2001/10/17 国体4日目ダイジェスト
内藤が13秒50の日本新
佐藤は2日連続の中学新
天皇杯、静岡と埼玉の決着は最終日まで持ち越し

 全国的に雨だった一日、利府町は曇り空におおわれたものの、雨は落ちてこなかった。それが幸いし、好記録が続いた。

 最初のトラック決勝種目は成年女子800 m。上位3人が興味深い顔ぶれだったので、別立て記事に。
 成年女子5000mは秋に入って1万m、3000mで相次いでジュニア日本新をマークしている福士加代子(京都・ワコール)が200 mを33秒3、400 mを1分08秒8、1000mを2分58秒6の驚異的なハイペースで入った。これも、別立てでペース分析表を紹介する予定。

 続いて、少年種目の決勝が次々に行われていったが、白眉は成年男子110 mH。春先のレースではスタートで遅れることが多かった内藤真人(愛知・法大)が、抜群のスタートを切った。どんどん差を広げて、別格の強さを見せた。フィニッシュ・タイマーは13.51でとまり、風は+0.1がすぐに表示され、日本新は間違いなかった。
 正式計時は13秒50。法大関係者としては、今季、為末大に続いて2人目の日本新(つまりハードル種目の日本記録を独占したことになる)。愛知県関係選手としては、室伏広治(ミズノ)、三宅貴子(ミキハウス)、今井美希(ミズノ)に続いての日本新。
 レース後に話を聞くと、やはりスタートを改善していた。詳細は、後日記事にする予定。まずは写真(右は苅部俊二コーチ)を紹介。



 投てきは成年女子円盤投と同男子やり投が行われた。女子円盤投は、中西美代子(富山・ミキハウス)と室伏由佳(ミズノ)の2強が敗れた全日本実業団の再現はならず、中西が54m49とまずまずの記録で優勝。男子やり投は日本インカレで80mスローワーとなった村上幸史(日大)が76m04で順当勝ち。2種目とも波乱はなかった。

 跳躍は成年女子走高跳と同男子走幅跳。女子走高跳は今井美希(ミズノ)と太田陽子(ミキハウスの2強がエントリーせず、今季、国内3番手を確保している岩切麻衣湖(愛知・プレジャー企画)が1m80で優勝。
 走幅跳は稲富一成(千葉・富士通)が7m76で、渡辺容史(愛媛・筑波大)を1cm差で抑えた。しかし、渡辺は自己記録を5cm更新。本職の三段跳で筑波大の後輩に敗れた日本インカレから2週間、「ようやく助走が、関東インカレのよかった頃に戻った」と、表情は明るい。
 関東インカレは三段跳で16m67の学生歴代2位タイをマーク。昨年、日本人2人目の17mジャンパーとなった筑波大の先輩、杉林孝法(ミキハウス)の学生時代の記録を更新した記念すべき大会だった。今回走幅跳でも、その杉林の学生時代の記録に並んだことになる。だが、筑波大は走幅跳の好選手を多く輩出していて、7m75は筑波大歴代5位でしかない。

 トラックでは少年種目もかなりの盛り上がりを見せた。少年共通女子3000mでは池田恵美(京都・立命館宇治高)がインターハイに続いて宗由香利(宮崎・聖心ウルスラ高)を抑えた(インターハイでは2、3位)。池田の優勝記録9分03秒45は京都の先輩、早狩実紀(KIコーポレーション)の9分03秒76が11(当時高校記録)を抜いて歴代6位に進出。立命館宇治高の先輩、阪田直子(立命大)の持つ高校記録(8分56秒49)までは考えていなかったという。

 この日の女子少年B2種目(400 m&100 mH)では、ともに埼玉勢が優勝。しかし、静岡勢も両種目で2位に入った。その結果、天皇杯の得点争いが俄然面白くなった。成年男子走幅跳で前田裕扶(静岡陸協)が悪いながらも7位に踏みとどまり、成年女子円盤投では大会最年長と思われる36歳、影山富子(スズキ)が4位入賞ことも大きかった。
 だが、少年B男子3000mでは中学生の佐藤悠基(清水南中)が8分24秒24の中学新で3位と、少年B選手の活躍が目立った。
 最終日の4種目を残し、皇后杯は大差で埼玉の優勝が決まったが、男女総合の天皇杯は静岡が埼玉を5.5点リード。最終日は男女の4×100 mRと、成年男子800 mと少年A男子5000m。男子4×100 mRは埼玉が決勝に残り3〜5点の得点が予想されるのに対し、静岡は決勝に残れなかった。女子4×100 mRは埼玉が優勝候補筆頭だが、静岡も2〜3位には入ってきそう。静岡リードだが、埼玉優位は動かない。ただし、成年男子800mで藤田真之介(スズキ)が、埼玉の森祥紀(自体学)に差をつけるようだと、静岡にも可能性が出てくる。