緊急記者会見の模様を100%再現
伊東浩司が4月から甲南大専任講師に!!
今年中には結婚も
伊東浩司の世界選手権&オリンピック全成績
昨年の12月に話が具体化
◎木内敏夫・富士通監督 一昨日、甲南大学さんが富士通本社に来られ、3月31日退社、4月1日から甲南大の保健体育研究室に所属して、一般体育の教職員、専任講師として採用してもらうことで合意しました。
陸上競技(引退)云々と何社かが記事にしましたが、アマチュアに引退ということはありませんので。シドニー五輪までしゃかりきになってやらせてもらって、それは(その流れは)変わることはありません。
兵庫県出身ですが今まで神奈川登録でやらせてもらって、兵庫にご恩返しをしたい気持ちも大きく、震災などのイベントもお手伝いさせてもらいましたが、何歳までできるかわかりませんが、一線でチャレンジしていくことに変わりはありません。
富士通との関わりは、今後は社員ではなくなりますが、チーム、会社に多大な貢献をしてくれた選手です。我々としても、相談に乗ってあげたい。
●伊東浩司 アマチュアに引退はないと思うので、できる範囲で競技は頑張っていきたいと思います。
Q.甲南大に決まった経緯は?
◎木内監督 教授の先生が1人、3月でやめられポストが空くということもありますが、地元・兵庫に帰りたいという気持ち、兵庫人であるということ、いろいろなことがマッチングして、本当に短期間で成立しました。声がかかったのは、去年の暮れ頃です。
Q.伊東選手はどんな気持ちで?
●伊東 地元の先生方は喜んでくださりますが、会社の方も本当に親身になって考えてくれていました。噂が見えないところで先行していましたから、お世話になった会社に迷惑がかからないように、それが心配でした。噂が悪い方向に回らないようにという部分を心配して、監督に一任して先方と話をしてもらいました。
Q.競技は今後、どんな気持ちでやっていくのでしょう?
●伊東 正直、オリンピックのときはこれ以上のことできないと、ホッとしたところはありました。でも、その後去年1年を振り返ると、リハビリに費やしたようなシーズンで、何もしないであのレベル走れたわけで、まだまだ老け込む年齢じゃないな、と思いました。11月下旬から練習を再開しましたが、アジア大会の前から痛めていたヒザがよくなくて、目的意識、この大会を目指そうという緊張感もないせいか、ヒザの痛みが治まらず、気力でもカバーできなくて…。ウエイトとか水泳とか、最低レベルの体力維持は継続しています。
今後は、職場が変わるわけですから、それに慣れるのが第一です。「陸上で」と言われるのはイヤですし、周りの方にも失礼です。職場の環境になれてから、競技の目標を掲げたい。継続して練習のできる環境はありますから。ですが、新しいとこに飛び込んでいくので、目標は設定できません。東アジアも断って、まずは職場になれることから考えたいと思います。
まずは専任講師としての仕事を
Q.仕事の内容は、どうなりますか。
◎木内監督 彼(伊東)は経済学部の卒業です。一般体育といってもいろいろあるので、それぞれのコマに張り付いて、セミナーの先生方のあとについて学んでもらって、そこからスタートしてもらって、可能な状況になったら講義、授業をやってもらう話になっています。我々が一番心配していたのは、現役の指導者から教員の立場に一転する点でしたが、研修や聴講、院生としての学位など、長期的な立場で検討してもらって、本当の意味での大学の指導者になっていくことを、前向きに考えていただけるということで、本人が安心してお世話になれることを確認して、4月1日からお世話になることで合意しました。細かいことはまた、事務的なレベルですり合わせていきます。
Q.富士通で続ける選択肢もあったと思うんですが、あえて新しい環境を選んだのは?
