2001/5/19 関東インカレ
東海大が38秒90の学生新!!

早大の連勝街道
(過去3年間の一覧表)にストップ
シドニー五輪代表同士 
小島と末續の4×100 mRドラマ


 1部4×100 mRは、バトンが進むにつれ、早大vs.東海大の2強対決の様相を見せ始めた。最後のバトンパス、4走は早大が一呼吸早くスタートを切った――。

 早大アンカーはシドニー五輪代表の小島茂之(4年)。対する東海大も同代表の末續慎吾(3年)。昨年は末續慎吾(東海大3)がナショナルチームの編成も考慮してか、チームの3走を務めていたため、この2人のリレーでの直接対決は見られなかった。
 シドニー五輪の宿舎でこの2人は同室。4×100 mR決勝では3走の末續が、走り出してから肉離れを起こすアクシンデント。末續は脚を引きずりながらも4走の朝原宣治(大阪ガス)にバトンを渡し、日本は6位に入賞した。レース後、自分のケガがなかったらもっと上の順位も可能だった、と落ち込む末續を、1学年上の小島(1走)が肩を抱いて慰めるシーンが印象的だった。

 昨年はシドニー五輪が陸上シーンのハイライトだったため、チームメイトという印象の強い2人だが、ナショナルチームを離れれば、ともに短距離の強豪大学の看板を背負い、インカレではライバルとなる。これはチーム競技のサッカーでも、個人競技のテニスでも、どんな競技でも同じだろう。ましてや、早大は小島が入学した98年から、関東インカレ、日本インカレ、日本選手権リレーの主要3大会で負け知らず(表参照)。その間、ライバルチームの末續は、悔しい思いをしていたわけである。

 今大会時点の状態は、100 mで準決勝落ちした小島がいまひとつ。4月19日に右ヒザ裏を、5月1日には右大腿裏を「ピリっと」やってしまったのだ。一時はこの大会の欠場も考えたといい、スパイクを履いたのはレース1週間前だった。
 対する末續は今季100 m・200 mとも日本選手間で無敗。しかし、小島は昨年の日本インカレで、かなりの差(3〜5mくらい)のあった東海大を大逆転した実績がある。その走りの印象が強いせいもあり、小島がアンカーならすごい走りをするのではないか、という思いが過ぎる。4走・小島が一瞬早くスタートした時点で、ものすごいアンカー決戦が展開されるものと思われた。ところが――。

 先にスタートした小島が、スピードを緩めた。パスミスだ。対する東海大は、スムーズに末續にバトンが渡った。末續が一気にリードした。小島は減速からすぐに立て直せず、日大にも抜かれそうな感じだったが、さすがに終盤は持ち直し、終盤は末續と遜色ない走りを見せた。
 だが、勝負は早大がミスをした時点で決していた。東海大が38秒90と、早大が昨年の日本インカレでマークした学生記録を0.01秒更新して4年ぶりに関東の覇権を握った。早大は39秒21。3位の日大も39秒38の好タイム。91年に日大が39秒35の学生新を出したことがある。100 mの日本記録保持者2人(電気と手動)と前日本記録保持者、200 mの学生記録保持者という超豪華メンバーで、この学生記録は当分破られないものと思われた。今大会の日大は、1走に走幅跳の寺野伸一、3走は400 mの山村貴彦。この2人のスプリント能力が高いということだが、それにしても学生短距離のレベル向上は隔世の感がある。

 レース後の末續は、機嫌の悪いはずがない。
「これまで早稲田に負けっ放しでしたが、僕らもここまで(力を付けて)きたら、負けるわけにはいかなっかたです。去年もここで、僕らは悔しい思いをしています。絶対に勝ってやる、と思っていました。そうしたら珍しく早稲田が(バトンパスでスピードを)落としたので…。僕的には走りが硬かったと思いますが、今回ばかりは思いっきりフィニッシュしました。ガッツポーズまでしちゃって、正式計時が92だったらやばかったですね」
 対する小島は、当然のことだが、声のトーンが低い。
「パスの練習では、32足でピッタリでした。(レースは3走の)大前のところが追い風だったので、32足半にしたんです。(ミスの原因は)僕が練習より動けていたこと。自分の状態がわからなかった、自分が悪いんです。僕さえ普通にバトンを受けていれば、勝負ができていたはずです。(予想以上に動けたのは)日本選手権に向けては明るい材料ですが…。リレーで負けたのは入学して初めてです。次からは貪欲に勝ちにいって、全カレは必ず勝ちます」

 今回、早大は穴井伸也(2年)や北村和也(1年)といった中・高時代に華々しい実績ある選手でなく、安川嘉亮(3年)を起用した。高校(西大和学園)時代は100 m10秒9台の選手で一般入試。今季、10秒57まで記録を伸ばしてきた選手だ。
 小島と末續というエース対決はもちろんのこと、チームの対決ということになると、こういった選手の成長、動向にも注目したい。

早大4×100 mR連勝の足跡
順位 記録 1走 2走 3走 4走 備考 2位(1位)チーム 記録 1走 2走 3走 4走
1998 関東インカレ 1 39.42 中川 馬塚 田村 高橋 予選39.25=学生新 順大 39.93
日本インカレ 1 39.37 小島 馬塚 中川 高橋 予選39.37=大会新 順大 39.54
日本選手権 1 39.47 小島 馬塚 高橋 中川 順大 39.74
1999 関東インカレ 1 38.97 鍛冶 新田 中川 小島 学生新 東海大 39.28 土田 奥迫 末續 宮崎
日本インカレ 1 39.78 鍛冶 小島 田村 中川 日大 40.30
日本選手権 1 39.25 佐藤 小島 田村 中川 大会新 城山観光 39.45
2000 関東インカレ 1 39.35 佐藤 中川 田村 小島 東海大 39.83 土田 宮崎 末續 藤本
日本インカレ 1 38.91 穴井 中川 田村 小島 学生新 東海大 39.04 堀下 藤本 末續 宮崎
日本選手権 1 39.43 佐藤 中川 田村 小島 スズキ 40.20
2001 関東インカレ 2 39.21 安川 中川 大前 小島 東海大 38.90
学生新
藤本 宮崎 奥迫 末續