2002/11/3 全日本大学駅伝
駒大、不安を払拭する4回目のV
2年生にエース候補誕生


 駒大の大八木弘明助監督は、4区・田中宏樹と6区・塩川雄也の2年生2人に期待していた。特に、今大会の流れを決定づける重要区間として、4区を考えていた。昨年は、4年生のエース・神屋伸行を起用して、駒大への流れを盤石にした区間なのだ。大八木助監督も前日の取材で「ポイントは4区」と繰り返していた。
「自分でも、どう見ても4区がポイントだと感じていました。自分がキーマンになると。それを(プレッシャーにしないで)力に変えました」
 4区の田中は冷静に受け止めたというか、自分を見失ったり、大役の重圧に押しつぶされることがなかった。
「焦っても仕方ない。自分の感覚で走ろうと思いました。走り始めは追いつけるかどうか不安でしたが、4〜5km付近で2位くらいまでは上がれるかなと。そうしたら、追いつくことができました」
 5〜6秒先に中継所を出た順大と早大を2km過ぎにかわすと、大八木コーチの檄を受け、5km過ぎには東洋大を、そして残り1kmを切って日大もかわし、2位にまで進出した。トップを行く山梨学大までは届かなかったが、5区への中継では1分39秒あった差を48秒にまで縮めた。
「自分でトップに出るのは無理でしたが、残り5・6・7区とありました。そこに望みがつながるような走りを、自分のところでしておきたかった。それは、できたと思います」
 駒大は5区で日大に抜かれたものの、山梨学大との差を詰め、6区の2年生・塩川雄也が区間賞の走りでトップに進出。7区・3年生の北浦政史も区間賞の走りで山梨学大との差を2分01秒と広げ、アンカーに安全圏ともいえる貯金を作ってタスキを渡した。
「7区の北浦があそこまで走ってくれたのがありがたかった」
 大八木助監督が絶賛するほどの、北浦の走りだったのだ。
 ところで、今大会のことだけでなく、今後のことを見通して、大八木助監督はレース前日、こんなことも言っていた。
「来年は松下(龍治)や島村(清孝)がいなくなる。そろそろ2年生が上がってこないと、来年からの駒沢は落ちてしまいます。2年生に頑張ってもらうしかない」
 区間賞こそバイ(第一工大)に譲ったが、田中の走りはその期待に応えるものだった。
「3区で離されたときは、今年は厳しいかな、と思いましたが、田中のところで流れを戻してくれました。今回は3年生と2年生がよく頑張った。2年生に柱となる選手が育ってくれたことがありがたい」
 駒大が来年以降も、学生駅伝のトップレベルを維持する要素が、確実に生まれた大会だった。


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