2005/7/2 日本インカレ
110 mHは7レーン隈元が初のビッグタイトル
大橋は2台目を倒して3位に 「記録を狙いすぎました」


 男子110 mHは3レーンの大橋祐二(筑波大)が注目された。1週間前の埼玉県選手権で13秒57(−0.2)の学生歴代2位、世界選手権A標準に0.02秒と迫っていた選手。1台目を勢いよくトップで入ったが、2台目を激しくぶつけた。そこで完全にリズムが遅くなり、5レーンの野元秀樹(福岡大)、7レーンの隈元康太(日体大)と混戦に。後半で大橋は明らかに遅れ、外側の隈元が野元に0.02秒先着した。
「スタートがドンピシャで、自分のレーンだけを見て走りました。関東インカレ(14秒07)も、日本選手権(13秒97)も、自己新は外側のレーンだったので、7レーンでラッキーだなと思っていました。優勝なんて、そんな気は全然なくて、大学最後の年なので、3位に入れたらいいと思っていました。自分でもビックリしています」
 宇治山田商高時代、インターハイも国体も決勝に残れなかった。ジュニア選手権7位があるだけで、ベスト記録は14秒52。昨年14秒21まで記録を縮めたが、同学年の大橋や合戸隆(早大)は13秒7台を出していた。「まさか、ここまで2人に近づけるとは思っていなかった」と、優勝したあとでさえ、隈元に2人を“超えた”意識はない。
「冬期にスピードが向上しましたし、踏み切りもしっかりできるようになったのが、好調の要因だと思います。去年までは、身体の軸が弱いせいか、グンっていう踏み切りができませんでした。そこがしっかりできれば、抜けるところは抜けてきます」
 好選手が次々に育っている110 mHに、また1人、注目選手が現れた。

 一方の大橋は、2台目の失敗が全てだった。大橋の特徴は、バーの上をぎりぎりに越えていくハードリング。織田記念の8台目で、大試合では初めて抜き脚をハードルにぶつけたが、今回はお尻をもろにぶつけた。相当に低い高さを跳んでいたようで、「自分も転んでしまうかと思った」と振り返る。
「記録を狙おうと思って、1・2台目を思い切り行きました。中途半端に13秒6台とかを出しても意味がありません。そこを、コントロールできなかった自分の力不足です」
 すでに、A標準突破の内藤真人(ミズノ)と谷川聡(チームミズノアスレティック)が世界選手権代表に決まっている。大橋が追加代表入りするには、A標準の13秒55を突破するしかない。
 埼玉県選手権では僅かの向かい風で13秒5台を出せたし、同じような風ならA標準にも届く感触を得ていた(記事)。しかし、日本インカレの予選・準決勝と向かい風が1.3・2.0m。向かい風1.2mの決勝も含め、3本とも13秒9台にとどまってしまった。
「本当に完璧な動きができないとまだ、13秒55は届かない。でも、チャンスはあると思っています。今日の失敗も、練習で試すことができる部分です」
 1週間後の南部記念に向け、大橋にひるんだ様子はない。


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