2005/12/9 箱根駅伝チームエントリー
順大
は今井&松岡がエントリー
昆明での高地練習も実施

早大注目のルーキー竹沢は2区起用?
「自分の1年時よりも上」と渡辺監督


●順大
 出雲駅伝、全日本大学駅伝と走れなかった今井正人(3年)と松岡佑起(2年)が、チームエントリーには間に合った。「まだ100%じゃありませんが、エースの2人が復調して、やっと戦える戦力になった」と、仲村明監督。
 9月中旬に故障がが発覚した今井が、走り始めたのが10月下旬。チームが全日本大学駅伝で14位と惨敗したチームは、11月中旬の大島合宿で雰囲気がガラリと変わった(詳しくは「箱根駅伝2006」参照)。そこから今井の気持ちも乗って、しかし、練習は「石橋を叩いて」(仲村監督)強度を上げていった。松岡については負荷のかけ方が、今井よりも1週間後れて追いかけている感じだという。

 大島合宿後には約1週間、中国・昆明で高地合宿を行なった。今井、松岡、佐藤秀和、村上康則、井野洋の5人。目的は個々に違うが、今井と松岡については故障からの回復期に、身体的な負荷は小さめでも心肺面の負荷はかけようという意図だ。
 今回の5人はインカレ前などに国内で高地練習をしたこともあり、高地への適性がある選手たち。故障からの回復期に高地トレーニングを活用するのも、岩佐吉章で成功した前例がある。思い切った方法ではあるが、成算がない博打を打ったわけでは決してない。
「いい練習ができたと思います。選手たちの表情も明るかった」

 故障者の回復と関係する部分でもあるが、出雲10位、全日本14位と、ともに同大学過去最低順位だったところから、どのように立て直すか。仲村監督は、会見で次のように話した。
「出場する19チーム全てがライバルです。1つ1つ順位を上げることに貪欲に行きます」
 つねに優勝を目標とし、勝つことによってさらに意欲を高めるのが、トラック&フィールド全般にも言える同大学の特徴である。しかし、今のチーム状況で上だけを見ていたら、足元をすくわれる可能性もあるという考えからだ。
「堅実にやろうと思っています。例えば、総合では下位でも1・2区だけ頑張ったり、復路だけ強かったりするチームもあります。そういったチームと競り合うことになる可能性もある。そのとき、優勝を狙っているのになんで、と思ったらいけない。確実な駅伝をやろうということです」
 順大が大きく崩れる可能性はなくなった。あとは、残りの3週間でどこまで“プラス”部分をつくれるか。

●早大
 早大1年生の竹沢健介の勢いがすごい。5000mで13分45秒95、1万mでは28分37秒75。上尾ハーフでは1時間02分27秒で優勝し、前年にジュニア日本記録で優勝した伊達秀晃(東海大2年)に11秒差をつけた。

 渡辺康幸監督は「何も特別なことはやっていない。元々、強い選手なんです」と繰り返している。素質のある選手を入学させ、その素質を大切に伸ばす。それが、渡辺監督の方針だ(トップ選手以外を伸ばすことの重要性についても、認識している。詳しくは1年前の記事に)。
 特別な負荷をかけていないのに、今季の竹沢はここまで伸びた。高校時代はインターハイ5000m8位だが、W佐藤の陰に隠れてしまった(日本選手では3位)。そのため、今季の成長ぶりが際だつことに。
「ドラフト1位の選手ではありませんが、向こうからの逆指名でした。走るとは思っていましたが、ここまでとは正直、思っていませんでした。上手く巡り会えたな、と思います」

 1年生2区も現実的になってきた。実際、予選会で日本人トップとなったときは、渡辺監督から「竹沢に2区を走らせたい」という言葉も出ている。1年生の2区といえば、渡辺監督自身がそうだった。93年に1時間08分48秒で区間2位(1位はマヤカ=山梨学院大)。1年生の記録としては出色のものだったが、前回の伊達は1時間08分04秒とそれを上回った(区間2位=日本人では1位)。
「僕の大学1年のときより全然強い。2区なら1時間8分台もクリアできる」
 5区の距離が長くなったが、早大としては2区を重視するという。
「2枚あれば一番いいのですが、ウチみたいに予選から出ている大学はどうしても、前の方の流れに乗りたい。5区で十何位からヒト桁に上がるのは、よほど強い選手でもやってみないとわからない部分がある」
 竹沢の2区は決定的といってよさそうだが、「(竹沢には)最終目標が箱根にならないように、と話しています」という。これも、渡辺流の根幹をなす部分である。


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