋の自己新3連発(5m17→5m26→5m31)につながっているという。インターハイまでは補助助走をつけていたが、8月の合宿でそれをなくし、最初の1歩目からしっかり押していく助走に変更した。補助助走をつけると最初にスピードを上げられるが、その後のコントロールが難しくなるという。
「今日くらい風が強くて方向も変わっていたら、以前の助走だったら4m80が限界だったと思います。補助助走を入れると、追い風でも向かい風でも、強風があると影響を受けやすい。今の助走なら、自分で対応ができます」
 助走の速さが笹瀬の特徴だが、助走の最初でスピードが上がると、踏み切り手前で低下する傾向があった。その名残は今もあると棒高跳関係者から指摘されるが、補助助走をなくすことで、踏み切り前が以前よりも落ちないようになった。

「できれば来年、5m50を跳んで国際大会も経験したい」と言う笹瀬だが、当面の目標はまずは5m40の高校記録更新。沢野の記録がターゲットになる。
「沢野さんは憧れの人であり、目標の人です。こう言ったら失礼ですが、越えないといけない壁だと思っています。越えたら6mが見えてくる」
 高校生のうちに沢野の記録を越えておけば、6mが見えてくるという意味だったのか、いずれは直接対決で勝ちたいという意味なのか。普通に考えたら前者なのだろうが…。


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