●伊東 ちょうど31(歳)になって、将来を考えないといけない年齢で、会社の業務をするのも素晴らしい人生の1つだと思いますが、やはり18年間やってきた陸上で、何かしら力になれる場所で、私自身の力を発揮したい気持ちがありました。12月下旬に(甲南大から)お話があって、いろいろ悩みもしましたが、これも陸上のトレーニングと一緒で、ゼロのところには何事も、飛び込んでみないと善し悪しがわからないので、会社には無理を言って理解していただいて、新たな環境に飛び込もうと思いました。
◎木内監督 補足させていただくと、伊東は社内では6級職という職にあって、昨年の内に昇級者の社内研修も済ませ、大卒の同期の人間と比べても遜色ないポジションにいます。社内的には本人が希望すれば、困らない状況でした。ですが、彼が引退してどういう形で陸上界に貢献できるかを考えると、大学の指導者になる方がいいと、会社としても認めています。
Q.今後の練習環境を、具体的に、決まっている範囲で教えてください。あるいは、指導はこうしたいとか。
●伊東 甲南大の敷地内になると思います。指導という点は、おととい話が決まったばかりですし、甲南大は私の出た東海大や富士通よりも歴史の古い陸上部なんで、スタッフやOBの方がどういう運営をしているかをまず聞いてから、その下で勉強させてもらってから考えたい。
練習環境は職場を中心に、あとは神戸市内にグラウンドは何カ所かありますし、知り合いの先生もいらっしゃいます。臨機応変にできると思います。
Q.大学側から、指導をして欲しいと要請は来ていますか。
◎木内 基本的には、専任講師ということで言われています。教職員としての仕事をするために採用するんだと。陸上競技の指導は、職場にお世話になってから、具体的に話し合っていくことになります。
Q.いろんな経験を積んできた伊東選手だからできる指導や、将来的にこんな指導者になりたい、教員になりたいというものはありますか。
●伊東 東海大のような体育学部のある大学じゃないので、同じような指導はできないかもしれません。選手も新井(初佳・ピップフジモト)しか知りませんし、どういう雰囲気なのかもわかりません。外部のコーチングスタッフが運営しているので、そういう方たちの意見をお聞きして、いずれはいい伝統を受け継ぎたい。今のところ専任講師の話ですので、そちらを一生懸命にやって、専任講師の伊東が何をできるかを一生懸命考えてやっていきたい。10年、20年後には陸上界に名前があったらいいな、とは思います。
世界選手権は? 9秒台は?
Q.エドモントンの世界選手権は視野に入れてやっていきますか。
●伊東 世界選手権はもう5回も出ていますから、視野にはありません。世界選手権やオリンピックだけを目指すのなら、環境的には富士通は最高です。そこをあえて出てやるのは、長距離の市民ランナーの方は多いんですけど、短距離でずっと継続してやる人は少ないので、そういう**(すいません。ここだけ聞き取れませんでした)をいずれは作りたいと思うからです。
目標は今のところはありませんが、何らかの形で走り、国体は出たいと思います。その過程で日の丸が見えれば、アスリートとしては当然、日の丸をつける大会を目指したい。
Q.去年、オリンピック後に、「このレベルを維持するのは大変だけれど、最初に10秒を切りたい気持ちはある」と言われていましたが。
●伊東 1番にならなきゃ評価してもらえない種目ですし、1番になってこそというのは自分の中にありますが、今は新しい職場という気持ちの方が大きいです。その過程で、朝原(宣治・大阪ガス)君や末續(慎吾・東海大)、川畑(伸吾・法大)君が破ってなければ、挑戦したいと思いますが、現時点ではそちらの方はあまり…。
◎木内監督 先ほど冗談で話したんです。今まではしゃかりきになってやってきて、これはもうというところで追求してきましたが、今度は肩の力を抜いてリラックスして、外からいろんなことを眺められる部分が出てきます。それでいて、また中に戻ったりもできる。そういうところでやったら、簡単に破れるんじゃないかって。そう、冗談で話していたんですけどね。
付け加えさせてもらえれば、苅部(俊二・富士通)も法政で正で採用されることになり、2人とも同じように、アドバイザー的にウチのチームに関わっていってほしい。
Q.シドニー五輪の4×100 mRが終わったとき、1人残って最後まで歩いていましたが、どんな気持ちで。
●伊東 ずーっとリハビリばっかりしていたようなシーズンでしたが、それがケガなくオリンピックが終わり、やっと終わったな、あのときは全てが終わったような感じで真っ白でした。極端な話、あんなきついリハビリとか、プレッシャーとか、耐えられないと思ったので、もう2度とこの場に戻ってくることはないだろうと思って歩いていました。でも、そういう血が流れているのか、またやれと言われれば走ってしまいそうな気もするんですけど。
Q.理想に近いところに落ち着いた?
