2005/5/7 国際グランプリ大阪
400 mHで好勝負
0.01秒差で成迫が為末から初勝利も
為末の新バージョンにも期待
男子400 mHは外国勢が1・2位を占めたが、3位の成迫健児(筑波大)が48秒71の自己2番目のタイムで、0.01秒差で為末大(APF)から初勝利を挙げた。
「10台目を為末さんがポンと跳び上がるのがわかって、これなら10台目を越えてから勝負ができると思いました。実際、しっかり追い込めたと思います。為末さんに勝つことが目標だったので、(目標を達成してしまって)動揺している部分もありますが、これからが勝負だと思います。実際、途中までは負けていました」
静岡国際では14歩となってしまった6台目も(静岡国際の記事)、13歩で押すことに成功。下のタッチダウンタイム表からも、6台目の成功が読みとれる。風向きや強弱も関係してくるので、違うレースのタッチダウンタイムを比較して、必ずこうだとは言いにくいのだが(選手当人が、その辺の感覚を調整して比較すればいい部分だろう)。
成迫 |
|
為末 |
04国体 |
05静岡 |
05大阪 |
|
05大阪 |
01世準決 |
01世決勝 |
5.87 |
5.87 |
5.92 |
5.92 |
5.83 |
5.83 |
1台目 |
5.8 |
5.8 |
5.6 |
5.6 |
5.64 |
5.64 |
9.62 |
3.75 |
9.68 |
3.76 |
9.51 |
3.68 |
2台目 |
9.5 |
3.7 |
9.3 |
3.7 |
9.28 |
3.64 |
13.34 |
3.72 |
13.51 |
3.83 |
13.28 |
3.77 |
3台目 |
13.2 |
3.7 |
13.1 |
3.8 |
13.10 |
3.82 |
17.13 |
3.79 |
17.37 |
3.86 |
17.14 |
3.86 |
4台目 |
17.0 |
3.8 |
17.1 |
4.0 |
16.88 |
3.78 |
21.07 |
3.94 |
21.32 |
3.95 |
21.10 |
3.96 |
5台目 |
21.0 |
4.0 |
21.1 |
4.0 |
20.78 |
3.90 |
25.18 |
4.11 |
25.59 |
4.27 |
25.15 |
4.05 |
6台目 |
25.0 |
4.0 |
25.1 |
4.0 |
24.89 |
4.11 |
29.44 |
4.26 |
29.99 |
4.40 |
29.61 |
4.46 |
7台目 |
29.3 |
4.3 |
29.3 |
4.2 |
28.96 |
4.07 |
33.82 |
4.38 |
34.51 |
4.52 |
34.07 |
4.46 |
8台目 |
33.7 |
4.4 |
33.6 |
4.3 |
33.22 |
4.26 |
38.41 |
4.59 |
39.12 |
4.61 |
38.58 |
4.51 |
9台目 |
38.4 |
4.7 |
38.1 |
4.5 |
37.71 |
4.49 |
43.12 |
4.71 |
43.77 |
4.65 |
43.26 |
4.68 |
10台目 |
43.2 |
4.8 |
42.7 |
4.6 |
42.41 |
4.70 |
48.54 |
5.42 |
49.40 |
5.63 |
48.71 |
5.45 |
フィニッシュ |
48.72 |
5.52 |
48.10 |
5.40 |
47.89 |
5.48 |
成迫の3大会は寺田計測=手動 為末の05大阪はJAAF STATICS INFORMATIONSによる非公式計時
しかし、為末も今後に期待できる内容だったように思う。昨年までの“1台目から超高速で入る”パターンから、中盤で押すパターンにレース展開を変更したが、それが迫力を感じさせる走りとなっていた。
シドニー五輪、アテネ五輪とスタートから1台目までの風でリズムを狂わされた。その部分の影響を受けないこと考えて、1台目までを気持ち、抑える方法を採った。そうすると必然的に、2、3台目と以前のようなスピードは出ない。
「去年までと比べたら“中前半型”ですね。逃げのレースではありません。5〜6台目をけっこう意識して、7〜8台目を(感覚的には)上げたつもりです。8台目までは48秒4〜5のペースで行っていました」
タッチダウンタイムを成迫と比較すると、6・7・8台目と差を広げている。銅メダルを取った為末自身の01年世界選手権は記録のレベルが違うが、それと比較した場合も序盤を抑えて中盤で行っているのが読みとれる(これも風が関係してくる部分なので、断定はできないが)。
しかし、今回は9・10台目の減速が大きく、それまでトップを走っていたが、そこで外国2選手に、最後は成迫にも0.01秒逆転された。日本選手間の敗戦は、02年国際グランプリ大阪で河村英昭(スズキ)に敗れて以来、ちょうど3年ぶりのことだった。
「去年はどんな展開でも、9〜10台目は今日ほど落ちることはありませんでした。久しぶりに10台目を跳べないんじゃないか、と思ったほどです。今は悔しさが大きくてよくわかりませんが、冷静になって失敗の原因を考えてみたい。それでも、今日の48秒72は悪いタイムじゃないし、今年はこのバージョンで押して行って大丈夫だと感じました」
レースを見ていて感じたのは、まさに為末の言った通りのこと。5台目以降で外国勢を含め、グングンとリードを奪う様子には力強さがあった。“超前半型”のときも、そのパターンを洗練させるのには何回もレースを経験する必要があった。新バージョンはまだ、1回目なのである。今後の為末が、再上昇カーブを描く可能性は高い。
春季サーキット&国際グランプリ大阪2005
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