2001/3/20
一般種目でもマラソン同様に
世界選手権代表選考基準が決定
桜井専務理事との質疑応答を全て掲載
以下は陸連発表の原文。
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※選考基準は優先順位の高い順に列挙されている。
選考は優先順位の高い順に決定され、同一種目では優先順位は覆らないものとする。
1.有効期限内に参加標準記録Aを突破し、第85回日本陸上競技選手権大会で優勝した競技者を代表選手とする。
2.有効期限内に参加標準記録Aを突破し、第3回東アジア競技会で優勝し、第85回日本陸上競技選手権大会で3位以内の競技者を代表選手とする。
3.日本グランプリシリーズ等の選考競技会で参加標準記録Aを突破し、第85回日本陸上競技選手権大会、3位以内の競技者を代表選手とする。
4.上記1〜3以外の代表選手は、13年6月の理事会・評議員会で参加標準記録AおよびBの突破者の中から選考されるものとする。
5.競歩種目については、選考競技会の一部はすでに終了しているので、平成13年6月の理事会・評議員会で選考基準、代表選手が決定されるものとする。
※代表選手選考に当たっては、第85回日本陸上競技選手権大会の順位は日本人選手のみの順位で考慮するものとする。
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以下は、桜井孝次専務理事の説明と質疑応答。
「4月から始まるアウトドアのシーズンで、世界選手権の代表が争われます。6月初旬に行われる日本選手権が最終選考会となります。今回マラソンの代表を選考するに当たって、一定の基準を設けて選手に伝えたところ、それが比較的よい形で受け入れられたのではないかと思います。各大会ともかなり収穫のある大会になりました。そういう意味で、一般種目でも選手に具体的な目標を与えて、日本選手権で争ってほしいということから、一般種目についても選考基準を設けました。
(中略=上記の文章の説明)
標準記録の適用期限は昨年からとなっていますが、直近の大会でAを突破することについて評価をしたい。これから行われるアウトドアの選考会でAを突破することが1つの目標となって、サーキットの大会も活性化するのではないかということも含めまして、直近の大会での力を出し、日本選手権で3位以内の選手を代表とするということで、以上3つの基準を設けました。代表選手の選考は6月の日本選手権のあと、理事会・評議員会で審議されて最終的に決定しますが、1、2、3の条件にあった選手については、大会のときに内定ということに、それ以外の選手については、6月の理事会・評議員会の前に選考の会議を開き、決めたいと思います。
なお、Aの突破者がいない種目でのBの突破者について、いい成績を挙げたものについては、選考に加える方向でやりたいと強化の方から申し出がありまして、B突破者についても派遣の枠として検討したいと思います。種目によってかなりレベルの差があったりしますので、選考会でBを突破した選手が全部出られるということではありませんが、例えば中距離種目などは、Aを突破することよりもBを突破することすらも非常に難しい条件が設定されています。その種目の育成、あるいは本人の育成を考慮したときに派遣が必要だというものについては、そういう中に含めて考えたいと思います」
Q.岡本幸子選手が東アジア大会の1万mの代表にもなっていますが。
A.監督に確認しまして、1万mにも出場する形で、マラソンはマラソンの練習をきちっとやって、トラックのスピード練習も含めた形で東アジア大会に臨みたいということでした。監督も本人に確認された形だと思います。両方の代表ということです。
Q.世界的にも戦える力のある選手が、故障とかで日本選手権を欠場した場合、不利になりますか?
A.本番が8月の初めに行われます。日本選手権に故障で出られないような選手では、その回復が望めないと判断しますので、日本選手権で戦える選手の中から選びたいと思います。
Q.3番目で「日本グランプリシリーズ等」とありますが、この「等」というのは、どこまで含むのですか。
A.世界選手権は選考競技会を決めています。具体的には4月22日から始まる神戸、前橋、広島、静岡、水戸、あとは大阪GP、東アジア大会、そういうものが選考会になっている。その他の大会でいい成績を挙げたものは除外します。選考会でこういう成績を挙げた、ということを評価したい。もちろん、選考会以外でA突破をした場合、1番とか2番の項目には関わってきます、有効期限内ですから。
Q.最終的にB標準突破者が2名だった種目は、この選考基準のような優先順位で(1名が)決まると考えていいのでしょうか。
A.日本選手権の上位に入った選手が選ばれる可能性が高いと思います。
Q.決まっているわけではないのですか?
A.基準は3つだけ設けましたので、基準外の選手については選考の会議で選ぶと。
Q.具体的に言うと、女子走高跳の太田さんと今井さんが2人とも、まだBしか突破していなくて、明確な基準がないといざというときに迷うのでは?