●伊東 オリンピックが終わるときは、こういう形は考えていませんでしたね。会社に残ることだけを考えていました。12月の最後に話が来て、企業間移籍で物別れの形にだけはしたくなかったんです。だから、監督に任せて、円満な方向を話し合ってもらいました。
Q.地元へのこだわりがあった?
●伊東 将来、10年後とかのことを考えると、教えていただいた、お世話になった先生の元で、叱咤激励してもらってやっていくのがいいと思います。今のままだと、(陸上競技で実績のある)“今の伊東浩司”として接してくれてしまいます。地元に帰ると、中学・高校のレベルのままで怒ってくれます。怒られないと、有頂天のままで終わってしまうんで、そういう意味で一番いいお話をいただけたんじゃないかと。
富士通は一般種目選手の憧れ
Q.富士通という会社について、ひと言で言うのは難しいかもしれませんが。
●伊東 一般種目でここまでやってくれる企業はないと思います。そういう意味で悩みました。個人の考えでどこかにいくのは許されないんじゃないかと。わがままで(会社から)出てしまったら、一般種目はもう終わり、ということになってしまいかねません。日本で一般種目を採ってくれるところは数えるくらいしかない。だからこそ、自分の気持ちだけは伝えましたが監督にお任せして(富士通と円満にいくようにしました)。
日本にはプロはありませんが、富士通はプロ意識の集団です。プロを感じさせるスタッフと環境のもとでやってこられました。それを、私ひとりのわがままで潰したくはなかった。富士通にいる自惚れかもしれませんが、短距離や一般種目の学生の間には、富士通に行きたいという気持ちはあると思うし、私もそうだったし現にそういう声も聞きます。そういう人の夢を砕かないためにも、ここは慎重に考えないといけないと思いました。
最初(入社当初)は簡単にやめていいと思っていましたが、改めてアジア大会でやったこと(100
m10秒00)の大きさを知りました。
Q.めどはたっていますか?
●伊東 やっぱり初めての仕事なんで、研修と一緒で、まだ先が見えません。
Q.ヒザはまだ痛い?
●伊東 まだ痛いですよ。左ですけど。末續はこのお尻とハムストリングがあれば大丈夫ですよ、って言いますけど、あまりにも痛いんで。ずーっと悪いので。検査してもどこか異常があるわけではないんです。
Q.楽しみですか、不安ですか。
●伊東 やっぱり不安ですよ。やっぱり、仕事で楽しい人っていないんじゃないですか。終わってみて、楽しかったと思えれば、それでいいんですが。
Q.これを機に結婚という話は?
●伊東 そのうちすると思います。今年中には。秋には結婚するつもりでいます。そういう意味もあって、次の人生を一生懸命考えたんです。籍を入れたり、結婚式とかはまだ具体的にはないですけど。もう31ですから。
Q.Sさんですか。(イニシャルで質問)
●伊東 そうですね。先方も、監督がいいといえば、するんじゃないですか。一緒に向こうに行くかどうかは、K先生(実際にイニシャルで会話。実業団の監督だが、以前は高校の先生)次第です。競技を続けるかどうかは、2人ともアマチュアなんで、やめるやめないはないですね。一緒になっても、個々の人生ですし。
Q.子供はどっちに似るんですかね。
●伊東 それはK先生の発想ですね。K先生はそちらの方向で喜んでいるようです。
積水化学・小出監督のコメント
「僕は伊東君のことは昔から知っていて、彼の先生も知ってるし、木内監督も(順大の)後輩だし。伊東君から正式には聞いていないし、鈴木からも正式には聞いていないけど、うすうすは知っていたよ。本人からそういうコメントが出たのだったら、いい話じゃない。ビッグだよ、最高にビッグ。本人は競技やりたいようだけど、今後続けるのかどうかは正式には聞いていない」
積水化学・鈴木博美のコメント
「伊東浩司選手とは結婚を前提に、おつきあいをしています。結婚の時期についてはまだ決めていませんので、これから2人で話し合って決めたいと思います」