2001/12/1
福岡国際マラソン直前企画
初マラソンの高岡、驚異の走り込み!!
出場選手は福岡国際マラソン大会公式サイトで。
高岡寿成(カネボウ)の肩書きを並べると、スペースが何ページあっても足りないくらいである。
○5000m日本記録保持者
○1万m日本記録保持者
○シドニー五輪1万m7位入賞
○戦後初の五輪5000m&1万m決勝進出
○五輪2大会連続出場
○世界選手権4大会出場(93、97、99、2001年)
○広島アジア大会2冠
○1994年のアスリート・オブ・ザ・イヤー・ジャパン(陸上競技マガジン制定)
ちょっと思いつくだけでもこれだけある。詳細に見ていけば、もっとあるだろう。間違いなく、日本のトラック長距離史上に最大級の足跡を残した選手である。
昨日の記者会見では「負けないレースをしたい。それができれば記録もついてくる」とコメント。目標とする具体的な数字は口にしなかったが、「1km3分で押していくこと」を目安にしているという。そのペースで走りきれば2時間6分30秒台になる。
○初マラソン世界最高・2時間06分54秒=オンドロ・オソロ(ケニア)98年シカゴ
○日本最高・2時間06分51秒=藤田敦史(富士通)2000年福岡
○初マラソン日本最高・2時間08分53秒=森下広一(旭化成)1991年別大
上記の記録を上回る可能性があるわけである。だが、現実が甘いものではない認識は十分あるし、不安を抱えているのも事実だ。「緊張感があるから不安がある。不安のない選手は緊張感がない証拠。それでは走れない」と、伊藤国光監督。実際、1万m27分台ランナーがマラソン進出で失敗した例は多い(もちろん成功している選手もいる)。成功するか否かはその選手のマラソンへの適性が大きな要因となるが、その選手にあった練習法を採用したかどうかも重要だろう。
現在発売中のスポーツ総合誌「スポーツ・ヤァ!」(角川書店)に掲載された高岡のインタビュー記事中に、次のような言葉がある。
高岡 僕は走った距離を計算しません。毎日、日誌にはつけますが、計算することで無理に距離を追いかけることは避けたいんです。マラソン練習に1000`とか1200`を何カ月もやる必要はないと思っていますし、僕の場合、故障につながりそうで、できないですね。
それに、普通だったら練習の40`走を2時間何分とかでやりますが、僕はジョッグ的な感覚で40`を走る。40`を2時間5分とか10分に設定してタイムを追いかける練習が必要かといえば、そうじゃないと思います。僕の最終目標はあくまでもアテネ五輪のメダルです。将来的に完成されたマラソン練習がどうなるのかわかりませんが、今の僕の段階だったら、何%かでいいと思っています。そんな状況で、どれだけ走れるかを楽しみにしているんです。
昨年、福岡で日本最高をマークした藤田が、月によっては1200km、1300kmと走り込んだのとは対照的である。どちらがいいとか悪いではないが、高岡の場合はトラック選手の特徴を生かした練習法といえるだろう。
その高岡が、最後の最後で、福岡に向けた最終兵器とも言えるすごいメニューをこなした。昨日(11月30日)、自宅のある山口県防府(ほうふ)市から走って、福岡入りしたのである。防府から福岡までの距離は200km強。もちろん、疲れが残らないようにかなりペースを落としたのだが、これで距離への不安は完全に解消したという。高橋尚子(積水化学)の3500m超高地トレーニングに匹敵する常識破りの練習法だ。
福岡入りした直後に高岡は「防府から走って来ただけに、練習量は豊富ですよ」とは、ひと言も言わなかった。
※ロンドン・マラソンの際に掲載した「犬伏孝行、スタートライン上の真実」以来、7カ月ぶりのジョーク記事です。最後の一段落というか、走って福岡入りした話は、まったくの創作です。