2003/6/12 世界選手権
追加代表選考は具体的にどう進むのか?
その2 ややこしくなりそうなケースもあるが…
その1 落選したA標準突破者 “2人の陽子”はどうすれば代表となれるのか?
※以下の記事は、陸上競技ファンのために書いたものです。関係者の方で疑問がある方は、しかるべき機関・人物に確認してください。選考基準は日本陸連サイトに掲載されています。
BA標準突破者がいない種目で、B標準突破者が日本選手権に優勝しなかったケース
男子1万mの松宮隆行(コニカ)と坪田智夫(コニカ)と山口洋司(NEC)、110 mHの内藤真人(ミズノ)、走高跳の内田剛弘(福岡大ク)、女子800 mの杉森美保(京セラ)がこのケースに該当する。松宮、内藤、内田は3位以内に入っているので、現在B標準を破っている、いないに関わりなく、選考基準「5」により、今後B標準を突破すれば代表となる。
坪田は4位に入賞しているので、今後、A標準を破れば自動的に代表に。
山口、杉森は日本選手権で入賞していないので、どういう走りをすれば代表入りできるかは、明確な基準はない。「本大会で活躍が期待される」と思ってもらえる走りをするしかない。
今後、新たに標準記録突破者が出なかった場合、上記の日本選手権に敗れたB標準突破選手が選ばれるかどうかは未定。「本大会で活躍が期待される」かどうかにかかってくるのだろう。
C標準記録突破者がいない種目
このケースは比較的簡単。日本選手権の3位以内の選手がB標準を出すか、入賞者がA標準を突破すればいい。複数出た場合、日本選手権の順位を優先するのか、圧倒的にいい記録を出した日本選手権下位選手とするのかが、難しくなる(Dで説明)。
日本選手権で予想以上の健闘をし、B標準に迫ったのが男女800 m。笹野浩志(富士通)は0.55秒、西村美樹(東学大)は0.80秒に。記録狙いで連戦すると、逆に疲労がたまっていくケースもある。試合選択を上手く行い、是非ともB標準を突破して欲しい。
男子やり投の村上幸史(スズキ)も日本選手権では横風に苦しめられたが、調子としては80m80のB標準はいつ投げても不思議ではない。7月の静岡県選手権、南部記念とチャンスもある。
男子走幅跳も誰かしらB標準の8m10を突破して欲しい。87年の第2回大会からの連続代表派遣がかかっているのだ。
女子4×100 mRは、B標準突破者が1人でも出るか、日本記録前後のタイムを出せば派遣が“検討”される(決定ではない)。
D解釈が難しいケース
選考基準に明文化されていないケースや、明文化されているが、解釈が難しい場合がある。
まずは、男子1万m4位入賞の坪田が今後A標準を突破し、別のレースで3位の松宮がB標準を突破するようなケースだ。選考基準は番号の上のものに優先順位がある。ということは「6」に該当する松宮よりも、「5」に該当する坪田が代表ということなのだろう。文章が難解だが、そうとしか読めない。
男子5000mは標準突破者がゼロ(出場意思のない高岡寿成はカウントしない)。2位の瀬戸智弘(カネボウ)が今後A標準を突破し、優勝の徳本一善(日清食品)がB標準しか突破できなかったら、どうなるのだろう。選考基準「2」の「有効期間内にA標準突破者がいない場合の日本選手権優勝者」の“有効期間”は6月8日までとの注釈が付記されているので関係ない。そうすると「3」の規定で優勝者が優先されるのだろうか。だが、「3」が適用された女子20kmWと走高跳は、A標準突破者が日本選手権で入賞もできなかった場合である。ということはやはり、基準「5」のA標準突破者が優先されることになるのだろうか。
女子5000mは小崎まり(ノーリツ)が日本選手権に15分12秒76と、B標準突破の好タイム(日本歴代4位)で優勝。だが、1万mで代表となった福士加代子(ワコール)がA標準突破者で、強化委員長のコメントでは福士を出す意向だ。だが、福士側が1万mに絞ればB標準突破者が1人出られる。当然、小崎に優先権があり、福士は南部記念までに結論を出せばいいということだった。
だが、ここで問題が1つ。小崎は大阪国際女子マラソンの成績(2時間23分30秒・日本人4位)でマラソンの補欠に選ばれている。7月末の判断で、本番への準備が対応できるのかどうか。
追加代表選手は、勝負よりも記録の部分で選ぶことを考慮した選考方法。記録は気象条件にも左右されるし、比較は難しくなる。もう1回選考レースをやればいい、と言う意見もあるだろうが、記録を出さないと本大会に出られないのだから、特に長距離などは記録を出しやすいレースへの出場も必要になる。
という事情で比較が難しくなるケースも増えてくるだろう。選手にとっては人生を左右される部分なので“すっきりした”選考を臨むだろうが、特に長距離種目は選手層も厚く、この段階ですっきりした選考は難しくなる。
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