2001/8/10
為末大、47秒89の日本新で
日本陸上史上初の男子トラック種目メダル獲得

レース直後の為末との一問一答
『レースのことはあまり覚えていません。いつもなら計算するんですが、今日は純粋で……その点、シドニー五輪は雑念だらけでした。ただ、夢心地でした』

――メダリストになったね。
為末 なっちゃいましたね。やっぱ、(レースは)速かったですね。準決勝の感じから、47秒台ならメダルがとれるんじゃないかと思っていました。最後、ソマイリーが明らかによろよろしていましたから、食うならコイツかなと、必死で追いました。
――スタートのリアクション・タイムが一番遅いのは?
為末 どうでしょう。覚えていないんですが、失敗するのは1歩目をチョコンと置いて出るときなんです。1歩目を押していかないと、1台目が苦しくなってしまいます。それが気になって、(リアクションが)遅くなったのかもしれません。
――5台目の通過が21秒を切るくらいでしたが。
為末 1つ外のモーリと並んで前半を入れば、21秒そこそこで入っていけると思っていましたし、興奮しすぎて前半から飛ばそう飛ばそうと思った結果です。それに、レース全体が速かったからでしょう。
――直線に出たあたりで順位がわかりましたか。
為末 サンチェスが飛ばしていて、モーリもいるのがわかりました。ソマイリーは1レーンですから、わからなかったですね。
――トラック種目(五輪&世界選手権)史上初のメダルですが。
為末 そうですが、人口の少ない種目です。100 mや400 mとは比べられません。でも、おいしいですよね。
――自分のハードルができたことが大きかったのですか。
為末 正直、レースのことはあまり覚えていません。いつもなら「あいつとどうなる」とか計算するんですが、今日は純粋で、モーリだけを見ていた感じです。その点、シドニー五輪は雑念だらけでした。声援もそんなにわからなくて、ただ、夢心地でした。しんどい種目ですけど、幸せなレースでした。なんか、ダメなレースをしたときのような、フワフワした感じでした。