2002/12/21 神奈川大公開練習
次期キャプテン下里が
大後監督をライバル視する理由は?

「生涯のライバルは大後栄治監督、をモットーに練習に励む」という記述に、目が吸い付けられた。陸上競技マガジン増刊の名鑑で下里和義の欄を見たときのことだ。下里は2位となった出雲駅伝2区で区間賞と快走し、トップに躍り出た3年生。往路優勝した前回の箱根でも、3区で区間3位と好走しチームを2位に押し上げた。次期キャプテンにも決まっているという。文字通り、チームの中心選手だ。そんな選手が、指導者をライバル視するというのはいったい、どういったことなのだろう。
 その点を質問すると下里は、特に変わっていることを説明する、という素振りもなく、普通に話し出した。
「以前から大後さんが、性格的に“オマエはオレに似ている”と言うんです。競技面だけでなく、恋愛観なんかも話が合いますね。でも、必ずしも意見が同じというわけではないんです。性格的に似ていても考え方が食い違って、それを討論することができるからライバルなんです。
 例えば練習で、“オマエは今、こういう気持ちでやっているだろう”と言われても“そんなに意気込んではやっていません”と、自分の意見を言うことができる。普通の指導者だったら、“そうですか”と引き下がるしかないのでしょうが、その辺を突き詰めて話し合えるんです。話し合うのが楽しいんですよ。他の選手の状態も率直に言えるし、そういうことで(次の)キャプテンを任せられたんだと思います」
 選手に自分の意見を押しつけるのでなく、お互いに理解した上でトレーニングやチーム運営に当たる考え方が、よく表れているエピソードではないだろうか。しかし、単なる馴れ合いの関係でないことは、大後監督のコメントからよくわかる。
「(下里は)カッコつけたがりの目立ち屋ですね。周りからどう見られるか、という部分と、自分がどうなんだ、という部分を使い分けられれば、いいキャプテンになると思います。来年はチームとしての完成年度でもあり、大変な時期です。リーダーシップをキチッと発揮してもらいたい」
 現3年生に有望選手が多いだけに、下里に求められるものは否が応でも高くなる。


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