2001/9/7
室伏、グッドウイルゲームで82m94のセカンド記録で優勝
エドモントン金のジョルコフスキーを破る
を記念して、世界選手権での室伏重信氏との一問一答を掲載
『これだけハイレベルな戦いは見たことがない。私の気持ちの中では金とか銀とか差はない』
シドニーで失った自信をいかに取り戻したか?


Q.今のお気持ちは?
重信氏 うーん、いい戦いだったね。初めに言っておきたいのは、私がこれまで見てきた中でも、これだけハイレベルな戦いは、見たことがないということ。ジオルコフスキーと2人とも強かったし、下の選手も強くなっている。天候も良かったが、本人の体調も良かった。サークルも問題なかった。シドニーは雨だったし寒かった。こういう条件の良いのが重なるのは、そうない。シドニーは多少、自信を失ったが、今回は多少、自信をつけたんじゃないかな。
Q.2投目の記録で逃げ切れると思われましたか。
重信氏 いけるかなと思った。ジオルコフスキーは強い。フォームは乱れていたが、1本だけ上手くまとめて83mを投げた。やっぱり力のある選手。金とか銀とか、私の気持ちの中ではそういう差はない。そう思えるくらいいい勝負だった。2人でウイニングランをするなんて、普通はしないこと。いいシーンだった。本当にあの身体で、よくやったと思う。
Q.5投目は、ご覧になっていて届かなかったとわかりましたか。
重信氏 いや、わからなかった。でも、83mだったら逆転はできるとは思っていた。ただ、あのレベルになると、年に何投もできるレベルの投てきではない。83m自体、2年ぶりだと思う。
Q.終わってみて?
重信氏 ホッとしましたよ。こっちも競技者と同じような気持ちになっているわけだから。緊張はもちろん、する。
Q.昨日の予選の時点では心配だったのでは?
重信氏 予選は軽くいくつもりでした。それが、78mの選手が増えてしまい、まずいかなと感じた。いつも(の五輪、世界選手権)なら、77〜78m出せば楽に通過できるんです。
Q.サークルへの対応がちょっと?
重信氏 昨日やってみて、やっとサークルに合うようになった。それだけ、ハンマー投は微妙な競技なんです。練習場が滑りすぎたので、フォームを崩したらかえってよくないと考えて、あえて練習もしませんでした。最終的には大学のラグビー場が練習場でしたが、そこではゆっくりでしか回転できませんでした。滑るサークルのリズムでやってしまうと、普通のサークルに戻ったとき、逆に引っかかる感じを受けてしまうんです。加速ができず、惰性で投げてしまう。そこを警戒しました。
Q.シドニーで自信を失ったのを、どう回復してきたのでしょう。
重信氏 そのときから、絶対にファウルをしないように練習してきました。絶対にサイドラインを外れないように。その効果として、ハンマーへの力が逃げなくなりました。フォームが良くなると方向性も良くなり、ファウルをしなくなります。それで思い切りいけるようになる。その結果、去年よりも2m半距離が出るようになった。広治がそれだけ投げて、世界が刺激された。
Q.方向性を重視しようと思われたのは?
重信氏 それは私の経験で、逃げた方が変なタイミングで飛んでいくこともあるんです。広治もシドニーまでは、そうなることもあった。でも、それではダメなんです。その修正を徹底的にやっていくうちに、距離が出るようになり、今回の成績にもつながった。ただやるのでなく、徹底してやりました。でも、それで世界のいろんな選手の記録を伸ばしちゃった。
Q.予選が78mで決勝では81〜82m台を連発できたのは、サークルに対応できたと?
重信氏 本来、82〜83mの力を持っているわけです。ただ、それがいろんな条件が合わないと出ない。今回それが出せたのは、自分の動きを身につけたこと、少し崩れてもそれを取り戻せたことが大きい。

重信氏との一問一答は以上で約半分です。続きは9月12日(水)配信の「寺田的陸上競技 メルマガ・バージョン」に掲載します。
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室伏とジオルコフスキーとの違い、なぜハンマー投には技術が大切なのか、そして室伏の一番いいところ等々、興味深い話が続きます。

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