2003/5/10 大阪国際グランプリ
全体的な記事 後編
男子5000mで高岡が21年ぶりに○○○○○最高
&B標準突破の13分24秒66
徳本は自己新も、惜しくもB標準に届かず


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 トラックでは残念ながら、これという記録は誕生しなかった(それなりのドラマはあったと思うが)。その中では、男子5000mで好記録が誕生した。まずは1000m毎の通過タイムは以下の通り。
1000m 2分39秒
2000m 5分32秒
3000m 8分06秒
4000m 10分51秒
 カリウキ(滋賀学園高)がギタヒ(仙台育英高、現日清食品)の高校国際記録(13分22秒58)を破るかとも思われたが、4000mではちょっと困難になった。世界選手権B標準の13分25秒40を破るには、残り1000mを2分34秒前後でカバーしなければならない。日本人間では高岡寿成(カネボウ)に最も可能性があると思われた。だが、世界選手権に出場しないことを表明している高岡が切っても、あんまり意味はない。
 集団は最後の1周のまで崩れなかったが、それが日本人全体の好記録につながった。バックストレートから猛スパートを見せたチェビ(ケニア)が13分21秒45で優勝。ラスト1周は54秒前後だった。日本の実業団がスカウトするだろうか。
 日本人トップは予想通り、高岡が貫禄を見せた。ラスト400 mを56秒前後でカバーして、13分24秒66。意味のないB標準突破を果たした……と思っていたら、意味は大ありだった。隠れた最高記録を樹立していた。誰も隠していたわけでなく、単にこちらが気づかなかっただけの話だが、13分24秒66は国内日本人最高記録(末續が水戸で出した10秒03と同じ)。あの新宅雅也(エスビー食品)が1982年に出した13分24秒69を、実に21年ぶりに更新したのだ。
 国内で出してなかったの、と言いたくもなるが、際どく0.03秒更新するあたり、さすが高岡である。1万mで日本記録を0.24秒更新したときを上回る快挙だ。史上最高の日本人長距離選手と言われるだけのことはある。その選手のコメントを聞いていない寺田は、記者失格。しかし、これで高岡は1万m(27分49秒89・96年)と合わせ、両種目の国内ベストを長居陸上競技場で出した……ことには気づいた失格記者だった。

 というのも実は、レース直後は、日本人2位の徳本一善(日清食品)がB標準を破った可能性があると判断し、徳本のコメントを聞いていたのだ。結局、13分26秒19と自己新(日本歴代9位)は出したものの、B標準には惜しくも届かなかった。正式記録を聞いた徳本の第一声は「泣き入るなあ」だった。
「でも、ここまでのタイムが出るとは思っていませんでした。13分30秒から35秒の練習だったと思っていましたから。やっと、世界が視野に入りました。あと、もうちょっとですね。東日本は1500mと5000m。ゴールデンゲームズは5000mですが、もしかしたら取りやめて日本選手権に絞るかもしれません。日本選手権は1万m、5000mで、勝つことが大事。今日のタイムが出るなら、1万mでも記録は出ます。日本選手権後にヨーロッパ遠征を予定していますから、そこで記録を出して追加代表になるのが目標です」

 徳本に迫った瀬戸智弘(カネボウ)も初めて13分30秒を切り、13分26秒84の日本歴代13位(徳本とは0.65秒差なのに歴代順位は4つも違う)。岩佐敏弘(大塚製薬)も13分30秒89、尾方剛(中国電力)も13分31秒46と自己新。国内日本人最高という快挙を達成した高岡以外の日本選手全員が、自己記録を更新したわけである。

 全体的な記事の予定が、男子5000mの記事になってしまった。
 その他では、男子100 mで末續慎吾(ミズノ)が向かい風0.3mで10秒16を記録し、モンゴメリー(米)、ジョンソン(豪)に次いで3位。詳しくは陸マガ6月号で。
 男子400 mHの日本人トップは為末大(大阪ガス)で49秒60。千葉佳裕(富士通)が逆転するかと思えたが、粘りきるところはさすがである。
 男子ハンマー投は室伏広治(ミズノ)が82m95の自己3番目の記録で快勝(圧勝か)。この記事も陸マガで。
 女子1500m日本人トップの那須川瑞穂(佐倉アスリートクラブ)は4分16秒24と、僅かに自己記録を更新。女子5000mは大越一恵(ダイハツ)が日本人トップの3位。大平美樹(三井住友海上)が自己2番目の記録で4位、水戸の日本人トップに続いて好走した。
 唯一の日本新は女子400 mHの吉田真希子(FSGカレッジリーグ)だが、これも陸マガで。


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