2005/9/2
トワイライトゲームス@
男女300mで学生最高!!
男子・堀籠は32秒82、高野進を上回り日本歴代2位


 男女の300mで学生最高記録が誕生した(日本学連が公認していない種目なので学生記録にはならない)。先に行われた男子は、2組に好選手が集まった。2レーン南雅也(順大)、3レーン太田和憲(東海大)、4レーン堀籠佳宏(日体大院)とユニバーシアード代表で、そして5レーンがアテネ五輪代表だった向井裕紀弘(岐阜ES事業団)。全員が“日の丸経験者”という豪華メンバーだったが、その中でも堀籠が唯一、今季の世界選手権代表だった。
 第2コーナーをスタートし、最初が直線で100 mから曲線になる。堀籠は200 mではまだ、外側のレーンの向井と並んでいたように見えた。そこから一気に抜け出て、好調の太田を寄せ付けなかった。
「200 mまではリラックスして、コーナーの出口から切り換えて、最後の落ち込みをなくしたかった。(200 mまで向井と)並んでいたような気がしますが、周りをあまり見ないで、記録との戦いだと思っていました。日本記録の32秒68を狙っていたんです」
 32秒68は今年の4月、出雲陸上で小坂田淳(大阪ガス)が出したタイム。それ以前は、あの高野進が1988年のソウル五輪(準決勝で44秒90)直前にマークした32秒97で、堀籠の32秒82はそれを上回る日本歴代2位(出雲陸上2位の伊藤友広が32秒91で歴代3位)。

「300mのレースは初めて。練習ではちょこちょこやっていますが、1本で全力を出すような走り方ではありません。今日も、ペース配分は全然わからず、手探り状態で力を出し切れるのかわかりませんでした。400 mのレースよりも、前半200 mも速く入る感じにはしましたが。将来的には、(400 mの)300mを32秒台で通過したいと考えています」
 200 mのベストは21秒11(04年)。400 mでは小坂田らとも同じようなスピードで200 mを通過できるが、余裕度が劣ると感じている。それで、後半で離されてしまう。300mはレースが実施される数自体が少ないので、比較する材料にしていいのか判断が難しいが、堀籠が徐々に小坂田たちのレベルに近づいているのは確かのようだ。

 驚いたのは1組トップの長谷川充(筑波大)が33秒04と、2組の堀籠以外の日の丸組を上回ったこと。高野の前日本記録とも大差ない。高3の02年に47秒43で走り、インターハイは2位になっている選手。今季は4月に47秒35と3年ぶりに自己記録を更新。関東インカレは47秒43で井上洋佑(筑波大)、太田に続いて3位。秋シーズン注目の選手に躍り出た。

女子・成瀬は39秒01、400 m進出のステップ
「アジア大会の4×400 mRメンバーが目標」


 男子に引き続いて行われた女子では、成瀬美紀(日女体大院)が39秒01と、日色さおりの持つ学生最高39秒84を大幅に更新した。
「300mは、レースでは今日が初めて。どういう展開にしたらいいのか迷いましたが、前半から飛ばしても、コーナーから直線に入る部分を一番意識しました。乳酸がたまってスピードが落ちるところですが、そこで力まない走りをしようと。記録的には38秒台を狙っていました」
 成瀬といえば、04年の日本インカレ100 m優勝者。ベスト記録も100 mが03年11秒92、04年11秒91で、200 mが04年に24秒28。昨年、200 mが大きく伸びていることから、ロングスプリントへの適性もあったのだろう。
「来年のアジア大会で4×400 mRメンバー入りを目標にしています。丹野(麻美・福島大)さんの次の選手も強いですけど、団子状態ですから、そこに食い込んでいきたいと思います」
 400 mのベストは大学3年時の56秒82だが、4×400 mRのラップでは55秒台だという。この日の39秒01は日本歴代では3位。01年にカルガリー(カナダ)で柿沼和恵と吉田真希子が出した、38秒64と38秒83に続くタイム。同じレースで杉森美保は39秒11だった。カルガリーは日本4×400 mRチームが、エドモントン世界選手権直前に出場したレース。条件が違うので単純に比較できるものでもないが、当時の日本代表メンバーと同等のタイムを、成瀬が300mで出してみせた。


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