2001/5/29
日本選手権記者発表で気になった“派遣枠”
日本選手権に関する記者発表で、派遣選手数についての質問が出た際に桜井専務理事は「40人前後になるのでは」と、回答した。その場ではとっさに気づかなかったが、標準突破者を中心に代表になりそうな選手を数えてみると、この人数はちょっと少ないように感じた。
すでにマラソン男女10代表が決まっていて、男女1万mはフルエントリー、リレーも男子両リレーと女子4×400 mRは決定的で、リレー要員は5人とのこと。それだけで31人。残り約10人に男子5000m、110 mH、400 mH、競歩、走高跳、棒高跳、走幅跳、三段跳、ハンマー投、女子100 m、5000m、100 mH、競歩、走高跳、棒高跳、やり投が標準記録を突破済みなのだ。40人では、とても足りない計算になる。
もっとも、この40人という数字は何も、決定しているわけではない。オリンピックと違い、JOCとの枠の取り決めもしなくていい。桜井理事は「今回は3年後のアテネ五輪に向けて、多くの選手に経験をつませたい」とも明言しており、結果的には、40人どころか50人に前後の派遣になるのではないか。そう願いたい。
元々、標準記録制の種目に、派遣枠があること自体が、おかしい現象だ。オリンピックの参加標準記録を突破したということは、選手が努力をして、参加するにふさわしいレベルに達したということに他ならない。チームスポーツでいうなら、予選を突破したのと同じことなのだ。「予算がないのなら、自費でも参加したい」という声は、頻繁に聞く。
“派遣枠”という考え方自体、陸上選手の間違った評価につながるもと、のように思う。枠を制限することで、選手に危機感を持たせる(それによって選考会を盛り上げる)意味合いもあるのかもしれないが、その考え方にはあまり賛成できない。それをするなら、世界選手権本番の成績で、強化競技者ランクを現行以上に大きく変更するという方が、信賞必罰という形でいいのではないか。
社会的・組織的な事情もあるのだろうが、ここはぜひ、選手本位の考え方を採用してほしい。
世界選手権代表選考基準