2005/9/2
トワイライトゲームスA
高野の300m前日本記録を上回ること=44秒台ではないが
堀籠に「45秒台前半の手応え」


 堀籠佳宏(日体大院)が300mで38秒82と、400 m日本記録(44秒78)保持者の高野進が1988年のソウル五輪(44秒90)直前にマークした32秒97の前日本記録を上回った。と、記事@で高野の記録を比較の対象として紹介したが、300mで上回ったから400 mでも高野を上回れるかといったら、そう簡単には実現できない。
 というのも、高野の本番に合わせるピーキング能力は、今の選手たちより上だったように感じられるからだ。今も合宿などで、高野(短距離ナショナルコーチ)は自身の練習中のタイムと現役選手の練習タイムを比べたりするが、それほど差はないようだ。あるいは、今の選手の方が良かったりする。しかし、レースとなると高野の方がはるかに上のレベルで安定していた(45秒30以内が11回)。練習や記録会的なレースで同レベルのタイムで走ったとしても、もう1つ別の能力を身につけないと、高野を超えることはできないのではないか。
 とはいえ、45秒95がベストの堀籠と、当時の高野とは400 mで1秒の差がある。いくら高野のピーキング能力が高かったからといっても、そこまでの差がつくとは思えない。堀籠も45秒台前半が出ても不思議ではないはずだ。

 8月には世界選手権・ユニバーシアードと4×400 mRメンバーとして転戦した堀籠。世界選手権の3走では45秒8のラップで、レース展開も影響したと思われるが、必ずしも力を出し切ったとは言えなかった。それがユニバーシアードでは、予選で45秒3、決勝では45秒4のラップだったという。
「今までテレビ画面を通してでしか見ていなかったスピードが、肌で実感できました。そういった選手たちの動きも、近くで見ることができた。すごく刺激になったのと同時に、頑張れば届かないものじゃない、とも感じました。個人でも世界と戦いたい、という気持ちが強くなって、自分の力をどんどん上げていきたい、とより強く思うようになりました。ここの300mに出たのも、400 mにつながると考えたからです」

 ユニバーシアードから帰国後すぐ、神奈川県の国体選考会に出場したら、46秒11と自己3番目のタイムが出た。
「すごく余力があって、この走りでこのタイムが出るんだ、と感じました。45秒台前半は出せる感覚があります」
 秋のレースはスーパー陸上、国体、東アジア大会。シーズン前半は“日本選手権で好走した選手”の域を出なかったが、一夏越えて“近い将来の44秒台候補”の有力候補になった。


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