2002/12/10 箱根駅伝チームエントリー
日本インカレ1万m優勝者の戦線離脱にも
駒大、動じる気配なし
注目は1年生が何人メンバー入りするか

全チームのエントリー選手は西條さんサイトで

 かつて、日本インカレ1万m優勝者が故障でメンバー入りできなくて、泰然としていられるチームがあっただろうか。普通のチームだったら、危機的状況となるはずだ。ところが駒大は違った。高岡公新監督は次のように語っている。
「それほど痛手というわけじゃありません。松村はトラックタイプ。15〜16kmまでは強いんですけど、それ以降となると…。揖斐(祐治・現エスビー食品)もそうでしたけど、2区や9区を走れる選手ではありません」
 と言うものの、松村を重要な戦力と考えていたのも事実。
「出雲の2区(5.8km)、全日本の4区(14.0km)、箱根だったら7区(21.2km)を考えていました。7区は“復路の2区”という考え方です。1区でいい流れができたらそれを継続させ、1区が悪かったらそれを立て直す重要な区間。(地形的に)走りやすい区間ですが、スピードが要求されます」
 その選手を欠きながら、「痛手じゃない」とコメントできる選手層は、今さらではあるが驚異的だ。駒大は、動じてはいない。
 だが、絶対に2連覇できる、という過信も持っていない。だからこそ、準備には細心の注意を怠らない。
「前回の優勝タイムが11時間5分台(11.05.35.)でしたが、今回は11時間8〜9分台くらいにしかなりません。2・4・9区に登り下り、それらをイメージして計算していくと、前回のタイムは出せないだろうと思います。あとは相手次第、そして“流れ”ですね。
 前回、往路で2区だったウチがあれだけ走れたのは、(往路優勝の)神奈川大6区の選手が区間13位だったことが大きかったと思います。それで、吉田(繁)がたまたま、前に行くことができ、ウチの流れができたんです(59分21秒=区間2位)。前にいたのが金子君(宣隆・大東大→富士通)だったら、その流れはできなかったでしょう。
 抜かれたときの精神的な部分が、レースの流れを左右します。だから、ウチではイメージを書きなさい、と言っています。レース展開がどうなるか、メンバーを見て、イメージさせます。抜かれた相手が(1万m)28分30秒の選手なのか、29分30秒の選手なのか。そういったところまで、考えておきます」
 松村が起用できなくても、駒大の選手層の厚さは万人の認めるところ。前回も、松村と内田直将の28分ランナー2人を欠きながら、2位・順大に約4分差をつけたのである。ただ、今回のメンバーを見てやや驚かされたのは、その学年構成だ。4年生3人(布施知進も外れた)、3年生3人、2年生3人で、1年生がなんと7人もエントリーされた(2〜4年生9人のうち8人が箱根経験者)。
「1年生が1人、佐藤(慎吾)以外にも出てきました」
 高岡監督の言う“1人”は1万mのタイムから推測すると、29分10秒05の糟谷悟の可能性が高いが、“山要員”だとしたら、そうと決めつけるのは早計だ。実際に出場する1年生は1人か2人だろうが、記者発表会場にいたOBの揖斐は「強い1年生なら、伸びてくる時期なんです」と、勢いを裏付けるような発言。田中宏樹、塩川雄也、太田貴之の2年生が伸びているのは、全日本大学駅伝で実証済み。箱根では、往路に島村清孝、布施、松下龍治と1年生3人を起用して総合優勝した、“3年前”の再現もあり得るということだろうか。
 箱根駅伝の大会記録11時間03分17秒は、その3年前、駒大が初優勝時に記録した。1年生の力が本番で伸びたとき、3年前の記録を破る可能性も出てくる。それが実現すれば、松下ら3年前の1年生は、3回目の優勝を経験する。


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