2003/5/10 大阪国際グランプリ
全体的な記事 前編
男子棒高跳は安田が自己タイで2位
女子走高跳で青山が自己新2位
クゼンコワが国内最高の71m33

 女子400 mH・吉田真希子(FSGカレッジリーグ)の日本新&B標準突破、男子ハンマー投・室伏広治(ミズノ)の日本記録に迫る82m95での優勝、男子5000m・高岡寿成(カネボウ)のB標準突破となる13分24秒66、男子100 m・末續慎吾(ミズノ)の世界記録保持者と0.12秒差の10秒16(−0.3)等々。それなりに盛り上がった大会だったが、春季サーキットが全体としてやや低調だっただけに、正直に言って、もう少し上の盛り上がりを期待していたのが大阪国際グランプリだった。

 トラック種目に先行して始まったのが男子棒高跳、女子ハンマー投、女子走幅跳、女子砲丸投、女子走高跳のフィールド種目。トラックが行われていないとはいえ、さすがにこれだけの種目が重なると、全部を見ることはできない。
 まず、気づいたのが、遠目ではあったが、沢野大地(ニシスポーツ)の好調ぶり。最初の高さの5m30を1回目に余裕を持ってクリア。5m40も1回目。「B標準(5m60)は行くな」と、記者席ではささやかれた。日本人トップは沢野、というニュアンスも言外に込められていたと思う。
 ところが、結局のところ、日本人トップは安田覚(三重教員ク)。5m30は3回目と苦戦したが、5m40を1回目でクリア(このあたりのポールの選択を聞いてみたかった)、5m50の自己タイも1回でクリアし、なんと2位に食い込んだ。エドモントン世界選手権優勝のマルコフ(豪州)を筆頭に、5m70以上の記録を持つ外国勢が、軒並み絶不調だったことが原因だが、静岡国際でも5m50を跳んでいる安田の安定度は、驚異的である。
 沢野はというと、5m50を1回失敗して2回目のクリアだったため、安田に次いで3位。このメンバーの中での3位は悪くないが、世界選手権代表を目指す以上、日本選手間で負けてはダメである。屋外のベストは01年の5m52(学生記録)で、室内では今年3月の5m56。5m50台はこれで、何回目だろう。
「(敗因は)精神面にあります」
 廊下をすれ違いざまに聞いた一言は、2月の日中対抗室内以来、沢野の口から聞かれ続けている言葉だった。

 期待の女子ハンマー投と女子砲丸投は、日本記録保持者の綾真澄(グローバリー)と森千夏(スズキ)が不発。63m99と17m15。昨年のこの時期だったら、パフォーマンス日本歴代2位と日本記録。それが今では“今ひとつ”という印象を持ってしまう。この1年間の2人の成長の裏返しでもある。
 女子ハンマー投のクゼンコワ(ロシア)の優勝記録71m33は、国内最高記録(allcomers record)である。

 種目として“動き”があったのが、女子走幅跳と走高跳の跳躍2種目。
 まずは女子走高跳。今井美希(ミズノ)・ハニカット陽子(ミキハウス)の2強を抑えて日本人トップとなったのは、青山幸(WWA)で1m89と自己記録を1cm更新。日本歴代順位は7位のままだが、これで日本選手権でも2強と対峙する態勢が整った。B標準の1m92を跳んだら、代表争いはどう転んで行くかわからない。
 女子走幅跳では昨年来、日本選手間で無敗の花岡麻帆(Office24)が、あわやという窮地に陥った。5回目まで花岡と池田久美子(スズキ)が6m42で並んでいたが、6回目に池田が6m43(±0)と02年&03年では最高記録をジャンプ。花岡を追い込んだが、花岡は6m54(+0.9)と踏みとどまった。
 池田は「なかなかラスト4歩が刻めません」と、水戸でも課題となっていた点がまだ、解決できていなかった。ただ、走れているのは確かで「今、何かを変えなければいけないときで、試行錯誤しながらやっています。今までは(練習では)走るのが主でしたが、今は技術練習と2つで1つという風に考えています」と、新たな段階に入ったことを説明した。
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