2003/6/8 日本選手権
最終日全種目の懺悔とちょと戦評。一部は記事に近いか? 男子トラック
100 mの評価の仕方と
日本歴代5位&B標準に迫った800 m
男子100 m
末續慎吾(ミズノ)の優勝は的中。24年ぶりの男子100 m・200 mの2冠を達成した。WEB版種目別注目ポイントには「2位争いとなるか、3位争いとなるか」と書いたが、2位には朝原宣治(大阪ガス)が抜け出した。
「?」付きながら3位候補筆頭として挙げた土江寛裕(富士通)が、3位から8位までが0.07秒差の混戦を制した。日本人トップとなった織田記念のとき
「これまで色んなレースを経験していますから、どんなレースも予測の範囲内で対応できます。頭が真っ白になって、わけがわからなくなることはなくなりましたね。1歩1歩が確実に走れるんです。そこが、ただガムシャラに走っている選手に勝てる部分じゃないでしょうか」
と話していた。今回もそうだったのかと想像したが、「今日はダメでした」とのこと。“おいおい、話が違うぞ”と言いたくなったが(実際に言ってしまったような記憶も…)、ということは、本来の走りができなくてもこの結果を出せるということ。今後を期待してよさそうだ。6月末には大阪府選手権でA標準突破を狙う。
だが、末續も朝原も、本来の走りとは言えなかっただろう。予選で10秒22(+1.6)とA標準に0.01秒と迫った菅野優太(下総町役場)も、10秒39(+0.1)の4位は不本意だったのではないか。5位の宮田貴志(福島大TC)も10秒40と自己記録に0.03秒と迫ったが、おやじの時々日記によれば「完全なら末續君の次には来られた」とのこと。6位の絶好調男・田村和宏(セコム上信越)、7位のシドニー五輪代表・川畑伸吾(群馬綜合ガードシステム)、8位の昆貴之(三洋信販)らも、自己記録に迫っているとは言えなかった。
とどのつまり、全員が力を出し切れないなかで、相対的に力のあった選手から順番がついたというレースだった。そういえば200 mも、優勝した末續以外はどこか、代表争いを意識して硬くなっていたような気がする。2位の松田亮(広島経大ク)から7位の大前祐介(早大)までが、0.08秒差という200 mとは思えない僅差だったのだ。それがまた、面白いのであるが。
男子400 m
最も優勝者予想が難しい種目と書いたが、終わってみれば、佐藤光浩(仙台大)がA標準を予選で突破して、この日の決勝でも快勝。個人種目でも内定した。今季29歳になる小坂田淳(大阪ガス)と田端健児(ミズノ)が2・3位・アトランタ&シドニー両五輪代表のベテランコンビが、確実に4×400 mRメンバー入り。当然、2人は個人種目での出場も目標とすることを、改めて明言した。
2人と同様、シドニー五輪代表だった山村貴彦(富士通)を、鉛筆を転がして優勝予想者としたが予選でいっぱいいっぱいとなり、決勝は最下位。
関東インカレでコール漏れの大失態を演じた山口有希(東海大)が4位となり(予選で45秒98)、翌日差発表された4×400 mR代表に名前を連ねた。現時点では日本選手団最年少選手となりそう。
男子800 m
優勝者予想は笹野浩志(富士通)で的中したが、タイムがここまでいいとは、正直、驚かされた。1周目を菅野篤史(自体学)が51秒8で引っ張ったのは、ラストに強い笹野を潰すためだったのだろうか? 真意は不明だが、笹野は潰れずに、逆に自分のペースとしてしまった。
1分47秒55は日本歴代5位で、気づいたらB標準の1分47秒00にも迫っていた。1997年以降、つまりこの6年間で最高記録だった。1分48秒台を飛び越えて、1分47秒台に入ってきた。2位の鈴木尚人(自体学)、3位の中野将春(大塚製薬)も1分48秒台の自己新(中野は2回目の48秒台)。それにしても、記録がいつ出るのか、何年陸上競技を見ていても予測がつかない(予測できるときもあるが)。今年の男子800
mに、記録が出る雰囲気は感じられなかったのだが…。木路コーチは予測していたのだろうか? WEB版種目別注目ポイントには「記録的には望み薄か(などと書かれないような、選手の奮起を期待したい)。」と書いたが、カッコ書きを付け加えておいて良かったな、と。
男子5000m
世界選手権に出ないことを表明している高岡寿成(カネボウ)が14分01秒08もかかり、優勝者予想は外れ。大阪グランプリで13分20秒台に入っていた徳本一善(日清食品)・瀬戸智弘(カネボウ)がワンツー。3位はゴールデンゲームズ日本人1位の小川博之(日清食品)かと思ったが、3戦連続して自己記録を更新する力がまだ付いていなかった。水戸国際5000mと東日本実業団1万mで日本人トップの石川末広(ホンダ)が3位と、順当な顔ぶれだった。
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