A.この基準にありますように、日本選手権の成績はやはり直近の大会として一番重視するべきだと思いますので、たぶん勝った方が選ばれる可能性が高いと思います。
Q.先ほど、日本選手権欠場の話は出ましたが、出場したけれども、例えば(実績のある選手が)ハードル等を引っかける等の原因で敗れ、A標準突破者が上位3人に入った場合は、やはり日本選手権の結果を重視ですか。
A.この基準に沿った選手が3名いたという場合には、外れることになります。
Q.それまで一番高い実績を挙げていたとしても…。
A.基準を設けて選考する方向を打ち出していますので、その基準に沿わない選手については、少なくともこれで3名が入ってしまったら、選ばれる形にはなりません。条件に入った選手が2人で、それでもう1人枠がある場合、4位の選手が選ばれる可能性がないとはいえません。3人が条件に入った場合には、その入った選手を除いて選ぶということはあり得ません。
Q.現実味は薄いと思いますが、A標準を超えてるけれども出場したレースが全部追い風参考で公認がない場合、リレーのメンバーに選ばれる可能性は?
A.リレーについては、特殊性を考慮した形で、リレーで勝つためにはどういうメンバーを選ぶかということは、別途、考えます。これ(基準)は、個人種目の選考についての考え方です。
Q.A標準突破者が3人いても、必ず3人選ぶというわけではないわけですよね。
A.そうです。
Q.その場合、この優先順位の1、2、3の順番で取っていくのであって、1と3を取ることはないわけですよね。
A.いえ、代表に選ばれることに変わりありません。ですから、優先順位ということはあっても、1番(の条件)で入っても3番(の条件)で入っても、代表選手になることに変わりはありませんので、順位をつけてはありますが、1番で選ばれても、3番で選ばれても代表になることは同じです。
Q.女子のリレーですが、春先の試合はインターハイの予選などに出ていて日本選手権に出られない選手もけっこういると思うのですが、そういう選手でインターハイの予選などでいい記録を出した場合、リレー要員として拾い上げることを考慮されるのですか。
A.それはあり得ます。リレーに関しては別途、選ぶということで。選考会にまったく出ないとちょっと、対象として不利な条件になりますけど、リレーでどうしても必要だと評価されれば、4番の形の中で入る可能性はゼロではないです。ただ、実際にはジュニアの大会でいい成績を挙げても、一般の人と競技をしたときにその力が出せなければ、オリンピックあるいは世界選手権で戦えないわけですから、○○(ここだけ聞き取れませんでした)の大会で記録だけがよくても、それだけで選ばれることはありません。
Q.逆に強化の方から、インターハイ路線でいい記録を出している選手に、日本選手権に出てくれと要請することは?
A.いえ、日本選手権は本人の意思で出てもらいます。こちらから、選考のために出てくださいと言うことは、ありません。選手が自分のコンディションで出るのが原則ですから…
Q.以前、リレーのためだけに標準記録の突破会を開催しましたが。
A.春季サーキットのなかでも、リレー種目を入れてもらう形で、準備しております。リレーについてはスタンダード(標準記録)がないんですね。男子がかなり世界レベルにあるのに比べ、女子はアジアの中でもレベルが低い。男子はこれまで必ず、世界大会にに参加していた。それが1つの糧になって力が付いてきたという面があると思うんです。そういうチャンスがなかったことが、女子の今の力が弱冠低迷している原因の1つかもしれないと。今回も女子の4×100 mRについてはタイムを設定しました。44秒0をクリアすること。これは日本記録を上回っています。4×400 mRについては、3分34秒という標準記録を設定しました。合宿に私も参加して、単独種目ではなかなか難しいのが現状ですから、とにかくリレーで頑張りなさいと、リレーでみんなで頑張って行くことが、女子の競技力向上に大きく貢献するから、だから、リレーでみんなで頑張って、いい成績を挙げなさいとは伝えてあります。
Q.南部記念で好記録を出した選手を、追加するということは?
A.ありません。日本選手権で(最後です)。
Q.これは、次のアテネ五輪に向けても、基本的にはこの方向でやっていくということでしょうか。
A.今回は、こういうことに決めました。マラソンについても、1つの試みという形でやりました。エドモントンが終わった段階で、マラソンも一般種目も、こういう設定の仕方で問題がなかったか関係者で話し合いをして、選考基準をどういうふうにしていくか、方向を決めていきたいと思います。これをやった形の中で、有力な選手で故障はかなり治ってきてるけど、6月初めの大会には間に合わなかった選手がいたですとか、いろいろ出てくるとは思います。ただ、今回についてはこういう形で、できるだけ選考の基準をきちっと選手に伝えて、1つの目標として設定することが、選手にも監督・コーチにも、かなりインセンシティブ(目に見えない)な効果があると思いました。事前に決めることは色々問題点があることも承知しておりますが。